転職を容易にする方法

2011年01月10日 09:00

日本の労働市場の流動性ついて考えてみましょう。流動性を高めるには、下記の2つの方法が考えられます。

1)企業の解雇規制を緩める。
2)労働者の自発的な転職を容易にする。

1の実現について、池田信夫氏は雇用規制から雇用創造への中で、「終身雇用・年功序列が企業にとっても労働者にとっても有害だということは、民主党も自民党も公明党も知っている。それは「口に出すと選挙に負ける」という政治問題なのだ。」と述べています。つまり解雇規制の緩和を実現するのは、現状では極めて困難と言えます。では、2についてはどうでしょうか。


大企業における労働市場の流動性が低い理由は、新卒学生の採用に偏った人事採用制を行っているからです。就職活動を「椅子取りゲーム」に例えて考えてみましょう。空いている椅子(募集枠)へ座る条件が新卒のみならば、すわり心地の悪い椅子に座っている転職希望者がいて、もっと良い椅子に座りたいと希望していても、そちらの椅子へ移動する事(転職)はできません。

そもそも新卒採用を優先し、転職採用を抑制してきたのは企業自身です。企業の成長を維持する為に労働者の囲い込みが必要だった高度成長期には、新卒一括採用は合理的なスキームでしたが、いま企業に必要なのは雇用の流動性の向上です。

ゆえに2の実現は、大企業の経営者の決断により実現可能です。実現の為に、大企業は即戦力の転職者の随時採用を優先した採用制度へ切り替え、来年以降の新卒学生の採用を一旦中止します。大企業から大企業への転職が可能になれば、社内に燻っている有能な社員の転職が年々増大します。企業自身が転職を主な採用源とするならば、企業年金のポータブル化も、企業自身で実現方法を考えるでしょう。

即戦力の転職者の採用面接は、現場の仕事を熟知していない人事部ではできませんから、採用の権限はだんだんと現場へ降りて行き、最終的には募集や採用条件の権限は当該部門が持つ事になると考えます。このようにして採用の権限を現場が持つようになれば、面接者の業務能力の判断が比較的容易になりますから、実力のある労働者であれば、中小企業から大企業への転職の道も開け、労働市場が柔軟性を高めます。

新卒学生を採用する優先順位が下がり、即戦力経験者と競争するようになると、大学生に求められる資質はおのずと変化するでしょう。また、いきなり大企業へ入社する学生は減り、まずは中小零細企業へ入社して能力を高め、何回か転職を繰り返しながら、少しずつ上の「椅子」へ移動してゆく事になると考えます。

このようにして労働市場の流動性が「結果」として高まると、もともと明文の解雇規制は厳しくない訳ですから、好況時の解雇において、企業側に有利な判例が出てくる可能性が期待できます。それが積み重なれば、好況時には多くを雇用し、不況時には解雇をするという事が可能になってくるのではないでしょうか。

経験者優先の雇用制度を企業へ広める為には、以前にも述べましたが、経団連主体の指導を行う事がもっとも手っ取り早い実現方法です。経団連は既に、早期就活の自粛指導なども行っています。

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