10月2日夜、日本時間午後9時半から約30分間、フランスが議長国を務めるG7オンライン首脳会合が開かれたが、高市首相は欠席した。これについて政府の説明がいまだに二転三転している。

G7会合(毎日新聞)
議題は主に欧米間のディーゼル燃料価格高騰への対応と、国際エネルギー機関(IEA)を通じた石油備蓄の協調放出(4カ月で計1億バレル)だった。米国のトランプ大統領や欧州各国首脳が出席した。
しかし日本からは高市早苗首相ではなく、シェルパ役の遠藤和也外務審議官が代理出席した。外務省によると、2023年以降の過去のG7オンライン首脳会合では、いずれも日本から首相本人が出席していた。欠席は異例だ。日経新聞
予算委での「設備準備」説と「外務省判断」説
この欠席をめぐり、政府の説明が時とともに変わっている。当初は「議長国フランスが当日直前に急きょ設定したもので、代理出席が認められていた」との説明だった。高市首相自身が10月5日にXで投稿し、官房長官も同旨を述べた。朝日新聞
16日の参院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美氏の質問に対し、高市首相はさらに具体的な理由を挙げた。「当日の直前に開催時間が確定し、事務的な準備が整わなかった」。オンライン会合に必要な大型ディスプレイの設置や回線接続設定のため、事業者を呼ぶ時間が間に合わなかった、と説明した。
同時に「議題が米国と欧州の間の問題だったので、代理出席でよしという話を受けた」「外務省の判断もあった」と述べた。首相は当時、公邸に滞在し、所信表明演説の原稿執筆に充てていたと明かした。会議前の午後6時半から7時45分までは、麻生太郎副総裁ら自民党幹部との会食に出席していたが、「会議の出欠とは関係ない」と影響を否定した。
外交防衛委で露呈した「カオス」
27日の参院外交防衛委員会で、辻元氏がさらに掘り下げた結果、説明の食い違いと責任の所在の不明瞭さが浮き彫りになった。
茂木敏充外相は、欠席について「30分程度の短時間で、首相の発言機会は数分・1回きりになる」「テーマは欧米のディーゼル備蓄放出問題」として、「総合的に判断して」遠藤外務審議官の代理出席が適切だと官邸に伝えた、と説明した。当初、高市首相が強調した「ディスプレイ準備」について、茂木氏は「官邸のディスプレイの問題まで私は承知をいたしておりません」と答弁した。東京新聞
これに対し、中西官房副長官は「外交につきましては、外務省が所管をして担当を当日しております」と返し、自身は当日午後9時半の会合開催を「承知をしていなかった」と明言した。公邸での会食に出席し、アルコールを飲んだことも認めた。高市首相が飲酒したかどうかについては「承知をしておりません」と否定しなかった。
辻元氏の投稿によると、歴代政権では官邸・公邸のオンライン会議設備は24時間対応可能だったとの関係者の証言があるが、高市政権下で「事業者を呼び、何時間もかかる」状態になった理由は明らかになっていない。
責任は誰にあるのか
結果としてわかったのは、
- 外務省は「欧米テーマで短時間・発言機会が少ないから代理で十分」と主張し、官邸の設備準備状況にも言及。
- 官邸側(中西副長官)は「外交は外務省の所管」と責任を外務省に戻す。
- 高市首相は当初「直前設定+設備準備+外務省判断」と複合的に説明。
という混乱した状況である。辻元氏は「誰も責任をとらないカオス状態」と指摘している。「直前」の程度についても、外務省は日程が10月2日当日に確定したと認めたが、具体的な時刻連絡のタイミングは「外交上のやりとり」として明らかにしなかった。
日本政府は9月18日頃に「数週間後に開催」の連絡を受けていたとされ、それほど唐突な開催ではない。フランス側が米国で朝8時半、日本で夜9時半という時間帯を調整した背景もある。
官邸と外務省の調整がうまく行かなかった?
短時間の会合であっても、首脳が直接顔を合わせ、想定外の議論に即応できる意義は大きい。元外務事務次官の藪中氏は「黒子役が首相の代わりを務めることはできない」「首脳が集まっている時は、何が出るかわからない」と指摘している。
現時点で、高市首相の欠席が「外務省の判断」だったという説明は、首相自身と外務省の双方から出ているが、首相が強調した設備準備の問題は関係なく、出席しようとした首相を外務省が止めたものと思われる。
その理由は何だったのか。酒に酔っている首相の顔を見せたくなかったのか。外交のきらいな首相に配慮して、外務省が断ったのか。官邸と外務省の調整がうまく行っていなかったのではないか。責任の所在を明確にして再発を防止することが、外交の信頼維持には不可欠だろう。






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