
首都圏の高速道路で、迷惑車両の集結などへの対応として、パーキングエリア(PA)の閉鎖が繰り返されている。
首都高速道路株式会社が管理する大黒PAでは、夜間の車両集結に伴う閉鎖が珍しくない。一方、NEXCO東日本が管理する東京湾アクアラインの海ほたるPAでも閉鎖が頻発している。2026年10月末までに41回、10月だけで12回。11月1日の日曜日にも上下線が閉鎖された。
道路管理者は異なる。しかし、一部の迷惑行為への対応として、無関係な一般利用者まで締め出される構図は同じだ。
なぜ違反者ではなく、休憩したいドライバーが不利益を受けるのか。
海ほたるは10月末までに41回閉鎖
TraffiClipの報道によれば、海ほたるPAは2026年10月末までに41回、10月だけで12回閉鎖された。

さらに11月1日の日曜日にも、16時から上下線が閉鎖された。
海ほたるは東京湾アクアライン唯一のPAだ。観光施設であると同時に、トイレや食事、休憩のための道路施設でもある。
安全確保のため、一時的な閉鎖が必要な場合はある。しかし、2026年10月末までの10か月間で41回もの閉鎖を、いつまでも例外的な緊急措置として扱ってよいのだろうか。
しかも、公表される閉鎖理由は「警察との協議」という手続き上の説明にとどまることがある。何が起き、なぜ全面閉鎖が必要だったのか。利用者が判断できる情報は乏しい。
迷惑行為の代償を払うのは誰か
PAが閉鎖されれば、一般ドライバーは予定していた休憩を取れない。トイレや食事、買い物も諦めることになる。物流や業務で高速道路を利用するドライバーにとっても負担だ。店舗への影響もある。
海ほたるの公式サイトは11月1日、PAが閉鎖される可能性を告知し、閉鎖が決定した場合には、24時間営業店舗を除いて各店舗が順次閉店すると案内した。
ところが、この11月1日の告知ページは、その後アクセスできなくなり、404エラーが表示される状態となった。削除・非公開となった理由は分からない。閉鎖や店舗営業への影響を後から検証できるよう、道路管理者には過去の告知を閲覧可能な形で保存・公開してほしい。
売上損失額は不明だが、閉鎖は店舗の営業機会を奪いかねない。
迷惑行為をするのは一部の利用者なのに、その代償を払うのは無関係なドライバーや店舗である。安全確保という目的は理解できる。しかし、閉鎖によって生じる不利益を、道路管理者や警察はどこまで把握しているのだろうか。
警察は舐められているのか?
海ほたるだけの問題ではない。
首都高速道路の公式案内では、大黒のほか、辰巳第一、芝浦、箱崎、平和島上りの各PAも閉鎖対象として挙げられている。
なかでも大黒PAは、改造車などの集結で知られる。しかも、ここには神奈川県警高速道路交通警察隊の分駐所がある。警察の拠点がある場所で迷惑行為が繰り返され、そのたびに一般利用者まで締め出される。これでは「警察は舐められているのか?」と問いたくなる。
もちろん、警察が何もしていないわけではない。
2025年6月21日には、警察、関東運輸局、自動車技術総合機構などが大黒PAで特別街頭検査を実施した。検査した53台のうち43台に、最低地上高不足や騒音基準に適合しないマフラーなどを理由として整備命令書が交付された。
こうした検査をネットでは皮肉交じりに「無料車検」と呼ぶこともある。しかし、整備命令は法令に基づく是正措置だ。また、53台中43台という数字は検査対象車両の結果であって、PA利用車両全体の違反率ではない。
問題は、取締りの実施後、迷惑行為がどれだけ減ったのかが見えないことだ。整備命令を受けた車両は改善したのか。再発は減ったのか。閉鎖回数は減少したのか。
検査台数や整備命令の件数だけでは、対策の成果を評価できない。
大黒を閉めれば海ほたるへ?
日本車をめぐる状況も変わっている。
前稿では、ゲームや映画を通じて世界に広がったJDM(日本国内市場向け自動車)人気と、日本のネオクラシックカーが海外へ流出する問題を取り上げた。

かつて日本の若者文化だったスポーツカーは、いまや海外から観光客を呼び込む存在にもなっている。大黒PAは、その日本車文化に触れられる場所として知られるようになった。
しかし、自動車文化を楽しむことと、危険運転や騒音などで公共の休憩施設を占拠することは別問題だ。実際、大黒PAを訪れる外国人向け自動車観光ツアーには、大黒が閉鎖された場合の代替訪問先として、海ほたるPAや辰巳PAを案内する事業者がある。

もちろん、観光ツアーがPAを訪れること自体は違法ではない。観光客の移動と迷惑車両の移動も別問題だ。この案内だけで、大黒の閉鎖が海ほたるの閉鎖増加を招いたとは断定できない。
だが、道路管理者が異なる施設の間で、車両の集合場所が移動する可能性は検証すべきだ。仮に大黒での迷惑行為が海ほたるへ移っているなら、個々のPAを閉鎖しても問題は解決していない。
警察との協議より、関係機関との連携を
大黒PAを管理するのは首都高速道路株式会社、海ほたるPAを管理するのはNEXCO東日本だ。
道路管理者には施設の安全を確保する責任がある。交通違反や危険運転の取締りは警察、車両の保安基準違反への対応には運輸行政も関わる。
私は以前、盗難車の解体や不適切な廃棄物処理などが問題となる「ヤード」について、行政の縦割りと取締りの難しさを論じた。

もちろん、ヤードの違法行為とPAでの迷惑行為は別問題だ。しかし、複数の行政機関が関与する一方で、それぞれの所管業務をこなすだけでは問題全体の解決につながらないという構造は共通している。
迷惑行為をする車両が、道路管理者や行政機関の管轄の境界を意識して行動するとは限らない。
道路管理者に必要なのは、警察と協議してPAを閉鎖することだけではない。警察、地方運輸局、自動車技術総合機構などの関係機関と連携し、迷惑行為そのものを減らす対応である。
集結しやすい日時の重点警戒、違法改造車への継続的な検査と是正確認、危険運転や騒音への取締り、複数PA間の情報共有。閉鎖以外にも取り組むべきことはある。
もちろん、改造車であることや仲間同士で集まること自体が、直ちに違法になるわけではない。取り締まるべきは具体的な違反行為だ。
そして、対策の成果を公表すべきである。PAごとの閉鎖回数と時間、具体的な閉鎖理由、検挙や整備命令の件数、是正状況、再発の有無。さらに、別のPAへ迷惑行為が移動していないかも検証する。
安全確保のため、やむを得ず閉鎖する日もあるだろう。しかし、閉鎖は危険を回避するための一時的な手段であり、迷惑行為を解決したことにはならない。
道路管理者に必要なのは、警察との閉鎖協議を繰り返すことではなく、警察や関係諸機関と連携して、閉鎖そのものを減らすことである。
成果を測る基準は、閉鎖回数でも取締り件数でもない。一般利用者を締め出さず、安全にPAを利用できる状態を取り戻したかどうかだ。
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制度の問題は、問題として認識されなければ検証すら始まらない。私のnoteでは、医療、行政、公共サービス、消費者保護など、日常に埋もれたさまざまな「おかしさ」を問題定義の段階から掘り下げている。








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