GLイベンツに630億円随意契約、止まらない愛知・名古屋アジア大会の不手際

愛知・名古屋アジア競技大会で、国歌の取り違えや選手輸送、宿泊をめぐるトラブルが相次いでいる。個々のミス以上に注目されるのが、大会組織委員会が競技会場の設営・運営をフランス系イベント大手GL eventsの日本法人、GL events Japan株式会社に約630億円で発注した経緯だ。

名古屋アジア大会HPより

約630億円を随意契約

組織委員会とGL events Japanは2025年4月、競技会場の設営・運営業務について随意契約を締結した。契約額は約630億円。親会社のGL events SAが大会最高位の「プレステージパートナー」となったことから、組織委の契約規則に基づいて随意契約の候補者となった。

GL events側によると、対象は58会場で、会場設計、仮設インフラ、照明・音響、入場管理、観客サービス、表彰式など大会運営の中核を担う。単なるスポンサーではなく、競技会場を実際に動かす主要事業者である。

国歌取り違えという重大ミス

ところが18日のホッケー男子韓国―バングラデシュ戦では、韓国国歌ではなく北朝鮮国歌が流れるという失態が起きた。韓国側は強く抗議し、組織委は謝罪した。

南北関係の緊張を考えれば、単純な音響ミスでは済まない。GL events側は音響や会場運営を担当領域としているが、当日の国歌再生をどの企業が担当していたかは明らかになっておらず、同社の直接責任と断定することはできない。

だからこそ、組織委には誰が担当し、どの確認作業が機能しなかったのかを説明する責任がある。

バス不着、宿泊混乱も続出

大会ではこのほか、韓国バスケットボール代表を迎える送迎バスが来ず、決勝前の練習ができない事態も発生。コンテナ型宿泊施設では水漏れやベッドの小ささが問題になり、クルーズ船では乗船まで約6時間かかった選手もいた。

これらすべてがGL events Japanの担当ではない。輸送や宿泊は別の企業が受託している。むしろ問題なのは、大会業務を多数の企業に分割発注しながら、組織委が全体を適切に統括できていたのかという点だ。

問われる組織委の発注・監督責任

GL events Japanは大阪・関西万博でも、海外パビリオン工事の下請け企業との支払いトラブルが問題となり、愛知県議会や国会でもアジア大会への影響が取り上げられていた。

それでも約630億円の大型案件を随意契約で発注した以上、組織委は「専門業者に任せた」で済ませることはできない。

国歌を間違え、バスが来ず、宿泊でも混乱が続く。問われているのはGL events Japanだけではない。なぜこの企業を選び、どこまで任せ、誰が全体を管理していたのか。大会終了後には、巨額の発注に見合う運営体制だったのかを検証する必要がある。

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