グルーポンの正月おせちに思う

2011年01月04日 07:18

一般の人は此の件どう見てるのだろうか?推測するにグルーポンにある程度の理解があり、ある種の危惧は感じながらも好意的に観ている者に取っては「やっぱりな!」と言う事だろうし、悪意、色眼鏡で観ている者は「それ見た事か!」と言う事だろうと思う。ITに拠り従来不可能であったビジネスが可能に成るのは頭では理解しているものの、供給サイドから観れば商流が変わるだけの事で、本来@1万円で売るべきを@5千円で売り、しかも半分の@2,500円をグルーポンに上納すると言う仕組みに抵抗があるし、ある種危うさを感じる訳である。


そえにしても本来@1万円の売上が無ければ成らない所、@2,500円でも採算が取れると言うのは一体どう言う事なのか?一番判り易い例は、利益率が高いと言う事だが競合商品がある場合は実質不可能である。

技術的に可能なのはダミーで競合他社を作り、価格サイトに登録すると言うものだが此れは明らかに「景品表示法」に抵触する。最近の実例はバイク王の同様行為であり価格サイトは閉鎖されたと聞いている。

次に考えられるのは、商流として現在リアルな店舗で販売しているのだが店舗当たりの経費(固定費と販管費)が高いと言う場合である。此れは取りも直さずその商品が余り売れていないと言う事なので一回だけならビジネスとして成り立つかも知れない。

唯、商品が売れないのには商品として魅力が無いと言う厳然たる事実が有る訳で一回きりの本当の意味での「フラッシュ」ビジネスとも言える。
どうも本来あるべき継続的な売り手と買い手の相互メリットの存在が見えて来ないのである。

とは言え、この仕組みが荒唐無稽かと言えばそうでも無い。住友商事が運営し年間1千億円以上の売り上げを誇るジュピターのショップチャンネルは定価より大幅に値引きを行い、更に売上代金の半分を媒体費用として徴収すると言うグルーポンとほぼ同様のスキームと聞いている。

取扱い商品は無論,価格Comで調査可能な物は具合悪く、ジュエリー、ファッション、ビューティメーク、インテリア、ある種食品とか原価が見え辛く商品自体がユニークで競合商品との比較が難しい物を品揃えしているようだ。

そして、業界関係者から聞いた話であるが、此の有象無象の商品を売る為の仕掛けが色々と工夫されている。対象は、30代~50代の主婦。仕掛けの第一はテレビのディスプレイを通じて商品訴求する事で信頼性とブランディングを演出している。

次に過去それなりに顔の売れた俳優、コンパニオン、DJ、更には宝塚のOJをを起用すると共に常連とも成れば贔屓の出演者に電話でのトークも可能と成り此れが此のチャンネル視聴者のステイタスらしく此の為に定期的に購入するのだそうだ。

最後の仕掛けは残り50個、30個、10、9、8、、、、のカウントダウン。どうもこう言う一連の仕掛けで30代~50代の主婦はその商品を自分は本当に必要としてるのか?価格は妥当か?と商品の購入に当たり当然あるべき「理性」が何処かに行ってしまい結果コールセンターに申し込みの電話を入れるのだろう。

個人としてこう言うビジネスモデルをどう思うかは別にしてそれなりに良く工夫され、一定の評価を得ていると思う。

扨て、今回のグルーポンのおせちで「ネットの危うさ」とかの論調を目にするが、そう言うレベルでは無くつくづくお粗末な話だなと思う。噴飯ものの話とはこう言う物なのだろう。要は金に目がくらみ受注したのは良いが、食材を実際に調達する段階で支払に必要な金額が判明し蒼く成って質を落とし、種類を減らす事で形振り構わず採算を取りに行ったのでは無いか?結果、「羊頭狗肉」の平成版実例を作ってしまった訳である。

納期が間に合わなかった点は、論評する気にも成らないが生産能力を度外視して受注したと言う事であろう。作り置きが効かない商品ならばあり得る話である。

グルーポンのビジネスモデルが今もって判然としないのは、そもそも定価の所に仕掛けがあって本来@2,500円の商品を恰も@1万円の商品の如く信じさせ、此のある種イルージョンを使って大量に売り捌く以外成り立たないように思える点である。

そう考えれば、メーカーの商品であれ、旅館の空き室であれ、大量売れ残り商品の処分以外は余り近付か無い方が身の為かも知れない。

山口 巌
ファーイーストコンサルティングファーム 代表取締役

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