今どきの新人、いわゆるZ世代が、上の世代と比べるとかなり草食系だとか安定志向だといった話はしょっちゅう聞いていましたが、それを裏付ける調査結果が出され話題となっています。
【参考リンク】Z世代、35%が週休3日希望 「無理せず・安定」に重き 民間調査 日本経済新聞
まあ確かに残業徹夜上等みたいな時代じゃないのはその通りなんですが、この調査結果にモヤモヤしたものを感じているビジネスパーソンは少なくないでしょう。
というのも以前述べたように、将来の選択肢は若い頃のハードワークである程度決まってしまうものだからですね。
いったい、彼らZ世代はなぜ安定志向になったのでしょうか。そして、そんな彼らを待つ未来とは。
いい機会なのでまとめておきましょう。
親世代の惨状を目の当たりにし「ああはなりたくない」と思ったから
ここで、40代以上の人は自分の若かりし日々のことを思い出してみてください。当時はどういう風に働き、将来はどういうキャリアが身につくと思っていましたか?
たぶんほとんどの人は具体的なキャリア(という言葉も一般的ではなかったかも)はイメージしないまま、とにかく会社から与えられた仕事はなんでも取組み、辞令一枚で全国転勤し、終電も徹夜もいとわず働くイメージだったと思います。
それで、50代以降はそこそこの役職に就いて当時の上司らのように成れるものなのだと。
そして、その具体的なロールモデルとしては、やはり団塊世代が相当するでしょう。彼らは実際にそうした働き方でそうしたキャリアを形にしていたわけです。
「よーし、俺も島耕作みたいにがむしゃらに働いて出世もするぞ」となんとなく考えていた人達は少なくないんじゃないでしょうか。
しかし、その後に起きたことはあらためて言うまでもありません。
まあ就職氷河期のさなかに正社員の椅子に座れただけマシだったのかもしれませんが、今や大卒総合職も過半数がヒラ社員のまま。
年金支給開始年齢とともに実質的な定年が55→60→65歳と切り上げられ、そのたびに昇給は抑制されてきました。
からくも手にしたポストでさえ、50代半ばで役職離任で没収(+だいたい賃金3割カット)、60歳で再雇用(+さらに賃金5割くらいカット)が相場ですね。
60歳で定年してまとまった額の退職金を手に、老後は趣味や旅行で本当にやりたかったことを謳歌!みたいな人生は待ってはいなかったわけです。
要するに、バブル世代以降はかつて団塊世代以上が歩んだ年功序列のレールを同じようには進めなかったんですね。
そして、それを間近で観察していたのが、ちょうどその子供くらいの世代のZ世代ということになります。
「あんなに会社に滅私奉公してこれだけしか報われないなら、せめて滅私奉公なんてしたくない」と考えるのは、むしろ正常な判断力だと思いますね。
「俺もオヤジみたく仕事漬けの日々を送った挙句、50代でタイミーで小遣い稼ぎしてみたいぜ」って子どもがいたら、むしろそっちの将来の方が心配です。
さて、今回のニュースについたコメントをつらつら読んでいると、「今のZ世代はぬるすぎる」だの「人生を甘く見ている」だのと言ったコメントが散見されます。
個人的には「どっちもどっちじゃん」というスタンスです。
というのも、筆者はたまに同期でJTCで働いている面々と話しますけど、酒飲ませるとだいたいみんなブツブツ言ってるんですよね(苦笑)
特に課長くらいで打ち止めになっちゃった人達はそう。こんな感じのボヤキが入る人は多いです。
「あんなに家庭を犠牲にして滅私奉公してきたのにもうすぐ役職離任して給料ドカンと下がって後は飼い殺しだよ。だったら最初からヒラでもいいから家族サービスでも趣味でも打ち込んでおけばよかった」
たぶん、彼らがタイムリープして20代の頃に戻ることができたなら。今のZ世代とそう変わらない選択をするような気がしますね。
まとめると、
現中高年 = ガッツがあって肉食系
Z世代 = 草食系
というよりは、
現中高年 = 期待をして空振り
Z世代 = 最初から期待してないだけ、現実的
ということでしょう。
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以降、
ただし、皆が最初からほどほどに手を抜くと、結果はもっとひどくなる
無理せず働くか、ばりばり働くか、オススメは……
Q:「何をやっても結果の出ない友人にするアドバイスとは?」
→A:「一回プライドが粉々になるまで放置するしかないでしょう」
Q:「年齢的にAIに対応できそうにありません」
→A:「『ついていけない』という自覚があるうちはまだ大丈夫な気がします」
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