iPadで迷い悩むあなたに - 大西宏

2010年05月10日 14:09

iPadがいよいよ日本で発売されます。予想通り、ソフトバンクが販売権を手に入れました。今日から予約受付で、28日からの販売になります。もうさっそく予約に行列ができた店もあったそうです。そんなニュースに、もう、いてもたってもいられないという人もいらっしゃると思います。ただでさえ話題になっており、さらに先駆けて米国から入手した人の「体験」レポートを見聞きするにつけ、欲しい、なんとしてでも手に入れたいという気持ちが昂ぶってくるのも無理はありません。


どうしよう、どうせ買うなら早いほうがいい。触れてみたい。そんな思いに駆られ、すでに心は、どれにしようか。予算を考えると、WiFiだけがいいのか、やはり3Gは絶対必要か、容量はどれぐらい必要だろうか。そんな悩ましい状態に陥れば陥るほど、心のなかでiPadの存在が大きくなっていきます。

しかもおそらく、現在伝えられている生産のネック、パネルの生産が需要に追いつけないということが本当なら、予約しても、数ヶ月の待ちということも予想されます。

4月にドゥ・ハウスが行ったネット調査では、「絶対買う」とした人が1.3%、「多分購入」するという人が6.6%ということですが、インターネット人口、しかもPCと携帯の両方でネット利用をしている人に限っても、6000万人超であり、「絶対買う」とした人の半数が、どうせなら早く買おうと予約しただけでも、予約注文が40万件程度になります。

人気沸騰で品不足ということを強調することも可能でしょうから、それがまたニュースともなり、さらにiPad人気が高まるということにつながってくるものと思います。
iPad購入意向は7.9%、利用予定の機能は「ネット」「メール」そして「電子書籍購読」

では、iPadを本当に早く買ったほうがいいかどうか、あるいは様子を見たほうがいいかですが、ご自身のおかれている状況を冷静に考えて判断されることをオススメします。

予約していちはやく買ったほうがいい人たちは、まずは、仕事柄iPadの「体験」をしたほうがいい人達です。情報家電の開発やマーケティングにかかわっている人は迷わず予約されるでしょうし、もう入手済みでしょう。またiPad向けのアプリを開発したいという企業もきっとそうでしょう。

あるいは仕事でiPadを持っていることをアピールしたい人たちです。また、まわりの人に話題を提供したいという人も、早く買ったほうがいいですね。きっと人気がでます。

次に、アップルと聞くだけで心ときめく、アップルの悪口をいう人間は許せないという人たちです。そういう人は、まっさきに買うべきです。きっと新しい「体験」で、やはりアップルは素晴らしいという確信を深めてくれるでしょう。

また、モバイルで、もっとネットを使いたい、しかし今は、使える適切なツールがないという人にもオススメできます。
これまでの単体で動くだけの機器とは違って、アプリケーションの選択で、用途は増え、またOSのバージョンアップで使い勝手はよくなっていくので、早い段階で購入しても、リスクは小さいと思います。iPhoneで、モバイルでネットが使える便利さを痛感した人はなおさらです。

しかし、それ以外の人は、もう少し、様子を見ることをオススメします。それは、iPadに魅力がないということではなく、iPadが先陣を切ったタブレット型パソコンをめぐって、もうすぐ、激しい競争が起こってくることが予想されるからです。

それはたんにハードの競争だけではありません。どんなアプリやコンテンツが揃うのかというプラットフォームも含めた競争がかならず起こってきます。
また、この競争が、ビジネスの視点から見ると結構面白いのです。アップルは、というよりはスティーブ・ジョブスは、どんどん強引とも言える方法で、アップルへの囲い込みをすすめてきています。なにせ、OS開発力、機器開発力、プラットフォームの形成力、販売力のすべてを持っている稀有な存在だからこそできる技でしょう。しかし他は違います。グーグルはスマートフォンNextOneで、やはり機器を売ることが得意でないことを見せてしまいました。だから、機器開発にしても販売にしても、誰かと手を組む必要性があり、アップルとは、対照的なオープン化の戦略をとって来るでしょう。パームの開発した優秀なOSを手に入れたHPがどうでるのかはまだ見えませんが、戦略スタイルのまったく異なるところがぶつかり合います。

おそらく、どこも、タブレット型のパソコンは、子供でも、お年寄りでも使える潜在力をもっていてパソコン需要を広げる可能性を持っている、だからこの市場を制したいと考えているはずです。さらにタブレットPCを核にしてさまざまなものがつながっていく可能性もみえてきます。
パームや、ウィンドウズCEなど、失敗の歴史であったモバイル機器でやっと、あるべき姿、正解が見いだせたわけですから。
いずれにしても、もうすこし待てば、iPadだけでなく、選択肢が広がってきます。

第二に、米国では、アマゾンのKindleも、アップルのiPadについても、電子書籍、また雑誌、新聞などが急速に充実してきていますが、日本では、電子書籍の市場はまだまだこれからです。
先に紹介したアンケートでも、iPadに期待しているのは、利用予定の機能は「ネット」「メール」そして「電子書籍購読」の三本柱ですが、その重要なところがまだ欠けているということがあります。

特にiPadの価値がわかっても、競争相手がどのようなものを出してくるかを待ったほうがいいと思うのは、すでに、パソコンでモバイル環境を持っている人たちです。B5版のモバイルノートを持っていて、カードで外出先でもネットもメールもできるという人たちも急ぐ必要はないと思います。

私自身は、もう10年以上も前から、かならずパソコンを鞄に入れ、通信カードを使って外出先でも、ネット利用をしてきましたが、確かに、立ち上がりが遅い、シャットダウンも遅いということへの不満はありますが、「できること」はモバイルノートのほうが多いのも事実です。しかもモバイルノートに手慣れると、操作にはさほど不便を感じません。モバイルノートなら、別にiPadでなくとも、リビングでソファーに座って、膝の上にパソコンを置いて、テレビを見ながらツイッターをするというのも当たり前のことです。
そういったモバイルノートも使っていて、さらにiPhoneやXperiaなどのスマートフォンも使っているとなると、慌てて買う必要はまったくないと思っています。

それはさておき、アップルでちょっと気になるのは、ジョブスがいささか強引すぎるということです。アップルに従わなければ閉め出す。あるいはアップルの都合が優先されることへの警戒感が指摘されるようになってきています。
どんな事情があるのかは分かりませんが、iPhoneのプロトタイプをバーに置き忘れたエンジニアは処分されず、アップルの共同創始者で、初期のアップルコンピュータを開発したウォズニアックにiPadの試作を見せたエンジニアは解雇されたということも、なにか今のアップルの体質を象徴しているようにも感じます。

こういうことを書くと、アップル親衛隊の人から厳しいご意見が返ってきそうですが、いずれにしても、もうすぐ始まるタブレット型パソコン競争で、どのようなものがでてくるのかのほうが楽しみです。そういったものがでてきても、やはりiPadのほうが優れていると思えば、別にアップルの体質がどうであれ、私自身はきっと買うでしょうが。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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