周波数の割り当ては談合か競争か

2010年12月13日 10:05

sb


総務省の周波数検討ワーキンググループは、いまだに周波数オークションをやるかどうかでもめているようだ。インドでもシンガポールでもフィリピンでもタイでもオークションをやっているのに、今どきこんな初歩的な議論を先進国でやっているのは信じられない。

さすがに「免許料が料金に転嫁される」といった事実に反する意見はなくなったようだが、今度は「時間がない」という。2012年から利用開始する900MHzのオークションを実施するためには、次の通常国会に法案を出さなければならないという論理だ。しかし国会は通常国会だけではない。何十兆円もの補正予算を臨時国会でつくったこともあるのだから、要はやる気の問題だ。

特にナンセンスなのは「すべての企業が今使っている周波数帯をいったん返上して、その上でオークションをすべきだ」というソフトバンクの孫正義社長の意見だ。そんなことをしている国はないし、やろうとしたら既存業者が反対して何もできなくなる。オークションは新規にあく周波数を競売にかけるもので、すべての免許人を対象にするものではない。この論理なら、国有地の競売もすべての土地を返上させないとできないのか。

孫氏がこういう奇妙な理由をつけてオークションに反対しているのは、700MHz帯がソフトバンクの「指定席」とみられているからだ。官民談合の「美人投票」でやれば、ドコモもKDDIもUHF帯に周波数をもっているので、次はソフトバンク、という順番で割り当てられるが、オークションでやれば誰が落札するかわからない。価格競争になったらドコモに勝てないというのが本音だろう。

これは間違いである。オークションは自由競争だから、参加するのはドコモやKDDIだけではなく、外資もベンチャー企業も可能だ。このように新しいプレイヤーが参入することによって多様なイノベーションを実現し、競争を導入して料金を下げるのがオークションの目的である。「天下国家」を論じる孫氏が、自分に不利な競争は阻止しようとするご都合主義は困ったものだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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