後世格別のご高配たまわらんことを - 原淳二郎(ジャーナリスト)

2010年05月26日 11:18

 普天間基地移設問題についてはメディアでこれでもかというほど報道されているので書くつもりはない。ただ、指摘しておきたいのは、この問題はメディアが事前に報道してきた通りになったという事実である。既存メディアの取材力はまだ劣化していない。

鳩ちゃんの心の中には、何としても沖縄の負担を軽減したい気持ちがあったのだろう。どうやって軽減するのか、具体策について何も述べていない。「腹案がある」といっていた鳩ちゃんの腹案とは何だったのか。実は何もなかったのではないか。県民の反発を招くのは当然だ。


基地移設先の名護市にどういう優遇策を示すのか。それも鳩ちゃんは語っていない。潜在的危険性のある基地は原発立地と似たところがある。立地する地元はどこも歓迎しない。だが日本のエネルギー安全保障にとっては必要だ。原発立地には電源3法で優遇策がとられている。それで地元は案外潤っている。基地周辺にも原発立地と同じかそれ以上の優遇策がなければだれも納得はしまい。

札束でほっぺたをひっぱ叩く政策だという批判もあるかもしれない。しかし、それ以外に解決策はあるだろうか。本土復帰後さまざまな沖縄振興策が取られてきた。しかし、県民所得順位で沖縄県はいまだに最下位である。

沖縄戦で戦死した海軍の大田中将が遺した最後の電文。「沖縄県民かく戦えり。後世格別のご高配賜らんことを」。いまも南部戦跡に掲示されている。

沖縄の基地負担軽減いやそれ以上の高配をすること。それが戦後日本の沖縄への責任だったはずだが、政治家はだれもこの責任を果たしていない。

東アジアの安全保障にとって沖縄が戦略上重要な位置にあることは分かる。だが、どういう米軍機能が必要なのか、他の手段で代替できないのか、日米間で話し合っているのだろうか。国民は知らされていない。いまだに米軍におんぶにだっこではないのか。鳩ちゃんは米国と対等な関係を外交の機軸にしていたはずだ。

政権交代から1年もたたないうちに、日米関係を基本から見直すことは難しかっただろう。沖縄振興、対米関係について長い時間をかけて基本から見直す。それしかない。5月末決着なんて初めから無理だった。

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