消費税は逆進的ではない - 池田信夫

2010年06月17日 08:55

朝起きたら、消費税論争が始まっていた・・・

ただ、ちょっと誤解があるようなので、1点だけコメントしておきます。消費税が「逆進的」だという小飼氏の議論は誤解です。こういう議論は「限界消費性向」というケインズの概念にとらわれているが、人々は当期だけで場当たり的に消費するわけではないので、生涯所得で考えたほうがよい。


生涯所得で考えると、人々の所得は勤労所得と引退後の年金にわけられます。一般に後者のほうが低いので、現役のとき高い所得を得ていた人でも、引退後は所得が低くなり、消費性向は上がる。人々が合理的に消費すると仮定すると、死ぬまでに所得をすべて使い切るので、生涯所得に対する消費税の比率は同じです。

実証的にも、この推定は確かめられています。大竹文雄氏と小原美紀氏によれば、次の図のように(所得が最高の)10分位の消費税の生涯所得に対する負担率は4.05%であるのに対して、第1分位の負担率は1.59%。消費税は、かなり強く累進的なのです。

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ただし外食費を除いた食費の税負担率は、わずかに逆進的です。これが欧州などで食費について消費税を軽減する措置がとられている理由ですが、このような区分は恣意的で混乱をまねきやすい。たとえばハンバーガーは店で食うと外食(贅沢品)として課税されるが、テイクアウトすると非課税になるので、ハンバーガーを店の外で食う人が増えるでしょう。

この程度の逆進性はそれほど問題ではないので、給付つき税額控除など税制全体で是正するのが妥当だと思います。ただし現在の消費税には、非課税業者に「益税」が発生するなど深刻なゆがみがあるので、税率を上げるだけではなくインボイスの導入によって正確に課税する改革が必要です。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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