
異動で九州を離れてから5か月。初めて九州に戻って来ました。この日の九州訪問は博多で「推し活」をするためだったんですが、日中はまだ時間があります。天神駅から西鉄に乗って福岡県を南下。西鉄柳川駅にやってきました。
柳川市には学生時代に一度来ているのですが、それ以来の訪問。30年以上ぶりの再訪です。

駅から数分ほど歩くと遊覧船乗り場があります。柳川は「水郷のまち」として知られ、「掘割」と呼ばれるこのような水路が街中に張り巡らされています。
かつては有明海の一部だったこの地域は、土砂が溜まることによって陸地化し、数千年前から人が住みだすようになりました。ただ、やはり低湿地でひとたび大雨が降れば家が流されてしまうような状態であったことからここに水路を掘って水を逃がし、さらには雨水を貯めて生活に利用することなりました。また、水路と水路をつなげば道路の代わりとなり、人々の移動や物資の輸送にも使われるようになりました。
時代が進み、ここに城ができると城の堀としても活用されるようになって整備が進みます。このように長い年月をかけて作られ、守られてきた掘割は現在総延長は930キロにも及び、日本を代表する水郷の町が今ここにあるのです。

街を歩けば掘割にあたる。

街のそこかしこで見かける掘割の「交差点」。

駅から町の中心部は歩いて15分から20分ほど離れています。さらに、観光の中核となる「御花」のあるエリアはその先でバスが駅と各エリアの間を結んでいるのですが、街をめぐる掘割の様子を見ながら歩けばそんな時間もあっという間です。いくつかの掘割の脇は遊歩道が整備されているので、散歩しながら「御花」エリアを目指すのもいいと思います。

そんなに歩くのはイヤ、という方は駅の近くから出る遊覧船をお勧めします。船頭さんのガイドを聞きながら掘割の町、柳川を存分に楽しむことができるので多くの方が利用されています。

掘割は風の通り道となっており、冬は陸地より風が強く吹きます。正直寒いですが、安心してください。こたつ舟などというものも用意されていて、暖かいこたつに入りながら柳川観光をすることも可能です。

掘割の畔に置かれた「待ちぼうけ」の銅像。ここは童謡「待ちぼうけ」を作詞した童謡作家で歌人でもある北原白秋が育った町。船頭さんが船の上で「待ちぼうけ」を歌う声がここまで届きます。

駅から40分ほど歩いて「御花」エリアに来ました。観光エリアだけあって、ここに観光船の乗り場が集まります。

さきほどから何度か登場している「御花」とはこちらの建物。1738年に柳川藩藩主、立花貞淑(さだよし)が家族と過ごすために屋敷を建てたことが始まりです。現在ある洋館などの建物は1910年にその末裔によって建てられたものです。


洋館や大広間などは中を見ることができ、その奥にある庭園「松濤園」は上から眺めることができます。洋館と大広間は渡り廊下で繋がっています。和洋の建物が繋がっている建物は今では珍しいですが、この時代の上流階級の主流の建築様式でした。

この日は大広間は結婚式が行われていて見ることはできませんでした。洋館の方に足を向けます。

防災用ヘルメット…?と思いましたが、柳川藩藩主立花家の甲冑です。



「柳川まり」。
柳川ではひな祭りに「さげもん」と「柳川まり」を飾る習わしがあります。ひな祭りを前に多くの「さげもん」が建物を彩り子供たちの健やかな成長と長寿を願います。



洋館では当時の調度品が出迎えてくれて、かつてここに住み生活をしていた人たちの思いを馳せます。ここにも椅子が整然と並べられていて、結婚式を挙げることができるようです。

結婚式が行われている大広間の前には松濤園が広がっています。江戸時代初期から作庭された名勝で砂の出島や池の中に松島を模した岩島などが広がります。国の名勝に指定された庭園です。

御花を出たら午後1時を回っていました。町には名物のうなぎ屋が多く建ち並んでいるんですが、推し活にお金を使うため金銭的な余裕がありません。

入ったのは御花にほど近い「夜明茶屋」。鮮魚店の奥で食堂を営み、新鮮な海産物を食べることができます。

座ったカウンター席の上には聞きなれない魚や海の生き物の名前が並びます。お店の人も気さくな方で「有明海の変な生き物ありますよ!」と声をかけていただきました。ムツゴロウは知っていますが遠浅の有明海には独特の生き物が多くいるようです。

店員さんには申し訳ないですが、無難に海鮮丼を頂きました。ただそこはやはり鮮魚店直営のお店。身が引き締まっていて新鮮です。市の西部は有明海に面する柳川。次はムツゴロウなんかも食してみたいですね。

どでかいおかめが出迎える日吉神社。

帰りは違うルートを頑張って歩いて駅まで向かいました。
掘割に抱かれて独特の町の景観を見せてくれる水郷の町・柳川。福岡きっての観光地である太宰府からも西鉄でアクセスできて便利な場所にあります。是非一度立寄っていただいて歩いて、船にも乗ってこの町のすばらしさを体感してもらいたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年1月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。






