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格差の問題
現代日本では様々な方面で「格差」が論じられてきた。個人間の所得格差はもとより、公立の小中高校と私立校との間、国立大学間、大企業と中小企業間にも多様な格差がある。
しかも細かな格差としてたとえば大学間格差を取り上げると、入試の偏差値、ノーベル賞受賞者数の相違、専任教員と非常勤教員の比率、専任教員の業績、専任教員の研究費と給与水準、留学生受け入れなどの国際化の程度、AI教育への取り組み、就職率、大学院進学率、財務内容など、それぞれに国公立大学の間でそして私立大学との間の格差も認識できる。
橋本『新しい階級社会』から
橋本(2025)では、日本社会の格差の構造が「階級」論の観点からまとめられている。なぜなら、「人はつねに、階級構造のなかで生きている」(同上:9)からである。
「階級構造こそは、この社会で生きるすべての人々の生が展開される舞台装置なのである」(同上:9-10)。その中心に「格差」があるから、「格差拡大とは、何よりもまず、階級間の格差が拡大すること」(同上:10)であり、マルクスの時代からその中心には資本家階級とこれに対置されてきた労働者階級が置かれてきた。
その延長線上にはあるものの160年後の現代では、労働者階級が「正規労働者階級」と「非正規労働者階級」とに大きく分裂していて、これこそが格差拡大の主因であり、社会に対して「多くの弊害をもたらす」(同上:10)と橋本は見なしている。しかも「非正規労働者」は、「最下層階級」として図1に見るように「アンダークラス」とラベリングされている(同上:10)。
マルクスの階級論では説明できない
周知のマルクスの二大階級論では、「生産手段を所有する」資本家階級と「所有しない」労働者階級に分けられていて、それは本文でも簡単に説明されている(同上:60-70)。しかし本書独自のデータベースとなった「2022年三大都市圏調査」では、もう少し細分化された階級構造が仮定されている。
「経済的地位」によってある人の所属する階級が決まるとする橋本は、「平均年収」を指標として、資本主義的企業の領域においては上の方から「資本家階級」(250万人、平均年収983万円)、「新中間階級」(2051万人、同567万円)、「正規労働者階級」(1753万人、同486万円)、「アンダークラス」(890万人、同216万円)のタテ型4階級の類型を作成した(図1)。
図1 日本の階級構造
出典:『日経ビジネス 徹底予測 2026』日経BP 2025:193.
(注)元データは橋本健二「2022年三大都市圏調査」による。
マルクスの時代にも存在していた「旧中間階級」は「自営業者の領域」なので別枠におかれている。また図2では、合計して7大階級が日本社会に確定されたことになる。
図2 現代日本の「新しい階級社会」の構造
出典:橋本(2025:28)。図1と類似のグラフだが、「平均年収(個人)」と「未婚率(男性)」の表示はなされていない。
「2022年三大都市圏調査」からのデータが基本
図1と図2はいずれも橋本の三大都市圏調査から作成されたものだが、『新しい階級社会』は2025年の6月刊行であり、『日経ビジネス 徹底予測 2026』は12月発売だから、半年ほどのズレがある。
本稿で図1を先に示したのは、4大階級が調査票により収集された「平均年収」によって決定されたことを明らかにしておきたかったからである。また、図1では見当たらない「失業者・無業者」が、図2ではアンダークラスの下に置かれている。
三大都市圏調査の概要
本書で主に使用される諸データは、橋本が代表となり、東京圏、名古屋圏、大阪圏で20歳から69歳の住民を選び、インターネット調査で有効回収とされた合計43,820人からの回答を分析した結果である。
政府機関ならばいざ知らず、個人が行う調査としては規模が大きく、その準備、実査、集計、分析の過程では多大の苦労があったであろう。大学に勤務していた時期に私も、道内と道外の地方都市で住民基本台帳からのランダムサンプリングにより500人を選び、学生・院生による訪問面接調査を15回実施してきたので、その大変さがよく分かる。
しかも並行して橋本は、数理社会学会所属の階層研究者の集団が、日本全国の約1万人前後を対象とした調査を10年おきに実施してきた「SSM調査結果」(社会階層と社会移動に関する全国調査の結果)を併用して、地方都市を含む全国的な動向にも目配りしている。この配慮にも敬意を表したい。
以下では私なりの関心に基づきテーマを絞り、橋本の仮説と分析方法および結論と課題に対して、いくつかの疑問とコメントを提示してみたい。
7階級分類でよいか
まずは「新しい階級社会」を定義する際に、図2のような階級分類とその横側に「旧中間階級」をおいた認識についてのべておこう。
図2で示された階級構成員の概数は、「資本家階級」250万人、「新中間階級」2051万人、右側に「旧中間階級」658万人、「正規労働者階級」1753万人、その横に「パート主婦」788万人、「アンダークラス」890万人、一番下が「59歳以下で専業主婦以外の失業者・無業者」273万人であり、合計すると6663万人となった。これを母集団として、使われた階級の内訳を新しく計算すると、表1が得られる。
| 資本家階級 | 3.8% |
| 新中間階級 | 30.8% |
| 旧中間階級 | 9.9% |
| 正規労働者階級 | 26.3% |
| パート主婦 | 11.8% |
| アンダークラス | 13.4% |
| 失業者・無業者 | 4.1% |
表1 7階級の内訳
(注)図2を7階級として金子が再計算した。
働く人が60%で社会全体を支えている
図2の就業者の人数と構成比は2022年「就業構造基本調査」から得られているので、このうち「失業者・無業者」273万人を引いた合計6390万人に「高齢者」で働いている892万人を加えた7282万人が、何らかの「経済的地位」を持って働いていることになる。そしてこれは2022年の日本人の総人口1億2200万人の59.68%なので、日本人の約60%が働いて社会全体を支えていたことになる。
そのため、残りの「年少人口」と18歳までの「高校生人口」、そして「59歳以下の失業者・無業者」と「60歳以上で働いていない高齢者」の合計として約40%が得られた。
換言すれば、これは「働く階級6割」「働かない階級4割」となり、同時に「経済的地位をもって働いている」60%の人々が、自らも含めた全国民100%を支えているという社会法則がここから見えてくる。
階級の細分化を行う
以上を前提として、いくつかの提言がある。
一つは社会全体を7階級による分類でも構わないのだが、たとえばより実態に近づけるために、「資本家階級」250万人のすぐ上に0.1%の2500人(1%の25000人でも可)の「ピーク資本家階級」を置いた方がいいのではないか。なぜなら、250万人が同じ資本家階級というよりも、たとえば日経平均株価の225銘柄の経営者や大株主を別扱いした方が、現代のグローバル資本主義の構造にもふさわしいからである。
同じような主張は、アセモグルとロビンソンの共著でも見られる。すなわち、「不平等の・・・・・・側面を測る指標の一つに、所得分布の上位1%と0.1%の所得が国民所得に占める割合がある。これらの層は超富裕層と超・超富裕層に相当」(アセモグル&ロビンソン、2019=2025:438)すると指摘している。
「東証プライム市場に上場する約2000銘柄には資本金や売上高や利益率などでかなりな相違がある。そのなかから取引が活発で流動性の高い225銘柄が選ばれて、日経平均株価が算出されているが、もちろん異なる指標であるJPX日経インデックス400社の銘柄でも構わない。要するに何かの基準を使って、「資本家階級」を2つに分けることが日本の現状把握にはより有効であると思われる。
「非正規雇用」=「アンダークラス」は最下層か?
もう一つは「非正規雇用」=「アンダークラス」が最下層と位置づけられながら、図2ではあわせて「59歳以下で専業主婦以外の失業者・無業者」227万人がその下に置かれている。
特に「失業者・無業者は、自分たちが日本社会の最下層であることをはっきりと自覚している」(同上:141)ならば、2023年で年間約3.6兆円(国立社会保障・人口問題研究所編,2025:18)使われた「生活保護」の受給者をどのように考えておくかの問題が生じる.
すなわち「失業者・無業者」の一部には「生活保護」受給者がいて、三大都市圏の調査票では、「10.1%の人が、最近1年間に生活保護を受給している」(橋本、前掲書:142)という結果も紹介されているからである。
この層をどこに位置づけるかもまた「新しい階級社会」研究では求められるが、橋本にはそこまでの踏み込みはなかったようである。
世界人権宣言第23条から
世界人権宣言第23条は「すべての人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する」(外務省ホームページ)となっている。
橋本の階級分類では、「失業者・無業者」は「アンダークラス」の下に置かれているが、「失業に対する保護を受ける権利」を行使した「生活保護受給者」は、図2を使えば「失業者・無業者」の一部であり、そのどこかに属すことになる。
人口構造面からの社会法則
以上の「働く階級6割」と「働かない階級4割」の社会法則を受けて、次に人口構造の観点から類似の社会法則を探ってみよう。
団塊世代全員が揃った1950年の「年少人口(0~14歳)率」は実に35.4%もあり、戦後のベビーブームを象徴する数字であるが、反面で「高齢化(65歳以上)率」はわずかに4.9%であった。これを「年少人口率」と合計すれば「非生産年齢人口率」は40.3%になり、もう一方の「生産年齢人口(15~64歳)率」59.7%と対応する。
1950年代前期は日本国民の半数以上(57.5%)が高校には進学せずに、中学校を終えて自営業や職人としての見習いなどの業務についていた(文科省「戦後における高等学校入学者選抜制度の経緯」文科省ホームページより)。だから当時は15歳から本当に「生産年齢」なのであった。そうすると、ここでも「生産年齢人口6割」と「非生産年齢人口」4割」が成立する。
現代の「生産年齢人口」(現役世代)は20歳から64歳
1993年以降現在まで日本の18歳は高校生・大学生であり、大学進学率と高卒後の専門学校進学率合計が60%程度に増え続けていたので20歳未満までは「生産年齢人口」に入れずに、20歳以上から64歳までを「現役世代」と見なす時代になっている。
仮に2023年10月1日確定値を使えば、日本での19歳までの合計が1967万人となるから、総人口の12435万人で割ると、15.8%を得るので、これを日本の若い方の「非生産年齢」の比率と見なせる。
その一方で65歳以上の高齢化率が29.1%なのだから、両者合計での「非生産年齢人口率」は44.9%になる。そうすると自動的に「20~64歳」までが「生産年齢人口」になり、55.1%を得る。
現代は 「働く比率55%で社会全体100%を支える」社会法則
すなわち1950年でも2023年でも、「生産年齢」基準を時代に合わせて動かせば、「生産年齢」55%~60%、「非生産年齢」(年少人口+高齢人口)45~40%が可能になる。つまり21世紀の今日では「働く人口55%で働かない人口45%をふくむ100%の社会全体を支える」という「社会法則」が得られるのである。
厳密にいえば人口論の観点からは、21世紀の時代では生産を通して所得を稼ぐ人々は国民のうち55%であり、これにより国民総生産が得られて、それらからの税金や保険金や掛け金などが出されて、国防、治安、教育、福祉、医療、都市生活インフラ、交通、防災など全分野に必要な予算や資源が捻出されてきた。
この「55対45の社会法則」を前提として、21世紀中期へ向かう未曽有の「少子化する高齢社会」への着地点を探求することが、今の日本ではいちばん現実的な方法になる。
「胴上げ型」「騎馬戦型」「肩車型」
ところが内閣府『高齢社会白書』(2023年版)では、「現役世代1.3人で1人の65歳以上の者を支える社会の到来」が書き込まれている。
また、厚生労働省のホームページ「社会保障・税一体改革とは」をはじめ、様々な政府のホームページでは、高齢者を支える現役世代の人口が減少している日本のイメージを分かりやすくするために、
- 1965年ごろ「胴上げ型」:65歳以上1人に対して20~64歳は9.1人
- 2012年ごろ「騎馬戦型」:65歳以上1人に対して20~64歳は2.4人
- 2050年ごろ「肩車型」:65歳以上1人に対して20~64歳は1.2人
が繰り返し使われてきた。
このような分類を行うと、「1人の現役世代が1人の高齢者を支える『肩車社会』の到来は目前に迫っており、持続可能な社会保障制度の構築が急務だ」とまとめられてしまう。
歴史的な推移としては、「日本の社会保障は、かつては多数の現役世代が高齢者1人を支える『胴上げ型』だったが、今回の推計の生産年齢と高齢者の人口比は2.04対1.2人で1人の高齢者を支える『騎馬戦型』が維持できなくなり、1人が1人を支える『肩車型』への移行は目前に迫っている」といわれることもある。
しかし、「胴上げ型」「騎馬戦型」「肩車型」などの3類型は、0歳から19歳までも取り込んだ「非生産年齢人口」45%の存在を忘れた議論である。なぜなら、義務教育の全費用をはじめ「子ども手当」や教科書代やiPad代それに給食代など数多くの「年少人口」向けに投入される資金もまた、55%の「生産年齢人口」が稼ぎ出しているからである。もちろん過去数年間の「少子化対策」年間予算6兆円(直近では7兆円)も防衛費6兆円もまた、55%の「生産年齢人口」に依存したことになる。
現役世代が支えるのは「非生産年齢人口」(高齢者と年少世代)込みの社会全体
福祉系では時にこのような議論、すなわち「5人の現役世代が1人の高齢者を支える」社会から、「現役世代1人が高齢者1人を支える」社会への移行が危惧されてきた。
しかし、現役世代が支えているのは高齢者だけではない。「年少人口」のすべても支えていることを忘れた一方的な議論では、日本の正確な将来像が描けない。
次に本書での階級論について、いくつかの疑問点を出しておこう。
非正規雇用の問題
「アンダークラスの典型はフリーター」(同上:36)であることはかねてから私も了解していたが、調査結果から「アンダークラスは、大卒者の比率が37.7%と低く、短大・専門を含めても63.8%にとどまり、高卒者が34.6%と多い」(傍点は金子、同上:37-38)については理解に苦しむ。
一つは橋本の定義である「アンダークラス=非正規雇用」から見て、「大卒者の比率が37.7%」は低いのだろうかという疑問がある。「低い」という表現は「正規労働者階級」の大卒者率56.4%に比べての判断だろうが、曲りなりにも4年間の大学教育の成果が見て取れないほど、このアンダークラスに37.7%もの大卒者が該当することはむしろ比率的には高いのではないか。
たとえば親世代からすれば、初年度の入学金をはじめ4年間の授業料や生活費などを負担したあげく、37.7%が「フリーター=非正規雇用=アンダークラス」の道しかなかった大学教育に対してどのような思いを抱くだろうか。また「高卒者が34.6%と多い」(同上:38)は何と比較して「多い」のかがよく分からない。
2階級の経済格差
さらにいえば、40頁の「5つの階級の経済格差」は三大都市圏調査データから得られているが、ここでもアンダークラスの「個人年収」216万円と「世帯年収」379万円などは了解できるが、「総資産額」720万円については腑に落ちない。
年収が2021年のものと明記してあるので、当時のアンダークラスは「雇用の調整弁として使われ、仕事を失った人が多かった」(同上:41)のに、「総資産額」720万円が気になるのである。
この部分を橋本は「アンダークラスはわずか720万円で、正規労働者階級の半分程度に過ぎない」(同上:40)と書いたが、身近なところでの私の経験では、非正規雇用者が正規雇用者の「半分」の「資産総額」をもつことはめったにないような気がする。
その理由は図3と図4に求められる。このうち橋本もまた本書冒頭で同じジニ係数を使いながら、特に「当初所得(税引き前の総所得)」のジニ係数の上昇が激しいことを指摘している。
この原因として、「一部の富裕層がますます豊かになったこと、低賃金の非正規労働者が激増したこと、…貧しい高齢者が増加したこと」を理由とした(同上:7)。
「当初所得」による比較
図3では厚生労働省「所得再分配調査」と総務省「労働力調査」に基づき、「当初所得」が雇用者所得や事業所得、財産所得などの合計額であること、そして「再分配所得」は当初所得から税金、社会保険料を控除し、社会保障給付を加えたものであると説明されている。
ただし、本書全体でのデータベースである「三大都市圏調査」ではその対象者は「20~69歳」に限定されたから、増加した「貧しい高齢者」への言及はなく、もっぱら激増した「低賃金の非正規労働者」の問題が取り上げられている。
図3 非正規雇用の増加と格差の拡大
出典:『日経ビジネス 徹底予測 2026』日経BP 2025:190.
橋本のいう「当初所得(税引き前の総所得)」がかなり低い「非正規労働者」が増えるにつれて、1980年前後からのジニ係数が上昇を開始し、0.6に迫っている。
周知のように2005年前後の小泉内閣で「非正規雇用」が全面解禁になってからは格差が大きくなり、図3のように「非正規労働者」の傾向とジニ係数の伸びも重なってしまったように見える。
「賃金格差」(月額賃金の推移)
しかし私がもっと気がかりなことは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく図4の「賃金格差」(月額賃金の推移)である。2024年の「正規雇用」が月額34万8600円であることにたいして、フルタイムの「非正規雇用」では23万3100円に過ぎなかった。
図4 正規雇用と非正規雇用の賃金格差
出典:『日経ビジネス 徹底予測 2026』日経BP 2025:191.
ボーナスを加えて年収がこの14倍だと仮定してみると、「正規雇用」の年収は約488万円になり、ボーナスが出ない「非正規雇用」では約290万円となる。
一方で、三大都市圏調査結果に基づく図1における「正規労働者階級」の平均年収が486万円であったことはさておき、「非正規雇用者=アンダークラス」では216万円に止まっていたことをどう解釈するか。
月額賃金比較と年収比較のズレ
まとめると、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」での正規雇用と非正規雇用間の月額賃金比較では約1.5倍であったが、橋本による三大都市圏調査データにおける年収比較では、2.3倍の収入格差になっていることが分かる。
このように、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」と調査票による「三大都市圏調査結果」とではかなりな相違が認められるが、どちらの結果も受け入れた上でいえば、「経済格差」のうち「総資産額」が「非正規雇用=アンダークラス」に720万円もある(同上:40)とは思われないのである。
貧困率の比較
この相違は、表2のうちの「貧困率」の比較からもうかがえる。これは「三大都市圏調査結果」から算出された貴重な比較データである。
表2 5大階級の経済状態の比較(2019年と2021年)
出典:橋本、2025:248.
たとえばコロナ禍の2021年の「世帯年収」が減少したことは了解できるが、「貧困率」についても橋本の解説は簡単であった。すなわち、2019年 「正規労働者階級」貧困率(7.0%)と「アンダークラス」貧困率(33.2%)の相違、および2019年 「正規労働者階級」貧困率(7.6%)と「アンダークラス」貧困率(37.2%)の相違、19年が4.7倍、21年が4.9倍の貧困率の違いがあることの説明がなされなかった。
両年で、「正規労働者階級」の約5倍の「アンダークラス」の貧困率の結果と、「アンダークラス」の「総資産額」が「正規労働者階級」の約半分だったことの整合性が把握できない気がする。これは調査票による経済面のデータ収集の難しさが窺われる事例である。
今回はここまでであるが、いずれ「日本社会を現在の危機から救う」(橋本、前掲書:325)方法についても考えてみたい。
【参照文献】
- Acemoglu,D. & Robinson,J.A.,2019,The Narrow Corridor :States, Societies and the Fate of Liberty,Penguin press.(=2025 櫻井祐子訳『自由と国家』(下)早川書房.
- 橋本健二,2025,『新しい階級社会』講談社.
- 金子勇,2026,『少子化と縮減社会』東京大学出版会(近刊予定).
- 国立社会保障・人口問題研究所編,2024,『令和4年度 社会保障費用統計 2022』同研究所.
- 日経ビジネス編集部,2025,『日経ビジネス 徹底予測 2026』日経BP.