区長自宅疑惑、副議長クビ! 世田谷区議会で起こっていること③

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かくして世田谷区議会では、立憲民主党会派の羽田圭二副議長の不信任が可決された(詳細はをご覧ください)。しかし、羽田副議長は議会の意思を無視して、居座り続けることを宣言している。

ふだんは民主主義だの、議会主義だのを守れと叫んでいるリベラル派の御仁が、いざ自分のこととなると、ポストや報酬に執着するというのはよくある話だが、区民として許すわけにはいかない。

実はこの体質は、リベラル派の旗手を自負する保坂展人区長こそ、体現しているとも言える。保坂区長は平成23(2011)年の初当選以来、現在4期目を務めている。一番最初の公約には「退職金廃止」を掲げていたものの、2期目からはこれを撤回。以降、任期終了(4年)ごとに約2000万を手にしている(ちなみに議員に退職金はない)。公約撤回の理由は、「区長職が想像以上に激務だった」という手前勝手な話である。

保坂区政の特徴はこのような区民の利益を無視した手前勝手にあるのだが、私が2019年に初当選して初めて直面したのが、新型コロナ対策だった。これはその最たるものだろう。

区長は世田谷区民全員に「いつでも誰でも何度でも」PCR検査を実施するという「世田谷モデル」をテレビで突然ぶち上げ、区政を大混乱に陥れた。議会でも異論が噴出し、大幅に規模を縮小して実施したものの、血税4億円を浪費。その効果たるや日本公衆衛生協会による検証では、失敗の典型例として位置づけられている。

本庁舎整備もそうだ。施工主の大成建設のミスで工期が2年以上も延伸。賠償金交渉も終始、大成側のペースで進んだと見られ、破格の安さで決着させてしまった。

そもそも、保坂区長が何が何でも古い区民ホールを残すと異常にこだわったことから、難工事となったのが原因の一つと指摘されている。交渉過程を公開せよと迫っても、すべての資料を黒塗りにするなど、区民を舐めている。保坂区長の公約には「情報公開の推進」も大きく謳われているが、記者会見でフリー記者を排除して批判されるなど、看板に偽りありである。

例示すれば切りがないので、最近では、空襲被害者見舞金支給事業がある。世田谷区民から請願や陳情が出されるなど、これまで要望があるわけでもなく、そもそも、23区で被害が最も軽微であった世田谷区が見舞金支給を始めることに、多くの区民から疑問の声が上った。

「区が国の法案成立を後押しする」などと臆面もなく宣言し、区民ニーズを度外視して、区政を自分が好む政策実現の道具にする振舞いは、区長として適格性に欠く。

保坂区長の近著に『国より先に、やりました』というのがあるが、そう言いたいがための区政の振り回しは、議会が一貫して問題視してきた。2016年3月には、「区政の停滞を招いている保坂展人区長に対し議会の存在を軽視する言動を改めることを求める決議」が可決されている。

なんだか年末の振り返りのようになってしまったが、恵泉通り未開通問題に象徴されるように、保坂区長は自分がやりたいものだけやり、やりたくないものはやらない、という姿勢は一貫している。とにかく区民サービスの向上については、彼の政策で上位にないことは確かである。