アメリカのベネズエラへの対応

アメリカはベネズエラに本気度を示すだろうという趣旨のブログを何度か書かせて頂きましたが、トランプ氏は予告通りの展開を行いました。現地時間1月3日午前2時頃から本格的な攻撃を行い、マドゥロ大統領夫妻を拘束し、船にてニューヨークに移送したのです。ピンポイント攻撃なので今回の被害は限定的なのですが、このやり方に対してアメリカ国内外から様々な声が出ています。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

個人的意見としてはマドゥロ政権を放置しておくのが正しいとは全く思わず、またそこに中国とロシアの利権が複雑に絡む中、アメリカの裏庭と称される南米大陸の入り口を押さえる意味はあると思うのです。よってアメリカの外交方針としては正しいのだと思います。但し、今回のやり方は私は想定していなかったので「強引」と思われるでしょうし、それ以上に他国の首長を他国に滞在したまま、アメリカの法解釈の下で拘束し裁くことが可能なのか、ここは大きなチャレンジだと思います。

法解釈、この場合は国際法になりますが、ここまでやってよいと言う解釈は出来ないと思います。これを許せば例えば国際手配をしているような人物を拘束するのに当該国の警察機関を使わず、自国の組織が勝手に力技で相手をしょっ引き、自国のルール基づき、裁くことが可能になってしまうのです。国際刑事裁判所の存在も意味をなさないことになります。もちろんアメリカは国際刑事裁判所に加盟していないので関係ないと言われればそれまでです。

世界で200カ国弱ある国々がモザイク状になりながらもバランスを取り続けているのは国際ルールと称される成文化した取り決め、非成文化ながらも道徳と抑制心のもと、コミュニケーションを取りながら社会が成立しています。もしも今回のアメリカのやり方が何らかの形で正当化されるなら世界のモザイクが崩れる予兆になり、国際社会に大きな波紋を起こすことになるでしょう。

私が期待したアメリカのベネズエラ攻めとは国民蜂起によるベネズエラ市民がベネズエラのために革命を起こすことをアメリカが支援する手段でした。ですが、当然それには時間がかかります。国際世論を説得する手間もかかります。麻薬取引の証拠も開示しなくてはいけないでしょう。

実は私は今回の件では気がかりがあるのです。ベネズエラは主たる麻薬拠点ではなかったはずなのです。麻薬の巣窟は隣のコロンビアです。とすればベネズエラがどうしてそれに絡んだかですが、ベネズエラは棄民した国民のうち、最大の行先は隣国のコロンビアで300万人弱に上るとされます。とすれば可能性としては麻薬のソースはコロンビア、そこからベネズエラ経由でアメリカに出した可能性があると思うのです。もちろん、これは何ら証拠があるわけではありません。コロンビアのペトロ大統領が深い懸念を示しているのはこの辺りの流れが解明することを恐れているのではないかという気がします。

今回の事件は年初早々国際関係に於いて深い憂慮となると思います。これを放置すればロシアがウクライナ大統領を拉致すること、イスラエルがイランの大統領を拉致すること、中国が台湾の総統を拉致することなどが全部可能になってしまいます。裁判の理由などはどうにでもなるのです。裁判制度はそこまで完ぺきではありません。人間が作ったルールですが、複雑になり過ぎ、解釈は時の流れ次第に近いものがあります。更に国際世論がどれだけ批判しても批判以上のものは起きないのです。つまり罰則がないのです。

私はまずは学者の意見を聞いてみたいと思います。それから西側諸国、及び高市氏や日本の外務省の声明も聞いてみたいです。非常に難しいでしょう。正義という使命はどこまで許されるのか、極めて大きな課題を突き付けたと思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月4日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。