佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑨:市長任期と「未成熟な計画」をつなぐ力学

(前回:佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑧:観光最上位計画との致命的乖離

なぜ「未成熟な計画」が止まらず進むのか

ここまで検証してきたように、佐倉ふるさと広場拡張整備事業は、

  • 経済性
  • 需要予測
  • 交通・安全
  • 市民参加
  • 上位計画との整合性

いずれの観点から見ても、通常の公共事業として求められる水準を満たしていない。

にもかかわらず、計画は現在、Park-PFI事業者の公募が進行し、事実上「後戻りできない段階」へと踏み込もうとしている。

この異様な進行を理解するうえで、無視できないのが政治的スケジュールである。

市長任期と「不可逆な区切り」

現市長の任期は 2027年3月末。Park-PFI事業者(指定管理者)の選定手続きの完了は2026年3月に予定されている。

その結果を受けて、2026年6月議会で選定結果が可決されれば、Park-PFI事業者(指定管理者)の選定が完了する。

つまり、現市長の任期中に、

事業者決定=計画の実質的固定

という不可逆的な政治的区切りをつける設計が、あらかじめ組み込まれている。

Park-PFI事業者が決まれば、その後の計画変更は、

  • 契約関係
  • 損害賠償
  • 事業継続性

の観点から極めて困難になる。

この構造を踏まえると、あらためて問わざるを得ない。

なぜ、これほど未成熟で評価不能な計画が、これほどの速度と強度で前に進んでいるのか。 

合理的に考えれば、通常とは異なる力学が作用していると考えるほかない。

想定しうる力学は二つしかない

現時点で、事実に基づき合理的に説明できる仮説は二つしかない。

① 行政組織の能力不足という仮説

計画策定と政策設計を担う行政組織が、

  • 現状施設の来場者数等の実測
  • マーケティング
  • 政策評価
  • 市民参加
  • 上位計画との整合性

といった現代的行政運営の基礎的視点を十分に持ち合わせていない可能性。

つまり、 「やるべきことを知らないまま進めてしまった」 という構造的問題である。

② 市長任期という政治日程が優先された仮説

もう一つは、 「この任期中に不可逆的な区切りをつける」 ことが最優先され、計画の成熟や検証よりも、スケジュールの固定化が優先された可能性。

つまり、 政策の質よりも、政治的工程の完遂が優先されたという政治主導の問題である。

そして、 この二つが同時に作用している可能性も否定できない。

「通常の行政合理性」では説明できない進行

通常の行政合理性に基づくならば、

  • 既存施設の来場実績調査を入念に行い
  • 需要予測を精査し
  • 経済効果と市民還元を検証し
  • 交通・安全の設計を固め
  • 市民と十分に議論した上で

計画はようやく実施段階へ進む。

しかし、佐倉ふるさと広場拡張整備事業は、このプロセスをほぼすべて飛ばしたまま、実施フェーズへ突入している。

この進め方が示唆するものは、 計画の内容そのものよりも、政治的工程の完遂が優先された可能性である。

もちろん、意図や動機を断定することはできない。しかし、積み上がった事実の列は、この事業が通常の政策形成プロセスから逸脱していることを強く示唆している。

「止められない構造」が生む危うさ

この構造を直視すると、もはやこの計画を単なる「未完成な事業」として片づけることはできない。

問題は、計画の質そのものよりも、この計画がどのような力学によって、どのような順序で固定されようとしているのかという点に移っている。

そして、この力学が生む最大の危険は、

失敗した場合にすら「止められない構造」がすでに組み込まれつつあること

である。

次回予告:なぜ「行政の監視役」はブレーキとして機能しなかったのか

本章では、市長任期という政治的時間軸が計画を不可逆的に前進させてきた可能性を見た。

では、なぜその過程で「行政の監視役」であるはずの議会はブレーキとして機能しなかったのか。

次回は、佐倉市議会の多数派構造、賛否行動の継続性、そしてチェック機能の実態を事実に基づいて整理し、「止められない構造」のもう一つの柱を検証する。