日本の携帯電話は、メーカーよりもキャリアのブランドが前面に出ます。
これはメーカーを競争から守る保護主義を建前にしていますが、メーカーはキャリアごとに微妙に違うデザインとソフトウェアを開発する必要があり、参勤交代のように過大なコストを強いられています。
また、キャリアごとの特色は殆どなく、もちろんキャリアは端末メーカーではありませんから、独自の開発力などほとんどなく、ただ横並びをするだけ。世界的には、せっかくiモードでスタートダッシュを決めたのに追い抜かれてしまいました。
世界市場で勝負するには、価格とブランド力が何よりも重要です。
価格を下げるには、販売数を確保する必要がありますが、国内ではキャリアごとに別々の製品を作ることを要求され、また、宣伝上、多くのモデルを作らざるを得ないため、非常に不利になっています。
ブランド力でも、キャリアの言いなりの下請けになっているだけなので、世界で勝負できるような力はありません。
数千万台売れる世界ブランドと、数万から数十万台しか売れない国内分裂ブランドでは勝負にならないのです。
もはや太平洋戦争末期のような戦況ですが、総務省の(強制)SIMロック解除は変革のチャンスです。
今までの横並びキャリアの影で下請けをする体制から変革するべきです。
メーカーのブランドで、横並びキャリアいずれでも使える端末を出し、販売数を確保し、競争に勝ち残る力をつけ、また、低価格高品質の製品で、iPhoneとの戦いに勝利することが、日本の携帯電話の未来の為に必要です。
コメント
何故SIMロックを外すとメーカーの競争力が増すとお考えですか? 実際には全く何の関係もありません。
多くの方が何か勘違いしておられるようですが、SIMロックは通信事業者にそのユーザーが長期間自社の回線を使ってくれることの保証を与える為道具です。
この保証があると、通信事業者はこの見返りに販売奨励金を出したり、回線割引とパッケージになった割賦販売をするなどの便宜を与えますから、結果としてユーザーは安く端末機を買うことが出来ます。SIMロックを外すと、この保証がなくなりますから、通信事業者の支援は無くなり、ユーザーは端末機をコスト+フィーで買わざるを得なくなります。
最近は欧米でも端末機が高度化、高価格化しているので、SIMロックをつけて、「回線利用2年縛りの見返りに持ち帰り価格100ドル」等という売り方をすることが増えています。つまり欧米は日本型に近づきつつあるのですが、総務省は何をトチ狂ったのか、今これを禁止しようとしているかのようです。頭をかきむしりたくなるような話です。
松本徹三さん、コメントありがとうございます。
販売奨励金が出ると言っても、それはあくまでも月々の通信料から出るのであって、端末を分割払いで買うのと本質的な違いはありません。
キャリアが販売奨励金を出さないのであれば、その分通信料を安くできます。2年前にも同じことがありましたよね。
これは、ユーザー間の負担の公平性と、キャリア間の競争促進に効果はありますが、ご指摘されている通り、メーカーの競争力とは関係がありません。
ただ、私はこれが、メーカーとキャリアの関係の変化に繋がると考えています。そしてそれが、対iPhone戦略として、非常に重要ではないかと考えています。
また、メーカー間の自由競争の促進が、競争力の強化にも繋がると思います。
アゴラの品質管理は大丈夫なのでしょうか?
議論の場の体裁をつくるために、一応反対意見も載せようという方針なのでしょうか?
>販売奨励金が出ると言っても、それはあくまでも月々の通信料から出るのであって、端末を分割払いで買うのと本質的な違いはありません
大きく違います。
長期契約の場合、リスクが小さくなるために、キャリアは大目に奨励金などを支払うことができます。
それは、奨励金を出さずに通信料を下げた場合よりも、ユーザーの利益は大きくなります。
社会的総余剰も増加します。
逆に、奨励金が出せなくなると、総支払額(利子を考慮した)は大きく増加するため、販売数量が低下します。
jogmec63さん、コメントありがとうございます。
販売奨励金が、ユーザーの利益を大きくしているかどうか、一概には言えないと思います。長期契約はキャリアの収入を安定させ、それが還元されることにより、ユーザーは利益を得ますが、それにより、キャリアの乗り換えコストが大きくなり、ユーザーにとっては長期契約のリスクでもあります。
しかし、その利益がユーザーに還元されるとは必ずしも言えず、寡占化しているキャリア間の競争は十分に期待できないのではないかと思います。
また、奨励金はユーザーの行動選択に影響を与えますから、市場の効率化という点ではマイナスです。
自分は販売奨励金の廃止と共に端末を買い換えました。イニシャルコストは掛かりましたが、月々の通信費が格段に低下してとても満足しています。買い替えに掛かったコストの償却が今丁度トントンで、今後は同じ端末を使い続ける限り通信費減額分のメリットを享受出来る訳なのですが、これをキャリアに支払うべきだったとする理由は全く思い浮かびません。
不動さんの仰るように、囲い込みよりは流動化の方が市場にとってより健全だと思います(SIMロック解除によって競争が促進されるかまでは良く分かりませんが)。大規模なインフラ整備にあたり、キャリアがユーザの確保に奔走するのは十分理解出来ますが、もう少し他に公平なやり方があるのではないでしょうか。
「SIMフリー=iPhoneに対抗」と思っているのでしょうが、ずいぶんと偏った知識をもって書いておられるようです。
まず、iPhoneはSIMロック端末です。販売国によってはSIMフリーにしたり、2キャリア併売も認めていますが本家アメリカではAT&Tによる販売しか認めていません。
SIMフリーな端末を上回る成功を成し遂げている現在、SIMフリーにしたから日本のメーカーも対向できるだろう、という意見は明らかな勘違いです。
もう一つ、iPhoneはOS、ソフトウェア、ハードウェア全てを研究・開発しているApple社から発売されている、世界でも特殊な携帯端末です。日本のメーカーがこの機種に対向するにはOSから、それ以前にユーザビリティのような根底からやり直す必要があります。
Android対応端末は一見iPhoneに対する各社の答えのように見えますが、OSの設計理念自体が「iPhoneに追いつこう」であり、「さらによりよいユーザ体験を提供しよう」ではありません。このような間に合わせOS端末にすがりつくような日本メーカー各社は根本から間違えています(それでも、今現在を生き残っていくために必要なことだとは思いますが)。
SIMフリーとなった数年後には安価なアジア製携帯端末が大量に流通し、日本メーカ製携帯は生き残ることすら困難でしょう。メーカーによるPRの無くなったキャリアも体力のあるドコモは生き残るでしょうが、残りは買収・統合の憂き目をみることでしょう。総務省も(現政府も)そこまで計算して今回の発表を決めていたと思われます。
forcasa3さん、コメントありがとうございます。
ユーザーの欲求が、素直に満たされる環境こそ、健全な市場と、メーカーの競争力を醸成する上で、必要なものだと思います。
yupaetoさん、コメントありがとうございます。
iPhoneより優れた製品を開発しなければならないというのはその通りだと思います。
SIMロック解除によるエコシステムの転換と、競争の促進は、その一助になると考えています。
皆さん日本の端末機ベンダーのことを気にかけてくださっていると理解しますが、端末機ベンダーさんご自身の話しを聞かれたことはありますか? 「SIMロックを外してくれたら自分達の競争力が高まるので有難い」などと、考えておられるベンダーさんはどこにもいないと思います。
先の総務省のヒアリングでも、ベンダーさんの団体であるCIAJは「SIMロックを解除されると困る」という立場をかなり明確に表明しておられました。何事によらず、実際にそれに生活がかかっている当事者が一番よく分かっているのです。
松本氏はあたかも、販売奨励金を回収する合理的なしくみがSIMロックしかないように書かれています。海外での販売形態を熟知されている松本氏は、たとえば英国のキャリアが販売奨励金を回収するやり方を説明されないのはおかしくありませんか。それと同じ方法を日本で実施できない理由はあるのでしょうか。
>先の総務省のヒアリングでも、ベンダーさんの団体であるCIAJは
いまさらそんな事をされても(海外に打って出る体力もないし)困る、というのがメーカーさんの本音かもしれませんね。しかし、そういうメーカーの尻を叩く政策(海外メーカーの参入障壁を壊し、国内メーカーも外へ出やすくする)を行う事で、ぬるま湯につかっていた国内メーカーを強くする事は、グローバル化の進むこの時代には必要な事ではないでしょうか。
松本徹三さん、コメントありがとうございます。
環境が変化すると、淘汰されるメーカーも出てきます。200社以上の会員の代表であるCIAJが現状維持を望むのは当然だと思います。
また、キャリア中心の業界秩序の中で、キャリアの不利益になるような主張もしづらいのではないでしょうか。
私は、キャリア中心のエコシステムが、メーカーの利益になっているとも、ユーザーの利益になっているとも思えません。
メーカー側も、ユーザー側も、大きな制約の中で、製品を開発し、提案し、利用しているのが現在のエコシステムだと思います。
>何故SIMロックを外すとメーカーの競争力が増すとお考えですか?
SIMロックがあると、キャリア専用端末が可能になり、付加価値コンテンツのインターフェイスをハードコーティングするのでサービスの互換性もなくなり、ドコモの端末はソフトバンクでは「使えない」という事になる。
SIMロックを禁止すると、キャリアは販売奨励金を下げざるを得なくなり、キャリア専用端末が困難になり、付加価値コンテンツをハードコーティングできなくなり、ドコモの端末がソフトバンクで使えるようになるだけでなく、アジア仕様のW-CDMA端末と互換になる。
すると、メーカーは自分でも宣伝して売るようになるし、中国や香港へも売りやすくなる。サムソンやノキアやレノボも、アジア仕様端末を日本へ売りやすくなる。市場に競争が生まれるので、生き残った国内メーカーは確実に現在より競争力が強くなっているでしょう。
私もbobby2009さんと同意見。
SIMロックを解除し、キャリア主導の開発を止めないと日本メーカーは生き残れません。永遠に国内を独自仕様にして保護し続けるならいいですけどね。
知ってます?ソフトバンクでは、最上位のiPhoneでも、(2年分割払いで)月900円ほどですが、シャープ製は1500円以上します。これは完全に市場規模の違いによるコスト高です。
日本市場でしか売れないものを作ってるシャープでは、この価格じゃないと回収できないからです。
SIMロック解除されることで、メーカーは1つの端末で多くのキャリアが使えるように開発するでしょう。それにより、できるかぎりキャリア独自機能は排除する方向にいくと思います(アプリとして追加する形になる)。実際iPhoneは全世界共通仕様で作られています。そのため、元ボーダフォンで世界仕様(SMSやMMS対応)のソフトバンクが選ばれました。ドコモiモードなんかにAppleは合わせません。
SIMロック解除でこういうことも増えてくると思います。
また、メーカーだけでなくキャリアも統一規格に沿った仕様に近づけていくことが求められるようになります。これは時間がかかることですが、SIMロック解除することでこの流れを確定させることになると思います。
ただSIMロックするしない関係なく、日本の企業は海外に広げる気がまったく感じられません。ガラパゴスと揶揄されはしますが、おサイフケータイなどはいい機能で、それを世界標準にすればまた新たなビジネスチャンスにもなるでしょう。
メーカーも、小さな日本市場ではなく、より広いアメリカなど海外向けオンリーで勝負する企業があってもいいと思うのにないのが残念。SIMロック解除で世界と戦わせよう、というのも1つの目的だと思います。
韓国の携帯市場もけっこう特殊ですが、サムスンやLGはかなり海外で活躍してるんですけどねぇ・・・
bobby2009さん、buzzさん、コメントありがとうございます。
一方でiPhoneが販売促進され売られている現状がありながら、国内のメーカーはなるべく競争もさせずに高コスト化させるというのは、一体、何を保護しているつもりなのかと思います。
SIMロック解除がメーカー競争力をあげるような議論も、昔はありえたかもしれないが、今は、国内市場と海外市場の違い(キャリア仕様の違い)、国内メーカーの過度の国内市場依存度、海外巨大メーカーの圧倒的な台数、を前にしては、もはや、手遅れなんではないかと。
総務省役人は、メーカー幹部を呼びつけて尻を叩いているそうですが、もはや、pipe of dreamなんでは。
SIMロックの解除について、緩やかなガイドライン、縛りの期間以降は、解除に応じること、程度はあっても、なにも変わらないでしょう。
それから、携帯の値段のことを言っている人がいますが、eetimesや、teardownレポートなどみてみたほうがいいですよ。 実際には、シャープ携帯とiPhone のお客のARPUが効いているはずなので。