新党「中道改革連合」は、野田佳彦・立憲民主党代表を将来の総理候補として擁立する意向を示している。しかし、国際秩序が大きく揺らぐ現在、野田氏は日本の安全保障と日米同盟を担える人物なのか。その資質を問う材料となっているのが、米国によるベネズエラ攻撃をめぐる一連の発言である。
野田佳彦代表 立憲民主党HPより
野田代表による米国批判
米国がベネズエラに対して軍事行動に踏み切ったことについて、野田氏は立憲民主党代表として、厳しい言葉で米国の行動を批判した。欧州の同盟国の多くが、明確な支持を表明しないまでも、事実上これを容認、あるいは沈黙を選んだのとは対照的な対応である。
この発言は、同盟国アメリカに対して距離を置く姿勢を強く印象づけ、将来、野田氏が政権を担った場合の日米関係を不安視する声を招いている。
外務省声明との対照
日本政府としての公式立場は、外務省が発表した声明に示されている。そこでは、米国の行動に直接的な非難は避けつつ、事態の沈静化や外交努力の重要性に言及するなど、日米関係への配慮が前面に出ていた。
野田氏の発言は、こうした政府の慎重な立場とは明らかに温度差があり、仮に野田氏が首相となった場合、同盟管理において同様の姿勢を取るのではないかとの懸念を抱かせる。
ベネズエラ情勢の特殊性
今回の米国のベネズエラ攻撃は、ロシアによるウクライナ侵攻や、将来懸念される中国の台湾侵攻とは性質を異にする。ベネズエラでは、民主国家を標榜しながらも民主的正統性に欠ける指導者が政権を握り、政府高官と麻薬組織との癒着が指摘されてきた。さらに、深刻な経済失政によって大量の難民が発生し、中南米全体、さらには米国にとっても地域不安定化の要因となっていた。
こうした事情を踏まえれば、米国が自国の安全保障と地域安定を理由に行動した背景を、同盟国として一定程度理解する姿勢も求められる。少なくとも、価値観外交の名の下で一方的に非難することが、現実的な外交と言えるかは疑問が残る。
同盟国に求められる「仁義」
国際政治において同盟とは、常に理想的な行動を共有する関係ではない。むしろ、困難な局面においても信頼関係を維持し、裏切らない姿勢を示すことが重要となる。とりわけ、日本は安全保障の根幹を日米同盟に依存しており、同盟国が厳しい決断を下した際に、どのような態度を取るかは極めて重い意味を持つ。
欧州の同盟国が抑制的な対応にとどめたのは、こうした現実を踏まえた判断と見ることもできる。
「総理候補」としての適性が問われる
野田氏は現時点では首相ではなく、野党第一党の代表に過ぎない。しかし、「中道改革連合」が同氏を総理候補として担ぎ出そうとしている以上、その外交・安全保障観は厳しく検証されるべきだ。
米国批判を前面に出す姿勢は、国内向けには分かりやすいが、実際に政権を担った場合、日本の国益と同盟関係を損なうリスクを伴う。ベネズエラをめぐる今回の発言は、野田氏が理念と現実の狭間で、どのような判断を下す政治家なのかを浮き彫りにしている。
日米関係を基軸とする日本外交を、野田氏は本当に安定的に運営できるのか。その問いは、総理候補としての野田氏を評価する上で、避けて通れないものとなりそうだ。