G20声明を読んだ感想

2010年10月24日 17:38

G20声明では、今回の会合の合意形成により、「いくつかの新興国が直面している資本移動の過度な変動のリスクを軽減させる助けとなろう」と謳っていることを根拠に、野田財務相は「市場の動向をみながら必要なときには適切な行動をおこなう(日経新聞10/24付朝刊)」と述べたようです。

でも、この脅しは効きそうにありません。

前田拓生のTwitterブログ


単に「いつものコメントだから」というだけではなく、「資本移動の過度な変動のリスク」に直面しているのは、文中にあるように“新興国”であり、“先進国たる日本”がそのリスクに直面していると考えている国はないでしょう。そもそも「為替レートの過度の変動や無秩序な動き」については「先進国が監視をする」となっているわけですから、日本は「(介入をするような)無秩序な国を監視する立場にある」と考えるべきです。したがって、日本自身が「円高に苦しんでいるから」ということで「円売り介入を行う」ことを、各国が「了としてくれた」という認識は甘すぎです。

まぁ野田さんも、そのくらいは理解しているのでしょうし、今回の「必要なときには適切な行動(要は「相場変動が激しいのであれば為替(円売り)介入するぞ」)」という脅しも、まさか「(G20では了承を得られなかったので)円売り介入はもうやりません」ともいえないわけで、いつものセリフをいつもの通り「話した」ということだと理解しています。もし、週明け80円/ドルを上回る円高になったとしても、本当に円売り介入をすれば、その時には世界各国から袋叩きにあうことになるでしょう。したがって、週明け早々に円高になったとしても(為替介入を)「やる」「やる」と言いながら、市場の成り行きをみる以外にないということになります。

ということは・・・

やはり、当面、「円高(圧力)が続く」とみた方がよいように感じます。少なくとも中間選挙(または、FOMC)終了(11/2)までは、米国としても何とかドル安を続け、輸出産業からの支持票を確保したいはずですから・・・

それにしても、今回のG20では、「根底にある経済のファンダメンタルズを反映し、より市場で決定される為替レートシステムに移行し、通貨の競争的な切り下げを回避」という文言が入ったことで、中国人民元切り上げに向けての包囲網を、さらに狭めることができたと思われます。また、「物価の安定を達成し、それによって回復に貢献する適切な金融政策を継続する」という文言により、米国や欧州のさらなる金融緩和が可能になるなど、欧米諸国にとっては成果の多い会合であったといえそうです(実際に金融緩和する/しないに関わらず「さらに緩和するかも」という市場の思惑により、欧米通貨を低めに誘導できるという利点があります)。

他方、日本は・・・

上述の通り、「先進国なんだから自分で何とかしなさい」という感じです。まぁ、ここからの「さらなる金融緩和」が否定されていないことから「日銀の量的緩和への道」が閉ざされてはいないものの、日銀自身がそのような愚かな行動はしないでしょう(今後、各方面からの日銀への圧力は高まるかもしれませんが・・・)。

このような中、声明では「財政健全化が実施できないことが、信認や成長を低下させるリスク」を高まるので、(なるべく)財政に頼ることなく「需要を拡大及び維持し、雇用の創出を促進、潜在成長を高める構造改革を追求する」と書かれています。しかし、円高傾向が続いている日本にとって財政的な手当てをしないで「需要を拡大及び維持し、雇用の創出を促進」するのは難しい。といって、円安誘導も出来ない以上、「潜在成長を高める構造改革を追求」するしかないでしょう。

「潜在成長を高める構造改革」も非常に困難なことですが、欧米諸国にうまく丸めこまれ、このような声明文に合意したのだから、円高でも耐え得る強い体力を持った産業を興すために、菅政権としては、構造改革、生産性向上を促す政策を、地道に進めていくしかないということなのでしょうね。

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