大増税時代がはじまった

2010年12月23日 00:57

今回の税制改正では大方の予想通り高額所得者への狙い撃ち増税が決まった。そして筆者も含めてさまざまな識者から批判されている。しかしこういった批判は政府の政策担当者は十分予測しており、実際のところ内心は歓迎しているともいえる。なぜか?


それは今回の高額所得者への増税は今後はじまる本格的な大増税時代の幕開けでしかないからである。筆者も過去に何度も指摘してきたとおり、高額所得者はそもそも数が非常に少なく、また節税対策をするだけの専門知識を備えているし、海外に居住地を移すことも可能である。それゆえにすでに世界最高水準の所得税の最高税率をさらに引き上げることは税収増になりえない。むしろ富裕層の海外流出を後押しして税収を減少させることになるだろう。政策担当者はそんなこともわからないのだろうか。それはちがう。彼らはプロだ。経営者が売上を増やしコストを抑えることに心血を注いでいるように、彼らも国民から税金を取ることに心血を注いでいる。税制とは搾り取られる民と、絞り取る官との間の真剣勝負そのものだ。兆単位の金が動く命がけの戦いだ。有能な財務官僚と財務官僚が操る民主党政権が、まさかごく僅かな数の富裕層の税率を多少上げたところで日本の財政問題が解決するなんて夢にも思っていないだろう。日本が財政破綻すれば、財務官僚の権威は地に落ちることになる。それはどんなことをしてでも避けなければいけないことだ。権力者が追い詰められたときは、自らの生き残りのためにどんなことでもするというのは歴史が雄弁に物語っている。ちょうど日本国政府が絶対に勝てないアメリカに戦争をしかけたみたいに。

まず富裕層を叩く。これは税収増にはならない。そして筆者も含めて様々な経済評論家がそのことを批判する。これも財務官僚にとっては織り込み済み。むしろ富裕層が過酷な税に悲鳴をあげることこそ彼らが最も望んでいることなのだ。なぜならば大衆にとって富裕層の悲鳴ほど心地良く響くものはないということを財務官僚と民主党の政治家は誰よりもよくわかっているからだ。そして、大衆の気を富裕層への増税で紛らわせたところで、一気に増税の本丸に乗り込んでいくはずだ。日本の税収が非常に少ないのは消費税率が低いこと、また益税など消費税が穴だらけなこと、そして中・低所得者層の税率が非常に低いこと、膨大な数の中小零細企業が税金をほとんど払っていないことが原因だが、当然ここが財務官僚が喉から手がでるほど欲している税源である。そして富裕層と違い、彼らのほとんどは海外に逃れることも、節税対策をすることもできない。この膨大な数の国民に一気に課税の網をかけにいくはずだ。まずは富裕層に増税して彼らのルサンチマンをたっぷりと癒した後に。

今後、日本国民は今まで積み上げてきた財政赤字の意味を嫌というほど知ることになるだろう。おかげで財政破綻やハイパーインフレは避けられることになる。好むと好まざるとにかかわらず、これが我々日本国民を待っている未来なのだ。

参考資料
今後は普通のサラリーマンが一番増税される、金融日記
高額所得者狙い撃ち増税で税収は確実に減る、アゴラ
税制改正の内容、財務省
日本の税をどう見直すか、土居丈朗、他

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