平和と音楽と沖縄の真実 - 村山 貴之

2010年12月01日 14:19

民主党政権の数少ない功績の一つに、沖縄の基地問題を広く世論に周知したことが挙げられる。

民主党がマニフェストの一つに掲げていた「米軍普天間基地の県外・国外移設」の解決を模索する中で、沖縄の基地問題とその歴史的背景や矛盾とともに、「辺野古」という場所に新たな基地の建設が計画されており、それに対する反対運動が起こっているということが広く一般に周知された。政権交代前には考えられなかったことである。


その後、鳩山政権はマニフェスト達成を断念することになり、これを引き金として、社民党の連立政権離脱,そして鳩山総理大臣辞任に繋がり、現在に至るわけだが,先日の仲井真氏の声明により、いよいよ我々国民が米軍基地問題を無視出来ない状況になった。

批判を覚悟で書くと、現在の東アジア情勢を考慮した場合、中期的には,米軍駐留により国内の安全保障が担保されることは不可欠であり、実現可能な代案をすぐに出すことは事実上不可能であろう。

従って、この「迷惑施設」をどこに置くかということが議論の焦点になるが、本来は現在駐留している米軍の総軍事力とその必要性等、全ての事実を並べた上で可否を判断すべき重大な関心事であるはずにも関わらず、感情論や政治権力闘争、それどころかマスコミによる格好のネタとして利用されてしまってしまい、結局のところ、目前に突き付けられた問題に対して、現時点で選択肢さえも与えられていないのが現状である。

例えば、普天間基地の機能を国外でなく県外に移設するとなった場合、その移設先の住民はどうするのだろうか?沖縄の負担軽減ということで受け入れてくれるのだろうか?そして,負担軽減と引き換えに沖縄県民の生活はどのように変化するのだろうか?更に、国家としてのリスクはどのように変化するのだろうか?

様々な観点から、政府と全国の自治体が一致協力して戦略的な解決策を探るべきである。

今年10/30・10/31 の2日間,かの地辺野古(しかもキャンプシュワブとの境界、鉄条網がある浜!)で Peace Music Festaという音楽フェスが開催された。今年で4回目となるが、いわゆる普通の夏フェスとは異なり、プロモーターがつくわけでもなく、沖縄に居住する若いミュージシャンたちが中心となり、文字通り東奔西走して作り上げた素晴らしいフェスで、二日間でのべ1000人が集まった。

そのスローガンの一つは”NO BASE OKINAWA” だ。

しかし、そんなミュージシャンたちも、理想を追い求めながら現実と向かい合わなくてはならない。とあるミュージシャンが語った言葉が非常に印象に残っている。

「基地の問題があるのは事実。でも、その話題が何となくタブーであることも沖縄の現実」

沖縄では、米軍施設の「土地代」や「雇用」で生計を立てている人が少なくないのも事実であるし、一種の「迷惑料」として国から注ぎ込まれている補助金で経済が成り立っている側面があるのも事実だ。彼らや彼らの家族、友人たちは、その環境で生まれ・育ち・暮らしている者も少なくない。様々な事情から基地を受け入れざるを得ないことで、やがてその話題はコミュニティ内でタブーになる。議論することで崩壊しまう関係もある。このような複雑な現実を受け止めて、矛盾に苦しみながら生活していることが沖縄に住む者にとって最大の負担なのである。

我々が個人のイデオロギーに基づいて意見を述べることは自由だが、沖縄基地問題の背景には様々な生活に根差した利害関係が存在し、民意にも微妙な温度差がある。このような実態をも理解した上で意見を述べることが最も重要であることを教えてくれている。特に政府・自治体のトップには、「沖縄がかわいそうだから」などという感情論だけで、実現可能性を検討もせずに安易な声明を発表しないで頂きたいと願うばかりである。

マスコミや政治家の発する言葉よりも、前述のミュージシャン達の言葉がやけにリアルに感じられる。「基地はいらない」「基地の中で流れる音楽にあこがれた」「基地は新しい音楽を教えてくれた」「米兵たちはいい奴ばかりだった」

しかし、今後も「うたは自由を目指す」だろう。
(村山 貴之/Ouch (ミュージシャン))

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