ジャパンルネッサンス、2011

2011年01月07日 11:07

正月明けから大企業に勤務する、事業部長、部長と言った中堅幹部数名に面談したり会食したが、皆一様に昨年よりも明るい。考えてみればリーマンショックが起こってから今回は3度目の正月である。1度目は茫然自失、2度目は何とか1年越せたと言う所だったと思う。3度目と成る今回は少しは余裕も出来、客観的に回りを眺める事が出来、結果、各企業の課題が明瞭と成り、課題克服の道筋もぼんやりではあるが見えて来たと言う所であろう。後述するが投機資金の新興産業国流入は確実で、多少のお零れが日本市場にもやって来て株式市場も上がると思う。此のV字回復を一過性では無く継続的な物に是非共すべきである。その具体的施策を今回考えてみた。

先ず以て肝に銘ずべきは、日本は島国であるが決して孤立している訳では無いと言う事実である。商品は交易に拠り、資金は資本、商品、為替市場経由そして人は仕事、観光で自由に移動する。此れは日本が好むと好まざるとに拘わらず世界情勢に大きな影響を受けると言う事である。

それでは2011年が一体如何なる年に成るかと言う疑問であるが、私が目にした中ではアメリカ、ワシントン発のユーラシアグループ「2011年のトップリスク」が一番見事に世界情勢を俯瞰してると思う。 

要約すれば大体下記の通りである。

1 The G-Zero (国際協調ゼロに時代へ)
2 Europe (ヨーロッパ混迷の更なる深刻化)
3 Cybersecurity and geopolitics (国家的サーバーテロの恐怖)
4 China (身勝手でKYな中国)
5 North Korea (北朝鮮の暴発)
6 Capital controls (投機資金の新興産業国流入)
7 US gridlock (オバマ大統領と捻れ議会)
8 Pakistan
9 Mexico
10 Emerging markets

日本の政治リスクがリストに無いが、此れは日本の政治が駄目なのは今に始まった事では無く、官僚組織や民間がそれなりに機能しており、短期のリスクは無いとの判断と思う。無論、官僚主導の結果として本来なされるべき改革が先送りと成り日本は長期低迷を余儀なくされている訳である。

G-Zero は実に面白い表現である。超大国、西側先進国、新興産業国そしてLDC全ての国々が全く協調する事無く自己主張を繰り返し、勝手な行動を取る事に成ると予測しているのである。イメージとしては酷く「学級崩壊」したクラスを想像すれば良いのかも知れない。

此のかなり危ない2011年に日本が誤って地雷原に迷い込み進むに進めず、退くに退けずの窮地に陥るとか或いは地雷を踏んで片足が吹き飛ぶ様な惨劇に遭遇せずに済む為にはどうすべきだろうか?

矢張り第一は日米同盟を基軸とした「安全保障」の充実であろう。ハードパワーとしての軍備の一層の充実であるとか基地の在り方は此の国際リスクを理解した上で検討されるべきであり沖縄の基地も無論例外では有り得ない。

第二は外交、文化交流そして観光産業の振興に拠る旅行者の受け入れの様なソフトパワーの充実である。中国の軍事的脅威は存在するが今一方の事実として将来日本は中国経済圏に組み込まれて行く事でしか経済大国の地位を維持出来ないと言う冷徹な事実が忘れられては成らない。中国人観光客に大挙して日本に来て貰い、日本を理解し、親日的に成って貰わねば成らない。銃口を中国大陸に向ける事は日本の経済損失に直行する筈である。

最後はサイバーテロ対策である。詳細は専門家の議論に委ねたいが首相直轄で日本もCIO(Chief Intelligence Office)を設置する時代に来てるのでは無いだろうか?

上記でデイフェンス固めたとして、今度は攻撃である。日本の製造業を活性化するのが、現在問題と成って居る雇用問題解決含め一番効果ある筈だ。そしてその為の一丁目一番地はFTA,TPPへの加盟である。政府も此処まで来たら、農家が嫌がるとか何時までも妄言を吐くのでは無く断固とした加盟に向けた舵を切るべきである。何故なら加盟せねば日本が沈没するからである。

日本の製造業の不振を「ガラパゴス」、「オーバースペック」の2言でばっさり断罪する論調がネットでは多い様に思うが正直些か乱暴ではと思う。「原子力発電」の如き資本財とテレビ端末の様な消費財では抱える課題も全く違う筈である。今少し丁寧な議論を行い企業、役所、そして政治がどう認識を変え、何をやるべきか見極めるべきであろう。

原子力発電の場合日本のコントラクターは東芝、三菱重工そして日立の3グループ。各コントラクターは独自技術を持ちそれをベースに基本設計を行い更に詳細設計、此れにより調達機器が確定する訳である。シビル工事を担当する、ジェネコンや放射能漏れを防ぐ為の非破壊検査等も極めて重要な仕事である。要は原子力発電所は高度に専門的な各分野の集合体、パッケージである。

此れが輸出と成れば、話は更に複雑と成る。現地、日本大使館コマーシャルアタッシュに拠る情報収集や売り込みは重要。そして、タイミングを観ての首相や閣僚級政治家のプッシュや政治的デール、契約毎に求められる可能性の高い燃料と成るウラニュウムの安定供給体制の構築、操業指導。拠って課題は有能な日本大使館コマーシャルアタッシュを如何に現地に配属するかが先ずあり、次いで相手国の求める課題に如何様にも対応出来るフォーメーションの構築能力である。

輸出先が途上国と成れば資金の問題からBOT(Build Operate Transfer)が要求されるケースも多いと聞いている。最終引き渡しまでのリスクと資金繰りが問題と成るがリスクは国が保険を準備すべきで資金繰りは三菱商事、三井物産等大手商社をコンソーシアムに入れる事でマネージ出来るのではと思う。

飽く迄仄聞する所であるが、相手国からは「現地化」を求められるケース多いのだが資金不足で工事続行や操業継続の為には日本側からの輸血(送金)余儀なくされる場合も多いらしい。しかしながら、国税で全て否認され課税対象と成るなしい。此れ等は政治主導で「ビジネスコスト」の扱いにさせ企業のやる気を喚起すべきと思う。国税は真面目に仕事をやって居る訳だが結果「角を矯めて牛を殺す」事にしか成って居ない。

一方、テレビ端末はどうすべきであろう?第一は従来の欧米偏重から中国と中国に雁行する新興産業国に注力市場をシフトする事だと思う。その場合購入可能な廉価な商品ゾーンでベースロードを構築出来るか否かが勝負の分かれ目である。

今一つの戦略は不振の元凶とされている「ガラパゴス」、「オーバースペック」を逆手に取り「メイドインジャパン」を拘り商品として富裕層に受け入れて貰えるようなマーケッテイングを行うのである。

富裕層が観光で日本に来日するのは「メイドインジャパン」のブランドを刷り込む絶好の機会であり、此の辺り日本としての横断的な戦略が必要である。

そして日本が再び蘇る為には激しい痛みを伴うが、地方分権と公務員改革を伴う行政改革を断行する必要がある。不要で多過ぎる公務員は直接には財政負担の問題であるが、結果余計で不要な規制の温床と成り起業意欲を委縮させたり民間の活動を不必要に制約してる筈である。

地方分権に際し、強調したいのは議員が予算に徹底した責任を持たねば成らないと言う事である。その責任感の不在が、無用な多くの地方空港を建設したり、維持費により地方行政の圧迫要因と成った箱物建設の温床なのである。

最後に「財政規律への回帰」の工程表を作成し国民に説明すべきと思う。具体的には、先ずはプライマリーバランスの均衡化と次いでの国債残高ゼロ化である。

シュミレーションの結果、「社会保障費」に大鉈振るう事や消費税の大増税がマストと成るであろう。或いは、企業活動が活発と成り法人税、所得税からの税収増が結果「社会保障費」に振るうべき大鉈を小鉈で済ますとか消費税の大増税が小増税で済むとか、要は経済政策の成功が果実として国民に配分される事実感として感じられる筈である。

こういうきちんとした手続きを踏めば、賢明な日本国民は来たるべき「痛み」に耐える意味を知る筈である。少なくとも、菅首相の如き何の背景の説明も無く闇雲に「消費税増税」を1万回無意味に繰り返すよりもだ。

山口 巌
ファーイーストコンサルティングファーム 代表取締役

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