2年前、トランプ氏が2度目の大統領に選ばれたのち、氏は第1期に続き、様々な独創的政策を内外に向けて実施してきました。当初はトランプ氏支持者から有言実行に対する一定の評価があったものの、本人はそれに気をよくしてか、次々と難易度の高い挑戦をしました。国内では移民や不正入国者への厳しい取り締まりに一部からは人道的見地の配慮も必要との意見も出ますが、全く聞く耳を持たず、でした。結果として単純労働などの従事者が欠落し、アメリカと海外の人流が乏しくなります。そして関税政策は政府の独走となり、学者や識者の再三の警鐘に耳を傾けることがなく物価高の一因となりました。

トランプ大統領 ホワイトハウスHPより
さらにカナダに無謀な要求を突き付け、カナダ政府ではなく、カナダ人の圧倒的な抵抗にアメリカからも「もうカナダのことを苛めるのはよせ!」という声が出ます。イスラエルには宗教的理由から支援を行い、ネタニヤフ氏と共にトランプ氏の信認度は大きく下がります。ウクライナ問題で政策が二転三転したのはロシアがほぼ不動のスタンスを貫き続けているのに対し、ゼレンスキー氏の政治的な動きによりトランプ氏が翻弄されたと言ったほうが正しいと考えています。結果として選挙直前にはロシアに同調気味になり、アメリカ人の正論派からすれば「何だって?」という状況です。
同様に対中国政策も豹変したと言ってよいと思います。トランプ氏第1期政権の時はあれだけ激しい貿易戦争を繰り広げながら第2期では中国を主たる外交対象とせず、比較的静かであった中で今年に入り、2度の対面を通じて中国への敵対心はすっかり砕けてしまいました。
今回の選挙の敗北理由はメディアが競うように分析していますのでそちらをご覧になられたらよいでしょう。ただ、1つだけ言いたいのは今の段階(NY時間朝8時半)ではまだ当選者すら全部確定していないため、詳細な分析ができる段階にはありませんが、私が先週指摘した共和党支持者の選挙のボイコットはあったと思われます。つまり共和党の自滅が起きたと考えています。
事前投票5500万人ベースで分析した党派別の投票者は民主党46%に対し共和党は40%に留まっていたとみられており、推定するに共和党支持者の共和党候補への投票は相当落ち込んでいたとみられます。事実トランプ氏も選挙後に共和党の投票率が低かった点を指摘しており、多くの共和党支持者は「無言の抵抗」を示したと言えます。結果として上院、下院とも民主党が取りましたが、特に上院の共和党の劣勢は深刻であり、激戦7州のうち、6州があっさり民主党に落ちてしまいました。私はこれはアメリカ有権者の良心の表れであろうと考えています。
ではアメリカ人は刺激の強い政策はもういらないと拒否感を示しているのかと言えばそんなことはなく、個人的には今回は単なる反動だろうと考えています。民主党がこれから主張するであろう政策、特に左派的思考が強い政策や民主的な判断に基づく政策決定プロセスを押し出すならテクノロジーなどの分野で相当の遅れが生まれることは事実。つまり権威国家である中国などのテクノロジーの爆速成長に大きく見劣りする可能性が高まり、これにアメリカ人はいずれ不満を示すであろうと考えています。
ではマネーマーケットです。予告通り選挙が一つのもやもやでそれが結果がどうであれ終わったことでこれから市場は安定するとみています。理由の一つがトランプ氏はイランと敵対できない、よって原油価格は下落傾向になり、世界の物価も落ち着きを取り戻す点です。AIデータセンターも今後民主党主導となれば修羅場がありそうですが、今やAI抜きでは経済も人々の生活も語れない時代となっており、時間はかかるものの推進されていくとみています。もう1つは関税政策が大きく見直される余地はあり、それが貿易量の拡大を伴い、経済の活性化を生み出していくと思います。
アメリカに於いて政党と株価の相関性は低いと考えています。オバマ政権の時もバイデン政権の時も全体を通してみればかなりの上昇です。よって今回激しいねじれが生じるアメリカ政治において経済や市場だけが勝手に走るとは言いませんが、資本市場は市場が自助的に解決する能力を依然、持っていると期待しています。むしろ、政権が変な作用や制限を付加しない方が良いという点で個人的にはこれから2年のレームダック政権の方が市場に優しいのではないかとすら期待しています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年11月5日の記事より転載させていただきました。






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