就職難は大学生の増え過ぎが原因」に対する反論 - 加藤智将

2010年12月15日 09:35

“就職難は大学生の選り好みが問題”という意見に対しては、”ナビサイトへの就活生の集中が問題”という内容の記事を以前投稿した(「就活生を救う意識改革」)。今回は、”就職難は大学生の増え過ぎが原因”という説についても反論を行いたい。


まず、”大学生が増えた”という事実は受け止めなければならない。1990年に24.6%であった4年生大学への進学率は、2009年には5割を超えた(文部科学省 学校基本調査より)。

がしかし、これをもってすぐに”就職難は大学生の増え過ぎが原因”と結論付けることはできない。

何故なら、2011卒の大卒求人倍率は1.28倍(リクルートワークス 大卒求人倍率調査より)。対して、平成22年7月末における高卒求人倍率は0.67倍で、沖縄に至っては0.12倍である(厚生労働省 平成22年度高校・中学新卒者の求人・求職状況より)。すなわち、仮に大学進学率が今より下がって高卒者が増えたとしても、更に就職が厳しくなるだけなのである。むしろ、大学進学したほうがよほど就職のチャンスが増える。

では、何が問題なのか、それは”理工系学生が少なすぎる”ことにある。

就活生なら聞いたことがあるだろう。”機電系は就活無敵”であると(機電系とは、工学部で機械工学及び電気電子工学を学ぶ学生を指す)。

実際、”大学生が多すぎる”と言われている中で、理工系学生(ここでは理学部及び工学部と定義する)の割合は年々減り続け、95年の55万人をピークに、2009年には48万人にまで減っている。しかも、技術・技能人材は慢性的に不足している(中小企業庁 中小企業白書、及び文部科学省 学校基本調査より)。

つまり、問題は”技術系の人材が不足しているにも関わらず、職種と学習内容にほとんど接続のない文系学生ばかりを増やしてしまった”ことであり、決して「大学生全体が増えすぎたから」就職難になったわけではない。もしも大学生の数が変わらず、理工系の割合が今の倍であったとしたら、おそらく今ほど就職難が問題にはならなかったはずである。一般的に、文系学生は技術系職種に応募できないが、理系学生は営業・事務系職種を受けることが可能である。つまり、理工系の割合が今より増えても困ることはない。

“大学生が増えすぎた”と批判するのではなく、まずその中身に注目すべきなのである。
(加藤智将 東京大学大学院) 

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑