総務省の周波数検討ワーキンググループは、いまだに周波数オークションをやるかどうかでもめているようだ。インドでもシンガポールでもフィリピンでもタイでもオークションをやっているのに、今どきこんな初歩的な議論を先進国でやっているのは信じられない。
さすがに「免許料が料金に転嫁される」といった事実に反する意見はなくなったようだが、今度は「時間がない」という。2012年から利用開始する900MHzのオークションを実施するためには、次の通常国会に法案を出さなければならないという論理だ。しかし国会は通常国会だけではない。何十兆円もの補正予算を臨時国会でつくったこともあるのだから、要はやる気の問題だ。
特にナンセンスなのは「すべての企業が今使っている周波数帯をいったん返上して、その上でオークションをすべきだ」というソフトバンクの孫正義社長の意見だ。そんなことをしている国はないし、やろうとしたら既存業者が反対して何もできなくなる。オークションは新規にあく周波数を競売にかけるもので、すべての免許人を対象にするものではない。この論理なら、国有地の競売もすべての土地を返上させないとできないのか。
孫氏がこういう奇妙な理由をつけてオークションに反対しているのは、700MHz帯がソフトバンクの「指定席」とみられているからだ。官民談合の「美人投票」でやれば、ドコモもKDDIもUHF帯に周波数をもっているので、次はソフトバンク、という順番で割り当てられるが、オークションでやれば誰が落札するかわからない。価格競争になったらドコモに勝てないというのが本音だろう。
これは間違いである。オークションは自由競争だから、参加するのはドコモやKDDIだけではなく、外資もベンチャー企業も可能だ。このように新しいプレイヤーが参入することによって多様なイノベーションを実現し、競争を導入して料金を下げるのがオークションの目的である。「天下国家」を論じる孫氏が、自分に不利な競争は阻止しようとするご都合主義は困ったものだ。
コメント
オークションについて、SBの立場とかに偏らずに質問します。
(これまでSBシンパとして感情的にコメントを寄せた事、お詫びします。)
オークションが完全に新しい割り当ての周波数に限定する事も認めた上で、誰でも自由にオークションに参加できる様にした方がいいでしょうか?出来ればこと周波は通信用だとか放送用だとか、用途を決める事にも反対だと仰られている様ですが、外資にも等しくオークションの門戸を開放するベキでしょうか。
一つ懸念があるのが、外資の中に、戦略的に日本の世論を操作しようとする意図を持ってオークションに参加する組織が出てきた場合、もしその様な企業が一番高値で落札した場合、彼らに放送免許を与える事になりませんか?
それを阻止する為に、事前に参加資格を審査するベキか、それとも審査無しでフリーオークションとすべきか。どうお考えでしょうか?
>1
自国でも電波オークションを実施している外資のみに参入資格を与えれば問題ないでしょう。例えば中国や北朝鮮は電波オークションは実施してないはずです。現在の日本は電波オークションについては中国、北朝鮮並みと言えますね。2010年版のFreedom of the pressでも日本の自由度は32位で威張れたものじゃありません。記者クラブや放送事業の参入規制が順位を落としてます。
関東地区の英語国の居住者が5万人以上いるので昔、英国人が英語専門のFM放送を申請しようとしたところ、英字新聞のジャパンタイムズがアイディアを横取りしFM76.1で放送してますが、英語放送とは名ばかりで殆ど日本語の放送です。
インフラ関係の事は既得権益とかが絡んで完全な自由競争には出来ないような気がします。電波は有限な資源といいますがだからこそそれを奪い合っているように見えてしょうがないのです。孫さんはそれと戦っているような印象を受けていましたが今回の記事を読ませていただくとそうでもないのか?と思ってしまいました。SIMロックフリーに関しても歯切れの悪い孫さんですし、孫さんの志とやらが見えないのは私だけでしょうか。
孫氏の脳内では、(経営能力の高い)ソフトバンクが周波数を得ることが国益と思っているのでは!?