NHK「日曜討論」で、日中関係と台湾有事をめぐる議論の中、立憲民主党の岡田克也元外相が「国民感情をコントロールしていく必要がある」と発言したことが波紋を広げている。日本保守党の有本香事務総長による日中友好議連批判に対し、岡田氏が「侮辱だ!」と強く反発したことで、政治家としての対中姿勢が改めて問われる展開となった。
- 21日放送のNHK「日曜討論」に、立憲民主党の岡田克也元外相と、日本保守党の有本香事務総長らが出演し、台湾有事や日中関係をめぐり討論が行われた。
- 有本氏は、高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁について「国民は全文を見て問題ないと評価している」と述べた上で、内閣府調査で「中国に親しみを感じない」国民が約8割に達している点を紹介し、政治と国民意識の乖離を指摘した。
- その上で有本氏は、超党派の日中友好議員連盟について言及し、「米国防総省が、中国が日本の世論や政策を中国側に有利に動かすための機関と報告している」との見解を示し、日本の対中認識を大きく改める必要があると主張した。
- これに対し岡田氏は、同議連の活動は「本当に大事な時に中国としっかり話ができるルートをつくる努力だ」と反論し、「森山裕前幹事長らも懸命に取り組んできた。それに対する侮辱だ」と不快感をあらわにした。
- 岡田氏はさらに、高市発言を「よく言った」と評価する国民感情に触れ、「そうした感情をしっかりコントロールしていかないといけない」と述べ、過去に中国で日本大使館が取り囲まれ、工場や店舗が被害を受けた事例を挙げた。
- 「今のところ国民レベルでは落ち着いているが、日中双方で国民感情をコントロールできない状態をつくらせないようにするのが政治の責任だ。あおる行為は絶対にしてはいけない」とも語り、この「国民感情をコントロール」という表現がSNSなどでトレンド化した。
- 番組では、薛剣・駐大阪総領事による過激な発言についても話題となり、有本氏は高市発言以上に問題だと指摘したが、岡田氏は日本全体として対立を激化させない姿勢を強調して議論をすり替えた。
21日の「日曜討論」は、日中関係をめぐる政党の立場の違いを浮き彫りにした。中国との関係維持を重視する岡田氏の姿勢に「国民感情をコントロールする」という表現も加わったことに対し、違和感や反発もの声も多く、政治家自身の説明責任が改めて問われている。
岡田克也氏 NHK日曜討論より