高額所得者狙い撃ち増税で税収は確実に減る - 藤沢数希

藤沢 数希

民主党は年収2000万円以上に対して給与所得控除を無くすことによって、高額所得者に対する狙い撃ち増税を検討しているようである。サラリーマンは自営業者や個人事業主と違い経費を自分で計算して申告することは認められていないが、そのかわり所得に対して一律に何%かはみなし経費として控除される。控除の割合は年収が増えるほど下がるが、年収1000万円以上で定率の5%になる。つまり高額所得者は年収の5%は経費として認められ、その分は所得税を払わないくてもよいのである。逆にいえば高給サラリーマンはたった5%しか経費が認められていないのである。会社でいえば営業利益率95%を「強制」されいてるのだ。民主党はそれさえも廃止しようとしているのだ。

参考
政府税調、給与所得控除の上限検討 2000万円超を軸に課税強化、産経


財務省もいっているように、年収2000万円超の人は給与所得者の0.4%しかおらず、もし仮にこの増税によって給与所得者の行動に全く変化がないというナイーブな仮定をしたとしても、税収増はほとんどない。また現在年収2000万円超の人はどういう人達か考えてみると、この0.4%の中でおそらく多いのは中小企業で経営に近い人たちだろう。また国際的なファームで活躍する弁護士や会計士、コンサルタントなども2000万円を超える所得を得ている。前者は、給与所得が税制上不利になったら、他の手段でお金を受け取るので、今回の変更で税収増は見込めないだろう。法人税が減税されるようなので、会社の利益の方に回るだけだ。後者のようなグローバルに活躍するサラリーマンは税制が不利になれば、香港やシンガポールのオフィスに移籍する圧力がさらに高まるだろう。みんな誤解しているのだが、高額所得者が税金が高いからといって自らの意志で海外に移住することは今のところそれほど多くない。なんだかんだいってみんな住み慣れた国がすきだからだ。多くの場合、多国籍企業の内部で、会社の方針で拠点が変わることによって、みんな海外に引っ越すのである。この数年の間に、外資系金融の業界では多くの日本人が香港やシンガポールに転勤した。彼らは香港やシンガポールから日本の顧客相手に日本の仕事をしていたりする。もちろん彼らの所得税は香港政府やシンガポール政府に支払われる。また日本の所得税の最高税率があがることによって、外資系企業が日本に進出する数も減るだろう。こういった企業で意思決定している幹部はみな高額所得者なので、日本の業務の多くも香港から行えるということになれば、わざわざ拠点を東京に置いて高い税金を払おうなんて思わない。

要するに何がいいたかったかというと、高額所得者の狙い撃ち増税によって高い確率で税収は減るし、人材の流出などの影響を考えれば日本国民全体の不利益になるだろうということだ。しかし財務省の人たちもそんなことは百も承知なのだろう。税収を増やすことが必要だったら消費税を上げるしかない。しかし民主党が次の選挙で負けないために消費税を上げることは禁止されているので、その制約条件の中で増税しようとしているから、このようにおかしな税制が次から次に出てくるのだ。

日本というのは民主主義国家で、政治に民意が反映されなければいけない。それは多数決でものごとを決めていくことだ。よって民主主義というのは多数派が少数派を搾取する仕組みになりがちであり、絶対的に少数である金持ちが常に搾取の対象であることは間違いない。多くの人が自らの幸せを願っているし、合法的な範囲で自らの利益を追求することは何ら責められるものではない。だから高額所得者に懲罰的な税を課している現状、そしてさらにもっと重い税を課そうとするその姿勢は正統なものだ。誰だって社会福祉や公共事業のコストを負担したくないし、それらのインフラにタダ乗りしたいと思っている。

しかし搾取にも限界がある。奴隷だって満足な食事も与えずに搾取しすぎるとはやく死んでしまうように。ラッファー・カーブの考察からわかるように、税率を上げていくとあるところで税収が減っていくというポイントがある。税率が高すぎると労働意欲が削がれるし、海外に出ていったり、租税回避のためのさまざまな仕組みが開発されるからだ。そして日本の高額所得者に対する課税はすでに世界最高水準で、ラッファー・カーブの山の右側にいると思われる。それゆえ民主党政権の金持ち狙い撃ち増税は、多数派の国民の利益を、税制というゼロサム・ゲームで最大化しようという経済合理性を超えたところに説明を求める必要があろう。

これ以上高額所得者への課税を増やしても多くの国民の生活水準があがる可能性は極めて少ない。しかしそれでも国民の多くは金持ちへの増税を支持しているのかもしれない。たとえ自らの物理的な生活水準が低下し、日本という国の国際的な地位がますます低下するということがわかっていたとしても、同じ国にすむ経済的な成功者に重税を課すことよって、多少なりとも自らのルサンチマンを癒し、安らかな時を過ごすことができるというのならば、それもひとつの「民意」として受け止めなければいけないのかもしれない。

民主党政権は以前にも年収が2000万円以上の家庭への子供手当ての支給を止めることを検討していた。そのための膨大な事務コストを考えたらかえって負担が増えるということが明らかだったにもかかわらずだ。これだけ株価が低迷して、アジアの金融センターの地位を香港にどんどん奪われているにもかかわらず証券優遇税制を廃止するという。こういった税制は金持ち優遇だからという理由だ。

民主主義と堕落したポピュリズムは紙一重であるが、それでも民主主義政治というのは様々な欠陥を抱えながらも人類が今までに試してきたあらゆる政治システムよりすぐれいるというのは事実だ。しかしここまで人間の後ろ暗い感情に阿る民主党政権に筆者は大きな不安を感じているのである。成功者を引きずり下ろして平等に貧していくより、どうしたらみんながもっと豊かになれるのかということを民主党の政治家たちは考えてくれないのだろうか。

コメント

  1. nadias より:

    私は例に出た中小企業経営者ですが年収は2000万なんて到底およびません。昔だったらそんなこともあるかもしれませんが、現状では社員の生活を守るのが精一杯です。
    現在ですら子供のいない私たち夫婦は高い税金を納めているのに金持ち=悪みたいな構図は正直ウンザリしています。(金持ちじゃないけど(笑))
    しっかり消費では貢献してるつもりなので、そこらへんをしっかり考慮してもらえる税制にならないものですかね。累進消費税でも私はばんばん使いますよっ!

  2. 東京アックマン より:

    そうすると、あなたも、もうすぐ日本国民でなくなるのですね。

    さようなら、残念です。

    これからは、外国方がのたまうコメントとして
    注目させていただきます。

    さようなら、さようなら。

    いつシンガポール移住しますか?

  3. shuu0522 より:

    いっそのこと、年収1000万以上を対象に給与所得控除を無くせばいいのでは?
    対象者は10倍以上になり、効果もでるでしょう。私も対象者になってしまいますが、だからと言って日本を出たいとは思いません。現在の日本の状況を見れば仕方ないかと。実際、日本を現状のようにした責任者はそのほとんどが高所得者です。
    責任者は責任をとるからこそ責任者です。給与所得控除を受けれない程度が責任とは言いませんが文句を言える立場にもないでしょう。

  4. カズさんの別のエントリでの「家電量販店で懇切丁寧な説明を受けてTVを購入しないで、値段の安い通販で買った」という下りに象徴されるように、年収の高い人が高級店でプレミアムのついた高級品を、気前よく買ってくれる社会であれば、財務省もこんな不合理なことをしなくて済むのではないでしょうか。それを、ワープアと一緒になってジャンクフードの類で節約しようとするから、使わないなら上前(所得税)をピンハネるだけさということでしょう。

  5. kazkazka より:

    藤沢さんの勇気ある発言に全面的に賛成します。

    高額所得者を狙い撃ちにしてきて、これまではうまく言ってきた訳で、その勧善懲悪なストーリーをマスコミに信じ込まされてきた訳ですので、こういう意見を聞いた人は、天地がひっくり返ったような顔をして、意見をした人に、正義の鉄拳をくらわそうとします。

    しかし、藤沢さんの意見の方が100倍正しいのです。
    ・経済学的に、所得税より消費税の方が、よっぽど、社会の効率を損なわない事。
    ・法人税にかけた税は別に直接負担してないので、庶民はタダと勘違いしてしまいがちですが、実際には、そのコストはモノに転嫁されて、実質的に庶民が負担しているので、同じであること。むしろ、法人税が高いほど、産業が逃げ出す。そして、利益が出ている優れた企業を罰し、ダメな企業に利してしまう。
    ・お金持ちを貧乏にしても、庶民はお金持ちにはなりません。
    悲しむべき事でしょうが、お金持ちを優遇してお金を投資してもらわないと、永遠に景気はよくなりません。

    ・・・・という経済学の初歩の初歩を教え込んで教え込んでいかないと、いけないのです。しかもひとりひとりに。
    バカマスコミがまっとうになってくれると、だいぶ楽になるのですが、タレントであろうと、アナウンサーであろうと、「消費税をあげたら?」なんて恐ろしいセリフを言える人なんて一人もいやしません。
    藤沢さんのやる通り、ネットでひとりひとりに、事実を知ってもらうしかないと思います。

  6. buvery55 より:

    日本の税制には、居住地主義という根本的欠陥があります。このブログの著者のように税を逃れる目的で海外に移住しようとする人に対応して、ちゃんと税務署に税金を徴収する権限をあたえなければなりません。刑事罰をもってでも、日本国民の義務を果たしてもらう必要があります。税制自体が海外との行き来が少ない時代のデザインなので、このような抜け穴をつこうとする人が出てくるのです。

    ちなみに、米国の税制では、市民権や永住権を持っている限り、世界中のどこにいようとも、全世界での収入を申告し、米国に納税する義務があります。二重課税になる場合は、米国は諸外国と租税条約を結んで二重課税になる部分の不便を緩和しています。しかし、徴税の権利を放棄したりしません。

    米国はそういう個人の追跡を社会保障番号で行っています。この番号を取得することは義務ではありませんが、この番号がないと、給料をキャッシュ以外で受け取れないとか、銀行口座が開けないとか、年金ももらえないとか、パスポートを取得できないとか、自動車免許の取得が難しくなるとか、いろいろ不便がついて回るで、みなできるだけ取得しようとします。米国が行っているように、出生時には希望者全員に配り、外交保護を含めて日本国のすべての行政サービスを受けるときには必要な番号を作れば、日本に居住しないことで税を逃れる人などいなくなります。

  7. redbull7 より:

    貧乏になって行くって寂しいね。
    誰々が負担しろとか、俺は負担したくないとか。
    後世に借金を残さないとか、受益者負担原則とか、基本が滅茶苦茶だからダメでしょ。
    同じ医療サービス受けても、年齢によって負担額が違うっておかしいですいよね。
    そもそも、お金持ちってのは、お金を稼いでる人じゃなくて、純資産を多く所有してる人ってことじゃないかな?

  8. bobbob1978 より:

    ttp://www.asahi.com/politics/update/0610/TKY201006100468.html

    「一方、「経済的に豊かだが格差が大きい国」と「豊かさはさほどでないが格差の小さい国」のどちらを目指すかでは「格差が小さい国」73%が「豊かな国」17%を圧倒。」

    この国は7割が畜群で占められているようです。畜群のルサンチマンはかくも醜い。

  9. i8051 より:

    >buvery55さん
    それって要するに外人のフリーライドはOKだが、日本人のフリーライドは許さん、ということでしょうか。なんだかいかにも日本的というか村社会的思考のような….

  10. buvery55 より:

    >i8051さん
    いいえ。日本国籍を持つ日本人と、日本の永住権を持つ外国人は、全世界で、外国人は日本の居住を条件に徴税せよ、と主張しています。現状では、日本国籍と永住権をもつ人が居住地が日本にない場合、課税されていません。

    日本の国籍を持つ人は日本の外交保護を受ける事が出来ます。海外在住が短期の人ばかりだと問題はないんです。しかし、長期である場合、特に高額所得者である場合は、日本の国籍を使った経済活動をしている対価を日本の国家は全く受け取っていません。米国なら国籍を放棄しない限り、IRS内国歳入庁は地の果て迄追いかける事になっています。しかも、脱税目的の国籍変更を許しません。

    外国人の場合は、査証免除の人など短期の人を除いて、居住を条件に課税すれば良いのです。例えば、米国の場合、永住権は権利を主張するものだと考えています。居住を主張するものである以上、実際に居住しているかは無関係に税金を申告して払ってもらう、そういう考え方です。永住権を放棄する場合でも、税金を清算してからでないと放棄させてくれません。

    こういう国と日本の税法で勝負すれば日本が損をするのに決まっています。こういう考え方は、損得を基盤にしていますが、日本的とか村社会的とかいう考えに基づいていません。また確実に税収は増えます。日本政府が徴税するのであれば、海外移住を望む人など怖くもなんともありません。国民の義務である納税を果たしてもらえば、どんどん海外にいこうが好きな事をしてもらえば良いのですし、海外に住んで外国政府にも納税したい人はそうすればよいのです。

  11. buvery55 より:

    こういう国と日本の税法で勝負すれば日本が損をするのに決まっています。こういう考え方は、損得を基盤にしていますが、日本的とか村社会的とかいう考えに基づいていません。また確実に税収は増えます。日本政府が徴税するのであれば、海外移住を望む人など怖くもなんともありません。国民の義務である納税を果たしてもらえば、どんどん海外にいこうが好きな事をしてもらえば良いのですし、海外に住んで外国政府にも納税したい人はそうすればよいのです。

    これをするためには、居住地では把握できないので、納税者番号が不可欠です。米国では社会保障番号がその役割を果たしていますが、長期の公共サービスを受けるのに必要な番号を作り、その番号をもらわなくても生きてはいけるが、公共サービスを受けるのには損をするような仕組みを作れば、大多数の人は番号を取得します。

    付け加えると、外国に住み、日本の永住権を持っている人が、日本の永住権を維持するのか、日本の国籍取得に向かうのか、自分でよく考えて結論を出すよい契機にもなるでしょう。

  12. もなもな より:

    >日本の税制には、居住地主義という根本的欠陥

    アメリカのような属人主義の国は世界でアメリカとフィリピンだけ。他の国はすべて属地主義(居住地主義)。

    属地主義に根本的欠陥があるわけでは無い。アメリカでそれ(属人主義)ができるのは最強の軍事力があるから。どの国に逃げ込んでも最終的にその人間を捕まえる事が出来る。

    フィリピンの場合は出稼ぎを前提に制度設計しているから。つまり最終的には自国に帰ってくるというのが大前提で制度設計しているだけ。

  13. kakusei39 より:

    ≫10

    どこの回し者なの?

    ≫日本の国籍を持つ人は日本の外交保護を受ける事が出来ます

    どんなことをしてくれるの?イラン革命の時は、邦人はイランで缶詰状態、結局助けてくれたのは、トルコ政府の指示で飛んだトルコ航空ですよ。

    尖閣を見れば分かるでしょう。助けるのは中国人で、日本人等踏みつけでしょ。拉致被害者には何もせず、北の学校には無料化をして、慰安婦には補償を改めてしたいという国家公安委員を任命して、どこに保護があるの。

    また、このブログの筆者は、海外に逃げようなって言ってないですよ。そういう人がいるという話から、税収が上がらないし、副作用が大きいと言ってるだけでしょ。

    軍事無国が、軍事大国の真似して、世界の軋轢に耐えれるのかね。また、検察に言わせて、トンズラするのが落ちですよ。

  14. kazkazka より:

    ってゆーか、税法が属人主義かどうかなんて、この話題に関係ないでしょう。
    実施面の問題なのだから、知ったこっちゃない。

    まっとうな反論ならラッファーカーブにでもかみついたらどうか?buvery55 さん。

    さて、話を戻すとしましょう。
    お金持ちに税金をかけてお金持ちが減ってしまったら、リスクを取れる人がいなってしまいます。
    だから、むしろ所得税はフラットな税を目指すべきです。そして財源は消費税以外考えられません。それでも足りなければ、月額30万以上の高額年金を削るべきです。

    都合悪い現実でも現実ならそれを認めるべきだと思います。

  15. 市民A より:

     給与所得控除のごときサラリーマン特権は廃止されてしかるべきだ。「高額所得者」を狙い打ちにしているわけではなく、責任を追わずに給与を保障されるというサラリーマン特権を維持しつつ利益だけは得ようという「虫のいい高額所得者」を減らそうとしているだけではないか。日本はサラリーマンの特権が強すぎるから優秀な人材が起業せず、生産性は下がる一方。この記事も十重二十重の特権で保護された生産性の低いサラリーマンの甘え意識を如実に示していると言える。藤沢氏のごとき自由主義の皮を被った既得権社会主義者ではなく真の自由主義からの意見であれば、むしろ税制のゆがみを但し起業の障碍をのぞく政策として肯定的に評価されるのではないか。

  16. i8051 より:

    >市民Aさん
    なるほど、自由主義とは、その人が何を生業としているかに応じて政府が恣意的に課税ベースを設定することを肯定するような社会のあり方を指すのですね。知りませんでした。

  17. kr1bn より:

    アメリカを比較に出すなら、最高税率は35%であること、低・中所得者からもしっかり所得税をとる、フラットな税率であることも加えて明記するべきでしょう。
    そもそも、論点は高所得者に対する懲罰的な税制では税収は増えないし、経済は良くならないという点です。反論者は、税収が増え経済が良くなる理由を示すべきです。

  18. 私は安定累進というか、既得権の長さや大きさに応じた累進性の課税を行うべきだと思います。現在の所得税は、一時的な所得金額の大きさ対してのみ累進性があり、欠陥税制です。例えば、死ぬまで裕福な年金と給料が保障されている公務員や大手企業の正社員と、浮き沈みの激しい一発芸人やプロ野球選手などを比べ、金額における累進性だけでは後者に圧倒的に不利でしょう。私は公務員や民間人、さらに細分化して正社員や非正社員、自営業など“身分”ごとに安定性の係数を出し(安定度の高い身分ほど大きくなる係数)それを年収に掛けた額を元に累進課税すべきだと思います。それによって新たな税源を創出できると思います。公務員は反対するでしょうけど、それは甘えです。

  19. minourat より:

    レーガン政権の予算管理局長としてサプライサイド経済学を押し進めたデービッド・ストックマンは、 、サプライサイド経済学のトリクルダウン理論はインチキだったと今はいっています。 また、レーガン政権の減税は、 財政赤字を拡大し後からあわてて増税しました。 税収を最大にする税率は、 日本の江戸時代の年貢率の例では70%あたりのようです。

    海外に居住しても、 日本で得た収入に対しては、 相続税のように、日本で課税するようにできないでしょうか?

  20. umb0158 より:

    >19
    なぜ今、国家間減税競争が話題になってるかというと、ヒト・モノ・カネが非常に動きやすくなってるからです。
    優秀な組織や人材は200年前はおろか2、30年前よりはるかに簡単に移動してしまいます。これがこの議論の大前提であり、問題意識です。
    むろん、サプライサイド経済学はエセ経済学でした。ただかいつまんでいえば、今日では企業を優遇する税制は1.海外企業の誘致、2.日本企業の流出防止ってふうに働くって話です。実証データがあるかは僕も知りませんが。とにかくサプライサイド経済学と違うっぽいのはここです。