先日のNHKテレビの報道を見ていて、ソファから転げ落ちると思うほどびっくりしたことがあった。蓮舫参議院議員が鬼のような顔をして、「スパコンで世界一になる意味はあるのか?」と仕分けしていたからである。仕分けされているときに、それに反論している文部科学省の役人を有り難いと思った。日本のスパコンのために頑張ってくれている!官僚をこんなに有り難いと思ったのは久しぶりだ。しかし、スパコンは「来年度の予算計上の見送りに限りなく近い縮減」つまり中止に仕分けされてしまった。
私は、このプロジェクトに直接の利害関係はない。民主党員ではないし、自民党員でもない。週末にこのことに対する論調をネットで読んでいたが、誰も反論しないので、民間人として、スーパーコンピューターの世界に関係があるものとして、この文章を書くことにした。
日本のスパコンは世界一であった
日本はかつて世界一のスパコンを作った国であった。NECが地球シミュレーターとして作り、スポンサーは国であった。私は当時、学術・産業用のコンピュータを作るベンチャー会社、ビジュアルテクノロジー社の仕事をしていた。私はこのスパコンが世界一に選ばれているときに、ドイツのハイデルベルグであった学会の会場にいた。その世界一のスパコンを作って賞をもらった日本人はうれしそうであった。そのスパコンはベクトル計算方式という、いわばこれから無くなると私は思っていた方式なので、「お金さえ掛ければ世界一になれるよな」と思い、そのようなお金を使うことのできる研究者とNECがうらやましかった。その日の晩御飯で同僚とやけ酒を飲んだ。
その会議の最終日、私は少なくとも日本一の新しい方式のスパコンをお金を掛けないで作りたいと思ったのである。新しい方式とは、スカラー方式といい、マイクロプロセッサを多く使うのである。2003年、私達の作ったスパコンは同志社大学に納入が決まり、10月 同志社大学知能情報センターにAMD Opteron Cluster 512 プロセッサシステムが設置された。一瞬ではあったが、11月にAMD Opteron Cluster 512 プロセッサシステムがスーパーコンピューティングサイトTOP500 にて世界第93 位、日本国内PC クラスタ第1 位、AMD Opteron クラスタ世界第2 位になった。NECのスーパーコンピューターに負けたくないという気持ちが、われわれの原動力になったのであった。
同志社大学のスパコン「スーパーノバ」
日本の世界一を超えたのは米国
この時に私が目をつけた競争相手がいた。それがアメリカのブルックヘブン国立研究所(BNL) と日本の理研が共同で行なっていた研究であった。当時、値段の安かったDSPというプロセッサを数万個使ったQCDシステムを考えていた。後にブルックヘブン研究所のメンバーはIBMワトソン研究所に移る。IBMでIBMのパワーPCのCPUをコアにしたカスタムのLSIを作って、同じ考えのスパコンをIBMが作ることになった。これがIBMのBlueGeneである。今、世界中のトップのスーパーコンピュータはこのIBMのBlueGeneが独占している。
このたびの理研のスーパーコンピューターは、このIBMのBlueGeneのもうひとつの流れを正統に汲むものである。そして、それは世界でIBMと理研しかできないシステムである。日本でするならば、理研がやらなくてはならないのである。
経済産業省の配下に産業総合研究所というのがある。ここのスーパーコンピューターの受注を争ったことがあった。われわれは同志社大学という実績があった。敵はIBMであった。IBMは台湾製の部品を安く仕入れて、入札に勝った。私はこのとき、この競争で、まさか産総研がIBMから買うとは考えていなかった。お金のある会社の力にはかなわない。IBMは戦略的な値段で入札を取っていった。産総研のスパコンはその後いろいろなトラブル続きで、世の中には大きなインパクトにはならなかった。お金がいくらあっても実現できないこともあるのだ。
IBMのBluegGeneより早いスパコンは理研が作ることができる
BlueGeneが世界一になってから、ある国立大学の研究所から名指しで呼ばれた。「西さん、IBMのBlueGeneより速いスパコンが作れないか」と聞かれた。「なぜですか?」と問うと、「BlueGeneは32ビットである。できないことが沢山ある。そのうち10年ぐらいしたらIBMは64ビットのBlueGene64を投入してくるだろう。でも、私はそれまで10年間も待てないんだよ。」
このたびの理研のスーパーコンピューターは大体において、このIBMのBlueGeneを64ビットにしたような機械である。理研はこのコンピュータを富士通から買うという意識ではないはずである。理研が作っているという気概があるであろう。これを速やかに実現すれば、数年は世界一がとれる。そしてその後、IBMが必ず取り返すであろう。そしたら日本はまたそれより速いのを作ればいい。
世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ
日本のために世界一を取るのではなく、世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ。IBMに対抗して、それが取れるのにもっとも近いのは、もともとの兄弟分であった理研だけである。NECも日立も、スパコンを止めてしまった。富士通だけがやってくれている。富士通には日本のために頑張ってもらわなくてはならない。富士通のスパコンは最後の希望ではないか。少しぐらい儲けてもらってもいい。世界一の競争ができなくなれば、一番喜ぶのは米国メーカーである。日本が世界一になるから、その次の競争がある。米国は当分世界一を続けるであろう。しかし、競争はそこで停滞する。
何も知らない議員が、歴史も、経緯も、何も考えないで決めていいのか
1967年生まれの蓮舫議員は1995年に台湾からの帰化日本人である。1997年に双子の子供を生んだときには、日本の国籍になったにも拘わらず、中国風の名前をお付けになっている。家庭的には感覚は中国のひとなのであろう。私はそうは思わないけど、日本のスーパーコンピューターをつぶすために、蓮舫議員のバックは誰で、その生まれた国の意向があるのかなあと思う人もいる。もし、そうだったらビックリだけど・・・。蓮舫議員の問題は、あの席で、大蔵省の生意気な主計官をはるかに超えた、麻生前総理大臣のいう「公開処刑」の検察官のような口のきき方をしたことではないであろうか。蓮舫議員は勘違いしているのではないか。
アメリカの外国系の帰化人は議員であれ一般人であれ、一般のアメリカ人より「アメリカ人である」ということに気をつける。蓮舫議員が、もしアメリカの議員でああいう発言をアメリカ議会の会議でしたら、たいへんなことになるであろう。オバマ大統領が中国シフトのために中国に近い大物を5人も閣僚にしている。ただそれだけでも大騒ぎである。日本はそんなことは、どうでもいいのだ。日本では国益という発言だけで右翼とすら言われたりする。
スパコンを是非復活してほしい
参議院議員や衆議院議員は選挙で選ばれたから議員なので、前歴は関係ないといわれているが、科学技術に全く専門ではない議員や違う分野の学者の発言で、一時間で討ち死にした理研のスパコンは情けなさ過ぎると思うのは私だけではない。仕分けは、ただの仕分けであって、最終の決定ではない。
最終決定は行政刷新会議事業仕分け担当の仙石大臣がこの月末に決めるという。そこでスパコンだけが復活する可能性はないであろう。おそらく仕切りの結果をそのまま認めよと大臣がつめよることになるであろう。工学博士号をお持ちの鳩山総理大臣でも、一人で仕分けの結果をひっくり返すことはできないであろう。そんなことをしたら、周りが反対して大変である。例外は認められないのである。
最後の可能性は2つ
そうすると、復活の可能性は2つしかない。ひとつは、日本郵政の方針が決まったように、仕分け方針を確定させるのは、閣議である。この閣議に文部科学大臣が、しっかりとしたスパコン復活の方針を出し、それに関係する大臣が同意するという閣議決定が必要である。もう一つは、議会の予算委員会である。良識のある議員が予算委員会で発言し、委員会の決義として、しっかりと方針を改めて決めていただくしかない。
もし万一、4年後、8年後に民主党の政権でなくなって、スパコンがもう一度復活しても、それは遅すぎる。回復することは大変であろう。そのときにはスパコンの競争はアメリカと中国の競争になっているだろう。だから、このチャンスを我々は失いたくない。是非、スーパーコンピュータのプロジェクトの復活を望みたい。
文部科学省はパブリックコメントのWEBを作成
まさに、このコラムを送ろうとしていた今、文部科学省のWEBを見に行ったら、パブリックコメントを求める掲示が11月16日付けで出ていた。私のこのコラムに賛成いただける人は、「スパコン賛成」というコメントを是非、文部科学省のパブリックコメントに送って欲しい。もちろん私もコメントを送りたい。文部科学省に送らないで、このBLOGにコメントを付けていただいてもいい。心からお願いします。はっきりとした民意を示すということが、今、我々に求められていると思う。それがないと閣議にも予算委員会にも上げようがない。それが今の私の最後の希望である。
コメント
私は、機械開発・設計・製作の仕事をしていますので、西さんとともに、スパコンの予算を復活していただくことを願います。産業技術は地道な基礎研究の蓄積によるところが大きく、思いつきのアイデアや創意工夫だけでは、一度遅れたギャップを埋めるのは至難の業です。
地道な積み重ねによらずして、一足飛びで目標を達成しようという安易な風潮に、私は大いに危機感を覚えています。確かに産業の軽薄短小化は進んでいますが、その軽薄短小の技術を支えるのが、まさに地道な基礎研究です。
中国の文化大革命よろしく、「国民目線」の名の下に、研究者の地道な研鑽が軽んじられ、科学者や文化人が迫害される現状を大きく嘆かわしく思います。このままでは、中国の文化大革命後のように、国土は大きく荒廃します。
ぜひとも、国士である皆様に再考していただきたく存じます。
はじめまして。
事業仕分けの結果を聞いてスパコンやめるのかぁと寂しい気持ちになりました。かつては日本も世界一だったのに、「スパコンで世界一になる意味はあるのか?」と国会議員に問われる時代、そしてそれに対して国民からそれほど異論が上がらない時代になってしまったのかと。
今、日本で使えるお金が少ない中で、国に頼らなくても開発費を捻出する方法はないのでしょうか。
もちろん、復活するのが一番ですが、しなくても何とかやっていけないかと思います。
スパコン賛成
「そしたら日本はまたそれより速いのを作ればいい。」
「日本のために世界一を取るのではなく、世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ。」
「日本が世界一になるから、その次の競争がある。」
日本は不景気だが、飯を食わねばならぬ。
飯を食うためにはイノベーションが必要だ。
だが、”日本(自分)のために”努力をしたところで、イノベーションは産まれない。
思い出して欲しい。知らないのなら、学んで欲しい。
西さんはスパコン速度競争をF1レースと勘違いしているのではないのですか?速度を上げることが自己目的化してしまっている。
その「世界一」のスパコンを一体何に使うつもりなのでしょうか?
スパコン賛成を募るのであれば、もう少し将来の日本に必要であることを説明されるべきだと思います。この文章からは、「理由は分からないけれど国立大学の研究所が必要としている」くらいのことしか読み取れません。
また、蓮ホウ氏を責めるのはスジ違いです。仕訳対象となった事業は、その前に財務省によって選択されており、事業仕訳の中継はパフォーマンスにすぎません。
蓮舫議員は父親が本省人のようなので、
本人の感覚的には中国人ではなく台湾人なのではないでしょうかね。
これを「感覚には中国の人」と書くのはかなり失礼なことです。
アメリカの例を出すのも結構ですが、
アジア人としての常識に欠けると思います。
中国と台湾の違いに無知だっただけだとしても、
こういった疑いをかけた以上は、
西さんが責められても仕方ないと思いますね。
スパコンは不要ですね。
スパコンなどどうでもよくなるような、もっと根本的な転換がおこりつつあるのではないでしょうか?そして、それはいつもアメリカ発なんですよ、悲しいことに。日本発ってホントにないんですねー。スパコンごときで世界一目指して何が面白い?
susumu_2009 さま
西氏が怒っているのは、事業仕分けの対象にしたことではなく、スパコンの仕分け作業に於ける、蓮舫議員の質問のやり方、内容で使用。事業仕分けの対象にしたのは財務省でしょうが、問い詰め方は、蓮舫議員の責任でしょう。
kuikaraat さま
本省人、外省人で、思想が決められると言う考えの方が問題では無いですか。ああいうスパコンをつぶそうと言う意図ありきに聞こえる背景を疑わざるを得ない視点は、世界的競合の中では、常に持つべきものですよ。そういう視点を述べたことに対して、人権を振りかざすのは、この国の平和ボケ由来のことだし、日教組のやって来たサヨク的思想の刷り込みかもしれませんね。
西さんの意見には研究者の端くれとして共感する点が多くあります。しかしそれでも1000億円は金のかけ過ぎです。TOP500リストによれば”Roadrunner, named after the New Mexico state bird, cost about $100 million,”です。1位を目指すのは構いませんが、200億円程度で達成すべきです。それが出来そうにないのなら諦めた方がいい。1000億円もかけて誰も使わないようなコストの高い技術を開発することに意味があるとは思えません。産総研(産業技術総合研究所)の入札に負けたのも性能を上げることばかりに気を取られ過ぎてコスト意識が低かったからではないでしょうか?同じ世界一を目指すなら、TFLOPS当たりの単価が世界一安いスパコンを作るのはいかがでしょう?その方が他の研究への波及効果が大きいように思われます。
kakusei39 さま
仮に、西さんが、蓮舫議員の質問のやり方、内容に怒っているとすれば、スパコンの復活とは無関係な脱線話といえますが、「何も知らない議員が歴史も、経緯も、考えないで決めてよいのか?」と書かれているので、関連はあると解釈すべきでしょう。
あー、池田さんコメントまだですか?
yondemasuyo さん
池田さんのブログを読めばこの記事にコメントを
よせる必要性があるとは思えません。
>1000億円もかけて誰も使わないようなコストの高い技術
本当に必要とされる技術ならまず自前で開発すればいいと思いますよね。その結果に対して成功報酬という形で開発費用+αを渡すということならまだ少しは理解しようという気にもなります。
日本においてそれだけの技術を独自に開発しようという企業がないということは、あえて‘日本‘がやる必要はなくなっているということなのではないでしょうか。その立場の低下を受け入れられないとしても同じ方法を行うよりは新たなフレームを作る方に資金をかけるべきではないでしょうか。・・・とただの素人考えです。
4. a_inoue 2009年11月17日 04:31
西さんはスパコン速度競争をF1レースと勘違いしているのではないのですか?速度を上げることが自己目的化してしまっている。
西:いいえ F1とは思っていません
早いスパコンには、その速さだから可能になるアプリケーションがあります。それによって新しい研究が進みます。遅いスパコンでは、答えが出ません。
その「世界一」のスパコンを一体何に使うつもりなのでしょうか?
西:いろいろな分野でスパコンの活用が考えられています。ちょっとGOOGLEするだけでたくさん出てきます
5. susumu_2009 2009年11月17日 07:19
スパコン賛成を募るのであれば、もう少し将来の日本に必要であることを説明されるべきだと思います。この文章からは、「理由は分からないけれど国立大学の研究所が必要としている」くらいのことしか読み取れません。
西:文部科学省に出すパブリックコメントには、ご指摘のようにしたいと思います
また、蓮ホウ氏を責めるのはスジ違いです。
西:連ほうの「口の利き方」を問題だと言っております
仕訳対象となった事業は、その前に財務省によって選択されており、事業仕訳の中継はパフォーマンスにすぎません。
西:パーフォーマンスは国会議員だから許されるのですか?
6. kuikaraat 2009年11月17日 07:29
蓮舫議員は父親が本省人のようなので、本人の感覚的には中国人ではなく台湾人なのではないでしょうかね。これを「感覚には中国の人」と書くのはかなり失礼なことです。
西:蓮舫議員の日常の台湾中国韓国関係の発言を調べてからお話になった方がいいと思います。
アメリカの例を出すのも結構ですが、アジア人としての常識に欠けると思います。
西:アジア人としての常識というものはヒトによって違います。あなたのように匿名だったら、何でも言えるのでしょうね。私は台湾が民主的なプロセスで中国の一部になることを、台湾のヒトも、世界も容認すると見ています。
中国と台湾の違いに無知だっただけだとしても、こういった疑いをかけた以上は、西さんが責められても仕方ないと思いますね。
西:私の文章をよくお読みになって下さい。私は疑いをかけていません。
7. palmanagement 2009年11月17日 09:54
スパコンは不要ですね。
西:そう決めつけないでください。お願いします。
スパコンなどどうでもよくなるような、もっと根本的な転換がおこりつつあるのではないでしょうか?そして、それはいつもアメリカ発なんですよ、悲しいことに。日本発ってホントにないんですねー。
西:これは何のことか、ぜひ教えてください。
AGORAに投稿してください。
スパコンごときで世界一目指して何が面白い?
西:世界一は結果であって、そのスパコンで、かなりの面白い研究ができます。
>世界一の競争ができなくなれば、一番喜ぶのは米国メーカーである。日本が世界一になるから、その次の競争がある。米国は当分世界一を続けるであろう。しかし、競争はそこで停滞する。
>そのときにはスパコンの競争はアメリカと中国の競争になっているだろう。
アメリカ、中国の間で競争してくれるなら
停滞はしませんよね?
日本が大金はたいてその競争に参加する
意味はあるんですか?
スパコンがアメリカの独占市場になるならまだしも、他の競争相手がいる限りは
日本は無理してスパコンにこだわらなくても
いいと思います。
9. bobbob1978 2009年11月17日 11:22
西さんの意見には研究者の端くれとして共感する点が多くあります。
西:ありがとうございます
しかしそれでも1000億円は金のかけ過ぎです。TOP500リストによれば”Roadrunner, named after the New Mexico state bird, cost about $100 million,”です。1位を目指すのは構いませんが、200億円程度で達成すべきです。
西:IBMのように32ビットの安いCPUを30万個繋ぐのか、日本はその10倍のスピードのために、64ビットの高いCPUを1万個繋ぐのかのということのトレードオフでしょう。それに、日本は100millionのIBMの10倍を目指しているのではありませんか。だから1000億円というのが見積もりみたいです。
それが出来そうにないのなら諦めた方がいい。1000億円もかけて誰も使わないようなコストの高い技術を開発することに意味があるとは思えません。
西:まあ、1000は多すぎるかもしれませんね。半分ぐらいは富士通の儲けかもしれませんね。でも、あんまり値切れば、富士通が降りてしまいます。これはこまります。
9. bobbob1978 2009年11月17日 11:22
産総研(産業技術総合研究所)の入札に負けたのも性能を上げることばかりに気を取られ過ぎてコスト意識が低かったからではないでしょうか?
西:性能はきめられていて、IBMの値段が問題でした。IBMのロゴを張った箱のなかに台湾製のPCマザーボードを入れでディスカウントしたのと、名も無きプランドのコストぎりぎりとでは、ブランドが強かったということでしょう。
同じ世界一を目指すなら、TFLOPS当たりの単価が世界一安いスパコンを作るのはいかがでしょう?その方が他の研究への波及効果が大きいように思われます。
西:それがIBMの Blueシリーズのコンセプトです。しかし、密度的に集積が難しく、100ペタを目指すと、CPUを64ビットにせざるを得なく、日本方式にならざるを得ません。
結局の所、1000億円という税金を使わせていただく立場
ということを理解していないのが問題なのでしょう。
国民が払っている税金の中から、1000億円を使って、
具体的にどんな事をしたいのか、どんな効果があるのか、
これをわかりやすく説明するのは、
税金を使わせていただく立場の方がすべきでしょう。
とてもじゃないですが、あの事業仕分けの場で分かりやすく説明していたとは思えません。
更に、それを擁護される方が、
・世界一になるのが大事。
・新しい研究が進む。
・GOOGLEするだけでたくさん出てくるから調べればいい。
では、誰も納得しないと思うのが普通だと思います。
1000億円あれば、どれだけ幼稚園・保育園が作れるのでしょうか?
1000億円あれば、何か有効な雇用対策が行える可能性があるのではないのか?
それらを押さえ込んで、「1000億円」をかける価値を
一般人が分かりやすい形で見せるべきだと思います。
それが出来ずに、「基礎研究は大事だ」「その価値は普通の人には分からない」では、じゃー税金を使わずにやってくださいとしか思えません。
富士通に利益がある理由も分かりません。
国も手助けをして、富士通も投資をし、スパコンを開発して、
富士通はそれを販売して利益を上げるなら分かりますが。
西氏の言われる「半分ぐらいは富士通の儲けかもしれません」では、
500億円の税金を富士通にあげただけですね。
今までの話の流れを見ても、1000億あるなら、
他の事に使ってくれと思います。
それとは別にして、たしかに蓮ホウ氏の言い方にはトゲがあったとは思いますが、まぁあのぐらい言われても仕方がない今までのお金の使い方だったと思います。
>100ペタを目指すと、CPUを64ビットにせざるを得なく、
横レス失礼します。現在のスパコンの主流は、まさにAMDの廉価版高性能マルチコア64ビットCPU(Opteron)を超並列したもののようです。ご存知と思いますが、日本式の特徴はCPUのビット数ではなく、ベクトル式であるという事ですね。
Wiredにアメリカのスパコン開発の記事が載ってましたね。
世界最速スパコン:景気刺激策で新研究を支援する米政府
http://wiredvision.jp/news/200911/2009111823.html
日本も負けられませんが、記事にもあるとおり「景気刺激策の一環としておよそ2000万ドルの支援」とありますので(bobbob1978 さんも指摘していますが)2000万ドルX100円/ドルとして20億円ぐらいで済ます知恵が求められているようです。
皆様ご承知のことと思いますが、西氏の記事の投稿後に、Intel社とNEC社によるスパコンの共同技術開発の発表がありました。
記事リンク(出所NEC社HP)
http://www.nec.co.jp/press/ja/0911/1701.html
私はスパコン賛成(中止に反対)です。もちろん、計画の見直しはあってもよいと思います。(私には計画に意見できるほどのスパコン研究に関する知識がありません)
私はスパコン賛成ですが、日本全体のグローバル化への対応の遅れや、危機意識や対処のレベルの低さについて、問題意識を持っております。同時に、日本全体(いいかえれば平均)の問題を、各個別の問題と重ねて議論する乱暴さに、危機感も感じております。
述べるまでもないことですが、研究分野に限らずビジネスにおいても、グローバルに照らして先端的な活躍をしている人材は大企業にも多く存在していること、それは民に限らず官においても同様であることを改めて理解したうえで、それを先端的ではない層(時代に適応できていない層)の問題と混同し、または、利用して、間違った対処をすることは避けなければなりません。マネジメントの問題とテクノロジーの問題を混同してはならないのです。
(つづく)
(つづき)
変えなければいけない(日本の平均を底上げしなければいけない)層は先端的ではない層であり、その多くは言語技術やマネジメントスキルです。
現行のスパコン研究やF1の取り組みに、または、宇宙開発において、常に価値に照らして、見直す(創造する)姿勢は否定しませんし、必要だと思います。これらトップのセグメントに向けた取り組みは、いずれ、民生品に降りてきて活用されることを、重要視して頂きたいのです。
アウトソーシングする取り組みは積極的に活用すべきですが、それは、これまでの知を流出させ、新たに知を蓄積しない国家や組織の運営・経営を意味するものではないことを、改めて理解する必要があるのではないでしょうか。競争ができない立場になってから考えればよいのでしょうか。国家という概念が存在する以上、競争ができない立場は、何を意味するのでしょうか。
19. bakabakaweb 2009年11月18日 13:10
結局の所、1000億円という税金を使わせていただく立場
ということを理解していないのが問題なのでしょう。
西:でも。それを頼む相手は、仕分け人の連ほうぎんではありませんよ。
国民が払っている税金の中から、1000億円を使って、
具体的にどんな事をしたいのか、どんな効果があるのか、
これをわかりやすく説明するのは、
税金を使わせていただく立場の方がすべきでしょう。
西:それはごもっともです。
とてもじゃないですが、あの事業仕分けの場で分かりやすく説明していたとは思えません。
西:説明資料はもうすこし考えて書く必要があったと、私個人は思います。手抜きの資料かもしれません。
更に、それを擁護される方が、
・世界一になるのが大事。
・新しい研究が進む。
・GOOGLEするだけでたくさん出てくるから調べればいい。
では、誰も納得しないと思うのが普通だと思います。
西:そんなことはないと思います。私は私の意見を述べているのであって、仕分け人を説得する立場にはありません。
19. bakabakaweb 2009年11月18日 13:10
1000億円あれば、どれだけ幼稚園・保育園が作れるのでしょうか?
西:子供が生まれないのに?
昔はどうしていたのでしょうか?
不勉強ですいません。
1000億円あれば、何か有効な雇用対策が行える可能性があるのではないのか?
西:仕事しないヒトにお金をあげるような対策をしろというのですか?高速道路はみんなで使うからタダで、スパコンは研究者が使うから駄目というのはおかしいです。その理由づけを考えて、また書きます。
20. bakabakaweb 2009年11月18日 13:10
それらを押さえ込んで、「1000億円」をかける価値を
一般人が分かりやすい形で見せるべきだと思います。
それが出来ずに、「基礎研究は大事だ」「その価値は普通の人には分からない」では、じゃー税金を使わずにやってくださいとしか思えません。
西:考えてみます。あなたは同じことを、オリンピックや高速道路無料のヒトにも言ってくださいね。
富士通に利益がある理由も分かりません。
国も手助けをして、富士通も投資をし、スパコンを開発して、
富士通はそれを販売して利益を上げるなら分かりますが。
西氏の言われる「半分ぐらいは富士通の儲けかもしれません」では、500億円の税金を富士通にあげただけですね。
西:まあ、富士通に頼んでいるのだからしかたがないかもしれません。産業育成は大切です。でも、新しい時代になって、育成の方法論は変えなければならないかもしれません。でも、アメリカから買おうにも、早いスパコンは売ってくれないけど。
20. bakabakaweb 2009年11月18日 13:10
今までの話の流れを見ても、1000億あるなら、他の事に使ってくれと思います。
西:価値観の違いです。残念です。
それとは別にして、たしかに蓮ホウ氏の言い方にはトゲがあったとは思いますが、まぁあのぐらい言われても仕方がない今までのお金の使い方だったと思います。
西:今までのスパコン開発は、お金を無駄に使っていなかったと思いますけど。あなたは何処で、何で、誰がそういうお金の使い方をしていたと言われるのか、教えて頂けませんか。
16. Kenta 2009年11月18日 11:46
>世界一の競争ができなくなれば、一番喜ぶのは米国メーカーである。日本が世界一になるから、その次の競争がある。米国は当分世界一を続けるであろう。しかし、競争はそこで停滞する。
>そのときにはスパコンの競争はアメリカと中国の競争になっているだろう。
アメリカ、中国の間で競争してくれるなら停滞はしませんよね?
西:5年後にね。
日本が大金はたいてその競争に参加する意味はあるんですか?
西:あります。日本が大金はたいてオリンピックに参加する意味はあるんですかねという質問と似ていると思うのですが・・・。
スパコンがアメリカの独占市場になるならまだしも、他の競争相手がいる限りは日本は無理してスパコンにこだわらなくても
いいと思います。
西:スパコンはアメリカの独占になっていませんか?日本は一番をNECで取りましたが、あのスパコンは売れるようなモノではなかった。一台限りのスポーツーカーだったのです。
日本はスパコンにこだわらなくてもいいと、貴方が言うのは勝手ですが、それを言ったら、私はお終いだと思っています。自分では理研や富士通のようなことは出来ないけど、日本にこだわって欲しいと思っています。
西さんがおっしゃるように、
バイオ研究者です。まず文科省の認識がおかしいです。日米スパコンの最終決戦です、とか言っていましたが、全然違います。
ゴールのないマラソンみたいなものですから、常にトップグループの一団として走っていれば良いわけで、1位になるかどうかは、たまたまランナーのタイミング次第です。それをあたかも重要なファクターのように言い切ってしまったことに何か違和感を感じます。
われわれ研究者は高性能なスパコンに常に更新されれば良いわけで、出来れば国産が良いですけど、コストを考えると米国製を視野に入れざるを得ません。妥当なところでは米国製のCPUを使って、国内メーカーがその他を作る。浮いた研究費はアプリ研究に廻す。その方が科学の発展には良いでしょう。蓮舫議員が言いたかったのはそう言うことです。
正直、今回の文科省と理研の戦略のなさには腹が立っていますし迷惑です。スパコンは終わりのない戦いです。持久戦で勝利する戦略で立ち向かう必要があります。
22. fxdoctor_20002009年11月18日 18:52
バイオ研究者です。まず文科省の認識がおかしいです。日米スパコンの最終決戦です、とか言っていましたが、全然違います。ゴールのないマラソンみたいなものですから、常にトップグループの一団として走っていれば良いわけで、1位になるかどうかは、たまたまランナーのタイミング次第です。それをあたかも重要なファクターのように言い切ってしまったことに何か違和感を感じます。
西:同意します
われわれ研究者は高性能なスパコンに常に更新されれば良いわけで、出来れば国産が良いですけど、コストを考えると米国製を視野に入れざるを得ません。妥当なところでは米国製のCPUを使って、国内メーカーがその他を作る。浮いた研究費はアプリ研究に廻す。その方が科学の発展には良いでしょう。
西:OPTERONを高く買わされることになるかもしれませんよ・・・
22. fxdoctor_20002009年11月18日 18:52
蓮舫議員が言いたかったのはそう言うことです。
西:議員はそんなことはいていません。拡大解釈です。
正直、今回の文科省と理研の戦略のなさには腹が立っていますし迷惑です。スパコンは終わりのない戦いです。持久戦で勝利する戦略で立ち向かう必要があります
西:その貴方がお考えの戦略をお聞かせいただけませんか。
個人的には「世界一」を目指したスパコンって言うものは、結果ではなく「制作していく過程」が大事なものと思います。
できたものが結果的に、「2番」「3番」・・・それ以下でも、かまわないのです。
現在できることで、より高性能なスパコンを作ろうとすることで、「最先端」技術と人材を、国内に呼び止めることができると。
言い方が悪いかもしれませんが、それら「最先端」技術を守る約700億円という、税金は安いもの・国民の理解を得られる。
将来の立国を考える上で、国土・資源に恵まれない国において将来の「人材育成」戦略上、必要なことと思います。(唯一の資源ですから)
それらのことを考えると、今回の文科省の対応については(このこと以外についても)
かなり、問題がある。
「仕分け」前の、文科省の対応・準備不足がたたったのでしょうが、
本来何のために、それらの技術を開発しようとしているのか・・・
そのことを役人たちが忘れた結果なのだと思います。
そして是非、官僚政治から抜け出すことを公約とした政権で打破していただきたいと思います。
おっしゃるとうりです。
文部科学省の仕分け資料が良くなかったというのは、民主党の藤末参議院議員が、日経の記事で指摘されています。予算は付いているのだから、「御用だ」というようなかんじだったのかもしれません。私はその場にいなかったけど・・・
このたびの問題の分析についても、併せてしなければいけないと考えております。
>それら「最先端」技術を守る約700億円という、税金は安いもの・国民の理解を得られる。
下記ブログに書きましたが、行政主導によるターゲット政策は、メーカーからすれば予算を消化すれば良いという消極的姿勢で臨むので、ろくな結果になりません。今回のケースで富士通は、「ヤル気」があるのは営業と現場技術者のどちらでしょうか?
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=1691
事業仕分け,文部科学省に意見メールが1200通きたみたいです。朝日新聞が報道していました。その中のどれぐらいが「スパコン」なのでしょうか?とにかく、意見を自分なりにまとめています。この連休中に書いて、明けには出そうと思っています。
論点は、
スパコンを開発することは必要か?
スパコンの開発を民間だけに任せてしまったらどうなるのか?
スパコンで世界一になることの意味は何か?
スパコンのスペックはあれで良かったのか?
スパコンを富士通から買うことになってしまったが、それでよかったのか?
スパコンが1000億するが、その値段は妥当であるのか?
適当でないと言われている今、いくらなら、出して貰えるのか?
もし、ガラポンやって、シナリオが変わるなら、どういうシナリオが考えられるのか?
インテルとNECが組んでもう一度応札したらどうなるのか?
IBMがBlue何とかを売ると言ったらどうするのか?
ソニーがPS3を改造して100万台繋いだ提案したら、どうか?
利用者経費負担の原則が高速道路でありましたが、それを6000億円以上かけてタダにするのが民主党だから、当然このスパコンも利用料はタダにしなければならないのですが、もし、お金を取るならどうするのか?
などを第三者の立場で考えてみたいと思っています。
ネットの掲示されている理研と富士通の計画は、大変よく考えられていて、さすがです。これに文句を付けているのは、競合したり、競合している会社や計画に入れて貰えなかった研究者のようなところがあります。男の嫉妬か?
このカラムを読んで頂いた皆様のご指摘を、真剣に受け止めて、使わして頂こうと思っています。
仕分け人は、パブリックコメントなど、読まないのでしょうかね。パブコメ書いたヒトは、理研と富士通の回し者といわれるのでしょうかね?IPアドレスチェックするのかなあ・・・。
昨日、早速テレビで連ホウ議員をよいしょするテレビ番組がありました。連ホウ議員は出演して、大いばりでした。なんでも、1兆円節約して国を救ったということでした。元通産の岸さんがやんわり批判しておられましたが、ああいう上品な言葉で戦わなくてはならないのかと思いました。私にはあんな上品な言葉は使えません。もっとストレートに話したいと思っています。