個人から出資を受けたらIPOできなくなる日本証券業協会の規則変更に反対します - 磯崎哲也

2010年06月29日 21:53

今月10日付けで、日本証券業協会から「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための「有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について(案)」という文書が公開されました。

http://www.jsda.or.jp/html/oshirase/public/10061001.pdf

この変更案は、ベンチャー企業がその役職員又はその親族以外の個人から出資をしてもらった場合には、日本証券業協会の引受会員が新規公開時の引受けることを原則として禁止するものです。

ベンチャー企業の実務では、創業初期等に友人や知人、元の会社の社長などの「個人」から出資を受けることがよくあります。つまりこれは、そうした個人から出資を受けたベンチャー企業の上場が事実上不可能になる可能性を持つ規定変更です。


現在、日本経済は停滞し、国を挙げて成長戦略が模索されていますが、既存の企業だけで成長できないわけですから、新しいベンチャー企業が生まれて成長し、新しい産業を次々に興すことこそが成長戦略のはずです。

ところが、この規定変更が行われれば、その新しい事業の芽は踏みにじられ、国民が自由に起業し、新しい仕事を生み出すことが大きな制約を受けることになります。憲法に定められた基本的人権である職業選択の自由さえ脅かされかねないわけです。

また、本変更案には来月7月20日以降に新規公開の決議を行う企業に適用されると書いてあるのみで、既に個人から資金調達した企業は除外するとは書かれていません。つまり、すでに個人から出資を受けられた未上場企業は、この変更案が通れば、今後原則上場ができないことになります。
すなわちこれは、今まで上場を目指してがんばってきたベンチャー企業の夢を打ち砕き、上場する可能性を信じて投資を行った人達の財産を著しく毀損させる変更案であります。

さらに、本変更案は、頻発する未公開株詐欺を防止するために行われるものとのことですが、その抑止効果がほとんど無いばかりか、むしろ詐欺の助長・悪質化を招く可能性も高いものであると言わざるを得ません。
私は、多数の上場前・上場後のベンチャー企業の役員やコンサルタントを行ってきましたが、その経験からもこの規則変更がベンチャー企業や日本に大きな損害を与えると考えており、この規則変更案に強く反対するものであります。

なぜこの規則変更が大問題なのかご興味を持たれた方は、個々の詳細な点については、下記の私のブログの記事をご参照いただければ幸いです。

http://www.tez.com/blog/archives/001648.html

また、みなさんにおかれましては四半期末でお忙しいこととは思いますが、本件に賛同される方は、ぜひ、日本証券業協会のパブリック・コメントに対して、メール等で本件に反対する旨を送っていただければと思います。

この件については7月1日の17時までが〆切となっています。

日本証券業協会:パブリック・コメントの募集について
http://www.jsda.or.jp/html/oshirase/public/bosyu.html

よろしくお願い致します。

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