紹介しにくい本を記事にする?掲載NGをヒットさせる視点

RuriByaku/iStock

先日、書籍紹介のスタンスについてまとめた記事を掲載したところ、思いのほか反響があった。

著者から「書籍紹介の点数に納得できない」と言われた話

著者から「書籍紹介の点数に納得できない」と言われた話
先日、ある著者から献本があった。はじめての出版だという。SNSの投稿などから頑張っている姿勢も伝わってきた。しかし、内容は自らの経験談がほとんどで客観性に乏しく、主張を裏づけるエビデンスもない。 結果、ごく平凡な評価をつけた。また、親...

そのなかで「いままで何冊の本を紹介してきたのか」という質問をいただいた。数年前に1万冊を超えたあたりから数えていないので、正確な数字はわからない。メインの投稿先であるアゴラもサイトリニューアルで過去記事の多くが整理されたし、かつて執筆していたサイトも閉鎖・売却されたものが少なくない。

ブログもいくつか開設していたが、サービス自体が終了したものが多く、いま残っているのはアメブロ(公式)とnoteくらいである。

ネットが書籍の売上を動かす時代があった

冊数はわからないが、書籍紹介の記事が販売に直結することは多かった。Yahoo!ニュースに転載された際のアクセスの伸びがその理由だ。最近ではランキングの仕様が変わったので参考にならないが、数年前までは総合アクセス1位を100回以上獲得していた。

伸びる記事は掲載後20~30分でアクセス1位になる。総合1位になると数日で200~300万PVに達する。PVがここまで跳ねると、Amazonは即完売で即重版になる。

数百万円かけて新聞広告を出しても売れるのは数十冊が関の山だが、ネットでは一気に数百冊動く。何度もその瞬間を目の当たりにして、ネット記事の影響力を実感してきた。

当時はアクセスを稼ぐためのテクニックもあった。タイトルを煽ったり、1000文字程度の短い記事でリンクに誘導したり。しかし、いずれもいまでは通用しない。過剰な表現は忌避され、Googleからも評価されなくなった。

テクニックが廃れるなかで、唯一いまでも変わらず使えるものがある。「自分なりの視点を持つこと」だ。具体的にどういうことか。占いの本で重版をかけた事例で説明したい。

2014年にビジネスジャーナルに掲載した風水に関する記事がある。現在は同サイトのリニューアルにより閲覧できないが、転載先で一部が残っている。

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占いの本をどう料理したか

占い、スピリチュアル、自己啓発。ネット記事では扱いにくいジャンルの筆頭だ。根拠を示しにくいし、内容をそのまま紹介しても「この占いは当たります」「黄色い財布を持てばお金持ちになれます」では記事として成立しない。

だが、たまたま著者が来日していたので取材を行ったところ、切り口が見えてきた。台湾では風水は学問として体系化されており、大学の専門課程もある。政治家にはお抱えの風水師がいて、華僑にとって風水は生活の一部だ。日本に伝わっている風水はかなり曲解されている――。「日本人が知らない風水の実像」という視点で記事を構成した。

サンマーク出版の文庫本で、発売から1カ月近く経っていた本である。しかし、この記事がヤフーニュースでアクセス1位を獲得すると、その日のうちにAmazonが完売し、書店からの注文も殺到。数日後に重版が決まった。

本の中身をなぞっていたら、この結果にはならなかった。取材で得た独自の視点から再構成したからこそ、読者の関心を引く記事になった。扱いにくいジャンルほど、書き手の視点が問われる。

次回は、いま私がどのようなことを意識しながら記事を書いているのか、現在の視点についてお伝えしたい。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)