今回の衆院選では、自民党が比例代表で大量の票を獲得したにもかかわらず、比例名簿に登載した候補者数が足りず、本来得られたはずの議席の一部が他党に配分されるという、極めて象徴的な現象が起きました。
得票数ベースでは本来81議席に相当したものが、実際の当選者は67人。差分となる議席が、結果として他党に配分される形となりました。
制度上そうなることは理解できます。比例代表はあくまで「ブロックごとの名簿順位に基づいて議席を配分する制度」ですから、名簿に人がいなければ、その分は他党に回る。ルールとしては一貫しています。
しかし、ここでどうしても感じる違和感があります。
長妻昭氏 立憲民主党HPより
有権者の意思と、議席の帰属がズレる問題
今回のケースでは、
「自民党に投票した」
↓
「本来なら自民党の議席になる」
↓
「しかし実際には他党の議席になる」
という構造が発生しています。
しかも、その“他党”が、政策的にも思想的にも、投票した有権者の意思とは真逆の政党であるケースもあり得るわけです。
そして実際に今回は、自民党の議席で中道やれいわが当選しています。
これは、民主主義の根幹である「投票意思の反映」という観点から見たとき、本当に妥当なのか。
制度的に正しいことと、民主的に納得できることは、必ずしも一致しません。
「棚ぼた議席」は本当に望ましいのか
今回のように、他党にとっては「棚ぼた議席」が発生する構造は、
・候補者を多めに立てるインセンティブ
・得票と議席の対応関係の不透明化
・制度への不信感
といった副作用も生みかねません。
特に政治不信が強まっている現在、「制度上そうなっているから」で済ませるべきではないと思います。
私案:不足分は空席扱い、あるいは議席減も検討対象ではないか
一つの考え方として、名簿不足による未充足分は空席扱い(または総議席数減)という設計も、検討の余地があるのではないでしょうか。もちろん、
・議席定数の考え方
・国会の機能維持
・制度設計の複雑化
などの論点はあります。しかし、少なくとも「投票した政党とは全く別の政党の議席になる」という構造よりは、民意の純度という意味でまだ納得感がある可能性があります。
圧勝の裏側で見えた、制度の盲点
今回の現象は、ある意味で「圧勝だからこそ露呈した制度の盲点」です。2005年の郵政選挙でも似た現象が起きましたが、今後も同様のケースは起こり得ます。
だからこそ、
- 比例名簿の設計
- 議席配分の例外ルール
- 未充足議席の扱い
については、冷静に、そしてオープンに議論していく必要があります。
編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年2月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。