日経新聞の間違いだらけの社説

2010年11月26日 01:35

ソフトバンクの孫正義社長のつぶやきで知ったが、きのうの日経新聞の社説は、事実誤認が多くて驚きました。

仮にNTTの分割を見送るなら、どうすれば光の利用をもっと促せるのか別な道筋を早く示すべきだ。例えば政府は接続料の引き下げをNTTに再び強く促す必要がある。接続料を思い切って半額程度に引き下げれば、一時的に回線収入が減っても需要は確実に増えるはずだ。


これは市場原理を重視する日経新聞とは思えない。接続料を半額にすれば「需要は確実に増える」が、それによってNTTの利益は激減します(おそらくマイナスになる)。日経は、私企業に損失を強いる料金規制を政府に求めるのでしょうか。またそれによって、電力系の通信事業者は経営が成り立たなくなるでしょう。日経は、プラットフォーム競争を絶滅しようというのでしょうか。

接続料を引き下げるためには、NTTは銅線による電話時代の通信サービスをいつまでに光回線を使ったインターネット時代の技術に置き換えるか目標を定めるべきである。電話交換機には保守費用がかかり、二重投資のままではNTTの経営コストを引き下げられないからだ。

これは意味不明です。「銅線か光か」という物理層と「電話かインターネットか」というネットワーク層は別なのですが、この社説の筆者はそれを混同しています。「電話交換機の保守費用」が問題なら、NTTのいうように交換機をIPルータにすればいいことで、光にする必要はない。これは通信の素人によくある間違いですが、総務省では笑い話になるだけでしょう。

このような間違いだらけの社説を、孫社長が賞賛するのも困ったものです。まさか彼もこれと同じ勘違いをしているのではないでしょうが、ナンセンスな意見を賞賛するのは世間の物笑いの種になるだけです。今回の「論争」で、ソフトバンクは通信事業を理解していないことを露呈してしまった。現場の社員も困惑していることを、社長は知らないのでしょうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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