付録付き雑誌は書店を元気にする!……?

2010年11月02日 10:23

テレビ東京の『カンブリア宮殿』で宝島社社長蓮見清一氏が出演していた。同社の「ブランドムック」シリーズは、「04年から70以上のブランドとコラボレーションし、これまで約200点を発行し、10月初旬時点でシリーズ累計で発行2000万部を突破している(毎日新聞デジタル)」というからすごい。番組で、蓮見社長は同社のサブカル路線の延長線、権威への抵抗がその原動力だと紹介されていた。


同社は徹底的にマーケティングし、売れる“商品”を開発し、提供してきたという。同梱される付録も決してブランドサイドから一方的に送られるものではなく、宝島社の担当者とともに企画・製作しているそうである。たしかにこれまで出版業界は“マーケティングの本を山ほど出しているがマーケティングがない業界”と揶揄されるほどでもある。しかし、それは真剣なマーケティングがばからしくなるほどのシステムがあったことも原因だろう。つまり再販制と委託販売制に守られたシステムである。

書店は、売れ残りを返本することができ、在庫を抱えるリスクがない。逆に機会損失を防ぐために、できるだけ多くの書籍を店頭に並べようとする。いきおい多めの“仕入れ”をしてしまいがちだ。また、出版社は、書店からほしいと言われれば、これも機会損失を防ぎたいがために多めに出荷する。ただし、出版社は返本および在庫リスクを抱えるので、書店からの要請すべてに応えることができない。

とはいえ、出版社も取次に書籍を納品すれば、その代金の一部を先に受け取ることができるので、できることならば多めの部数を納品して多めの現金を受け取りたいという気持ちもある。現実的には、もし売れなかったら約1年後には返本数に応じた金額を返金しなければならないので、両刃の刃でもあるが……。

さて、そして今回の付録攻勢雑誌だが、これらも雑誌であれば当然再販制と委託販売制に守られているわけだ。とはいえ、そもそもこの再販制と委託販売制。以前から独禁法違反だと公正取引委員会からも目を付けられている制度でもあるが、業界の反対によって、いままで維持されてきたという経緯がある。日本書籍出版協会のWebには「出版物再販制度は全国の読者に多種多様な出版物を同一価格で提供していくために不可欠なものであり、また文字・活字文化の振興上、書籍・雑誌は基本的な文化資産であり、自国の文化水準を維持するために、重要な役割を果たしています」とある。

最近は付録の種類も増え、美容器具まで付録になっている。それらの爆発的売上の要因は低価格とも言われている。付録に「ここでしか手に入らない希少性がある」から雑誌を買うのではなく、「低価格」だから買うという状態になっているようでもある。また、“活字文化の復興”以前に、付録付き雑誌を購入後、すぐに雑誌だけ捨てていくお客さんもいるそうだ……。

そうなると同じような製品を販売している会社からすれば、迷惑な話でしかない。出版社は再販制と委託販売制に守られているから低価格で販売できる。通常の会社では自由競争なので、値引きなどを考慮した価格を付けなければならない。このように“付録”として通常の商品が流通してくると、そもそも再販制は必要か? という問題にまで発展しかねない。つまりは、このような状態が続けば、出版業界のクビを絞める行為に繋がるわけである。そろそろ業界関係者はこのことに気づくべきではなかろうか。

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