転職を容易にする方法

日本の労働市場の流動性ついて考えてみましょう。流動性を高めるには、下記の2つの方法が考えられます。

1)企業の解雇規制を緩める。
2)労働者の自発的な転職を容易にする。

1の実現について、池田信夫氏は雇用規制から雇用創造への中で、「終身雇用・年功序列が企業にとっても労働者にとっても有害だということは、民主党も自民党も公明党も知っている。それは「口に出すと選挙に負ける」という政治問題なのだ。」と述べています。つまり解雇規制の緩和を実現するのは、現状では極めて困難と言えます。では、2についてはどうでしょうか。


大企業における労働市場の流動性が低い理由は、新卒学生の採用に偏った人事採用制を行っているからです。就職活動を「椅子取りゲーム」に例えて考えてみましょう。空いている椅子(募集枠)へ座る条件が新卒のみならば、すわり心地の悪い椅子に座っている転職希望者がいて、もっと良い椅子に座りたいと希望していても、そちらの椅子へ移動する事(転職)はできません。

そもそも新卒採用を優先し、転職採用を抑制してきたのは企業自身です。企業の成長を維持する為に労働者の囲い込みが必要だった高度成長期には、新卒一括採用は合理的なスキームでしたが、いま企業に必要なのは雇用の流動性の向上です。

ゆえに2の実現は、大企業の経営者の決断により実現可能です。実現の為に、大企業は即戦力の転職者の随時採用を優先した採用制度へ切り替え、来年以降の新卒学生の採用を一旦中止します。大企業から大企業への転職が可能になれば、社内に燻っている有能な社員の転職が年々増大します。企業自身が転職を主な採用源とするならば、企業年金のポータブル化も、企業自身で実現方法を考えるでしょう。

即戦力の転職者の採用面接は、現場の仕事を熟知していない人事部ではできませんから、採用の権限はだんだんと現場へ降りて行き、最終的には募集や採用条件の権限は当該部門が持つ事になると考えます。このようにして採用の権限を現場が持つようになれば、面接者の業務能力の判断が比較的容易になりますから、実力のある労働者であれば、中小企業から大企業への転職の道も開け、労働市場が柔軟性を高めます。

新卒学生を採用する優先順位が下がり、即戦力経験者と競争するようになると、大学生に求められる資質はおのずと変化するでしょう。また、いきなり大企業へ入社する学生は減り、まずは中小零細企業へ入社して能力を高め、何回か転職を繰り返しながら、少しずつ上の「椅子」へ移動してゆく事になると考えます。

このようにして労働市場の流動性が「結果」として高まると、もともと明文の解雇規制は厳しくない訳ですから、好況時の解雇において、企業側に有利な判例が出てくる可能性が期待できます。それが積み重なれば、好況時には多くを雇用し、不況時には解雇をするという事が可能になってくるのではないでしょうか。

経験者優先の雇用制度を企業へ広める為には、以前にも述べましたが、経団連主体の指導を行う事がもっとも手っ取り早い実現方法です。経団連は既に、早期就活の自粛指導なども行っています。

コメント

  1. livedoa555 より:

    就職するときの身元保証人制度を廃止または禁止すべきです。就職時に第三者の保証を求める制度を放置したまま、労働市場の流動性を議論すること自体がおかしい。

  2. bobby2008 より:

    livedoa555さん

    保証人制度は要するに、根無し草の余所者を排除するしくみですね。MixiやFacebookやLinkedinのようなSNSが身元保証の替わりになれば良いのですけどね。

  3. bobby2008 より:

    Tweetとブロゴスのコメントからいくつか拾ってみました。

    >毎年輩出される大量の未経験者はどうするんだろう……。 :

    即戦力労働者の流動性が高まると、彼らの市場価格(給与)は上昇する事が予想されます。中小零細企業は、同レベルの給与を支払えませんから、市場価格の低い未経験者(新卒の高校や大学生)を雇用して、社内で教育します。最初の会社で数年間仕事をすれば、彼らも立派な経験者として労働市場へ参加できます。

    >この手の議論に欠けているのは、「解雇される」側の視点。

    労働市場の流動性が高まっても、それでも雇用され難い人は出てくるでしょう。この場合、そういう人の救済は労働市場の視点ではなく、セーフティーネットの視点で議論するべきだと考えます。

    >「成果主義導入の時みたいにダマされないやしないか?」とも思える。。。

    労働市場の流動化は、特定の会社の社内基準で制御できないところが重要です。今の会社が、自分の能力を正しく評価していないと感じる時、あなたは労働市場を通じて、自分の能力と価値を評価してもらう事ができます。

    >転職したら退職金が減って、トータル収入が減るとか聞くけど…。

    中途入社が一般的になれば、あとからもらう分の退職金を、現在の給料へ上乗せするような給与体系へ、企業自身が変えてゆくでしょう。

  4. ksmo2011 より:

    ここでも又、年功序列や終身雇用制に対する誤解があるようですね。
     そもそも年功序列は、同一労働で一生平社員であるような労働者に、その生活に必要な賃金を如何に配分するかという制度なのです。
     又、社会全体が、同一労働同一賃金であるような年功序列制を採用していれば、むしろ労働市場の流動性は高まって転職しやすくなるでしょうし、解雇規制に守られて、少々無能でも安心していられる社会の方が遙かに安心社会というものでしょう。
    企業にとっても、新卒一括採用は都合が良く、具合が良い制度だからそうするのであって、其れを規制して、禁止するなどとんでもない自己決定権の侵害です。
     解雇規制が撤廃されて何よりも有り難いのは企業です。だってそうでしょう。企業が儲かっていようがいまいが、何時でも、好きなときに、指名解雇で、能力の低い労働者を自由に解雇できるのですからね。然もその解雇が公正で、正当で、理解や納得が得られるものであるかどうかの保証は全くありません。
     問題の本質は、勉強をしない大学卒が大量生産されたことです。就活セミナーなどと称して、面接試験の受け方を指導される大卒生など、噴飯ものです。面接もまともに出来ないような大卒は要りません。

  5. bobby2008 より:

    一般の人に名の知れた大企業の多くは輸出型企業です。現在の超円高や、振るわぬ欧米消費市場は、輸出型大企業が経費削減の為に労働市場の流動化を通した総人件費の削減に、業界をあげて取り組むべき絶好のタイミングです。

    新卒一括採用から中途採用優先へ切り替える事は、単純に教育コスト、不適正リスク、実戦投入のリードタイムを減じるだけでなく、自発的に転職による総人件費の削減というオプションを企業に与えてくれます。

  6. bobby2008 より:

    ksmo2011さん

    >新卒一括採用は都合が良く、具合が良い制度だからそうするのであって、其れを規制して、禁止するなどとんでもない自己決定権の侵害です。

    都合が良かったのは日本が成長していた時代の話です。成長が止まった今、企業にとってより必要なのは総人件費の削減であり、その為に企業が「自発的」に中途採用優先に変えてはどうだろうか、というのがこの記事の主旨の一つです。

    >問題の本質は、勉強をしない大学卒が大量生産されたことです。

    責任の半分は企業側にもあります。大学生に対して、誤ったシグナルを送り続けたという責任です。3年生から就活に身を入れるように学生を誘導してきたのも企業の責任と言えます。

    要するに、お互い、自分の首を自分で絞めているのに気づかなかったというお粗末な話ではないでしょうか。

  7. wishborn2400 より:

    雇用の流動化は魔法の杖ではありませんよ。
    桶屋が儲かる的なバラ色の理屈でものを考えるの
    はやめた方がいいでしょう。
     雇用の流動化によって何が生じるのか、その負の
    側面まで考慮し、それに対する対策を含めて政策
    全体を考える必要があるわけですが、そうした部分
    については、あまり考えられていないようです。
     論者の言うところの雇用の流動化がどの程度の
    ものか、あまり語られていないことも問題なのです
    が、それは一定の層の労働者、あまり専門的な
    知識や経験の必要のない職種の労働者の生活を
    不安定にします。そうした職種も社会にとって必要
    なものであり、一定層の国民がそれに従事する訳
    ですが、解雇規制の内容によっては労働者であり
    同時に消費者であり、子供を育てる親の生活を
    不安定なものにしかねません。
    そうした市場が買い手市場になるとすれば、
    たとえ若者の雇用がそうした市場において増加
    したとしても少子化、子供の貧困、ワーキングプア
    の問題を拡大させかねません。
     これは現在においても、拡大した非正規雇用に
    よって加速してきた問題です。
     安易な解雇規制の緩和は、企業には歓迎され
    るかもしれませんが、国家の政策としては支持で
    きるものではありません。
     私自身も他の記事へのコメントで解雇規制の
    緩和には賛同していますが、それは労働法制が
    遵守された上で(罰則がないということで無視さ
    れるようでは意味がないでしょう)生活、子供の
    養育などへの社会保障を強化した上でのことと
    条件づけています。
     企業の経済活動は重要なことですが、国家の
    政策というものは、もっと包括的に考えられる
    べきものです。

  8. ksmo2011 より:

    bobby2008さん
     
    >都合が良かったのは日本が成長していた時代の話です。成長が止まった今、企業にとってより必要なのは総人件費の削減であり、その為に企業が「自発的」に中途採用優先に変えてはどうだろうか、というのがこの記事の主旨の一つです。

     先ずおかしいのは、中途採用に切り替えると総労務費の削減になるのですか?成長が止まったことと、新規一律採用の
    の廃止とは全く関係ありませんね。
     其れより何より、其れで不都合だと企業が考えるなら、言われなくても、当然にして企業はそうするでしょう。企業がそうしない理由は何ですか。まさか企業がボンクラでアホやから等というものではないでしょうね。
     一体、潰れて良いなどと思っている企業は、民間にはありません。JALは潰れて良いと思っていたわけではなくて、潰れないと思っていたと言うだけのことに過ぎません。潰れないと思っていれば、別に、あなた方の言うように、新規採用を変えよう何て思いませんし、言われたところでそんな風にはしないものですよ。
     本来、企業は、経営が立ちゆかなくなれば、解雇規制に関わらず、人員整理をします。そんな人員整理も出来ないような企業は潰れてしまって良いのです。企業が潰れれば当然にして、労働力は流動化します。
     身を守るために、言われなくたって、企業は総労務費抑制に走りますって。

     それから、企業の側から、馬鹿な大学生を量産してくれと頼んだことはありませんよ。上手いこと言って学生を集めて儲けたのは、大学法人という企業です。それに釣られた学生が、愚かだったのです。名ばかり大学で楽をしていい思いをしようとした学生が甘かったのです。新卒一律採用で、企業は必要な人材確保は出来ていますから、どうぞご心配なく。

  9. pacta より:

    考え方は良いと思いますが、課題があります。
    ・多くの企業で業務は未だにアナログ的であり、必要な能力のデジタル化がされて居ないため、効率的な中途採用が出来ない。
    ・必要無い人間を解雇することに対する社会的批判が強く、企業イメージが低下するデメリットが雇用流動化のメリットより大きい。
    この二つを乗り越えることがかなり難しく、当面は企業が中途採用重視に動くことはないでしょう。
    大企業が全て外資に買収されること(アウトサイダーによる破壊的変革)が、雇用流動化の必要条件かなーとも思います。

  10. bobby2008 より:

    9. pactaさん

    >多くの企業で業務は未だにアナログ的であり、必要な能力のデジタル化がされて居ないため、

    業務がアナログ的=システム化されていない、という意味であれば、中途採用の管理職が増大する事で改善されるものと考えます。

    日本の企業で、業務システム・パッケージの導入に多大な費用と労力を要するのは、外部との人材交流がないので、社内の業務フローが企業毎に特殊化し、ガラパゴス化しているからです。中途採用の管理職が、前の会社の業務フローや企業文化を持ち込む事が積み重なって、個々の企業の社内業務フローがあるていど平準化する事が期待されます。(転職の多い欧米の企業は実際にそのようになっています。)

    業務フローがある程度平準化すると、パッケージ・ソフトの導入が容易になり、多くの企業でERPソフトの恩恵を有る程度受けられるようになると考えます。

    >必要無い人間を解雇することに対する社会的批判が強く、

    転職が当たり前の風潮になり、終身雇用という社会的価値観が消失すれば、上記のような批判を行う社会的価値観もなくなるのであろうと期待します。

    >当面は企業が中途採用重視に動くことはないでしょう。

    新卒一括採用を中途採用に変える事自体は、「不要な人材を解雇する」事と別けて考えてください。社会的な価値観の変化は、転職が一般化された「結果」として生じると期待するものです。

  11. bobby2008 より:

    Twitterのコメントを拾ってレスします。

    >即戦力採用の実態にうんざりして、各社は新卒採用の枠を維持してるんですが。有能な人は昔も今も転職してますよ。
    解雇規制の厳しい状況で転職する人は、おおざっぱに言って、下記の一つまたは複数の特徴があると考えます。
    1)特別優秀な人。
    2)幸運な人。
    3)日本型の組織に馴染まない人。
    4)無謀な人。
    大企業が中途採用優先になれば、今まで大企業に「死蔵」していた普通に優秀な「即戦力」が労働市場に参加してくるというのがこの記事の主旨の一つです。

    >職種別採用とは経験者採用のことになるか
    選択の余地がある大企業では、当然の事ながらそうなるでしょう。中小企業の場合には予算や会社の魅力に応じて、可能性を見込める未経験者や、その辺が見えない新卒を、低い給料で雇えるという理由で採用する会社が必ずあるでしょう。

  12. bobby2008 より:

    7. wishborn2400さん

    >雇用の流動化によって何が生じるのか、その負の
    >側面まで考慮し、それに対する対策を含めて政策
    >全体を考える必要

    この記事は、政府に対する解雇規制緩和の要求ではありません。企業に対して、新卒一括採用から中途優先の随時採用へ、企業自身が切り替えるベシ、という主張です。

    企業自身が雇用を流動化させた時のデメリットは、企業自身と転職する労働者本人が被るべきものです。

    >それは一定の層の労働者、あまり専門的な
    >知識や経験の必要のない職種の労働者の生活を
    >不安定にします。

    一定の労働者層、すなわち中小零細企業の正社員や、既に非正規雇用となっている労働者は、以前から終身雇用とは縁遠い不安定な生活状態であると認識しています。

  13. wishborn2400 より:

    >>12
    必要と言われる、企業の解雇規制が企業による
    自己規制であるとでも言われるのでしょうか?
    そうでなければ、それは国の政策でしょう。
    必要だといいながら、要求はしていないというの
    はでは、ちょっとよくわかりませんね。

    中小零細であっても正規雇用と非正規雇用とでは
    社会保障その他の待遇で大きな差があります。
    あまりにも大雑把な認識です。
     私の使っていない「終身雇用」という基準をもち
    だして、それらを同一視されても困ります。
     また、いわれるところの「不安定な生活状態」が
    何をもたらしているのかを考えることなしに、
    解雇規制の緩和によって、そうした状態におかれ
    る労働者を増やす可能性のある政策を論ずるこ
    とは危険なことです。
     解雇規制の緩和によって、そうした層が増える
    ことはないというのであれば別ですが、考えにくい
    ことですね。

  14. bobby2008 より:

    13. wishborn2400さん

    私の記事を誤解されています。記事本文をもう一度、よくお読み下さい。私は政府の「解雇規制を緩和する方法」ではなく、労働者による自主的な「転職を容易にする方法」について述べています。

    そして、社蓄として飼い殺されていた大企業の労働者が自主的に転職する事が一般的になれば、「結果」として裁判所の判例ベースによる解雇規制が弱まる事が期待できるでしょう、と述べました。また、中小企業の労働者でも実力者であれば、大企業へ転職する道が開ける事が期待できると述べました。

    労働市場が柔軟化した後であれば、大企業は解雇規制の回避を目的とした非正規雇用を止めて正規雇用に切り替えるるでしょう。つまり、好況時には正規雇用を増やし、不況時には減らすという(欧米と同様の)雇用サイクルが日本にも出現するでしょう。この場合、不況時に解雇された労働者は、正規雇用者が得られる失業保険や、生活保護などの法制度によるセーフティーネットで守る事になるでしょう。(そもそも失業対策を企業へ丸投げする現在の日本の制度は既に賞味期限切れです)

    繰り返しになりますが、この記事は「はじめに解雇規制ありき」ではありません。

  15. wishborn2400 より:

    >>14
    国の政策としての云々というのは、私の理解が
    つたなかったものと思います。申し訳ありません。
    解雇規制ありきではないということは了解してお
    ります、しかし14でも言われているように、そこ
    につながるものとして主張されているわけです。
     最初に述べたように雇用の流動化は魔法の杖
    ではありません。
     言われるような判決への影響は生じるかどうかは
    希望的観測といわざるを得ませんし、労働市場の
    柔軟化によって正規雇用への切り替えが生じると
    いうのも、因果関係に飛躍があります。

    記事において掲げられた、1と2の方法は確かに
    必要なことです。しかし、労働者の転職を容易に
    することで、解雇規制を緩和させよう、もしくは
    結果として緩和させることができるのだというの
    は無理があります。

     ありきではない、それは理解しています。
    私は、それらは別個に対策すべきものだとし、
    非正規の問題やセーフティネットの問題を直視
    することなく、結果として解消できるというような
    考え方を批判しているのです。
     

  16. bobby2008 より:

    15. wishborn2400さん

    >そこにつながるものとして主張されているわけです。

    はい、転職社会の到来により、結果として解雇規制が「緩む」事を期待しております。

    >労働市場の柔軟化によって正規雇用への切り替えが生じるというのも、因果関係に飛躍があります。

    企業が派遣会社に「余分な費用」を払ってまで、割高な派遣社員を選択するのは、市場の好不況(仕事量の増減)の波を吸収する為に、雇用の弾力性を維持するのが目的です。直接雇用しても雇用の弾力性を維持できるのであれば、割高な派遣社員を採用する経済合理性は無いと言えます。つまり派遣社員というのは、雇用の弾力性が確保できる状況では、存在のメリットを失い大幅に減少します。

    ちなみに、製造、リテール、物流、飲食業では、非正社員の直接雇用は昔から存在しており、今後も存在するでしょう。

  17. wishborn2400 より:

    >>16
    結果として、解雇規制が緩むことを期待されるのは
    かまいませんが、判例によって解雇規制が運用上
    弾力化されるのを期待するというのでは、まったく
    説得力がありません。
     具体的な見込みはないと言ってよいでしょう。

     また、雇用の弾力性というものが、自発的な転職
    によるものであるとするならば、不況下において
    それを期待するというのは全く合理的ではありま
    せん。

     非正規について、以前から存在しているから
    問題がないと考えているということでしたら、
    やはり、国、社会全体の問題として労働問題を
    考える視点がないと言わざるを得ません。

  18. bobby2008 より:

    17. wishborn2400さん

    >具体的な見込みはないと言ってよいでしょう。

    ご存知と思いますが、雇用契約書を作成している企業においても、「終身雇用」を示す条件は含まれていません。それでもなお、(差別やパワハラなどの違法な解雇でない場合でも)解雇を争う裁判で企業に不利な判例が出るのは、企業の正社員が滅多に転職しないという「社会状況」をもとに、社会が終身雇用を期待していると、裁判官が判断するからであろうと考えます。

    解雇の合理性やヘアヌードの違法の判断など、法律で定量的判断ができない裁判対象において、判断基準が裁判官の裁量(や過去の判例)に依存せざるを得ない場合には、社会の状況が判断の前提条件になっている事は明白です。その前提条件が変われば、異なる判決が出る可能性はあります。その代表例がヘアヌードです。これの合法ラインが時代と共に変化してきた事実を見れば、裁判所の解雇規制への対応が変わる事は十分にあると考えます。

  19. bobby2008 より:

    Twitterのコメントを拾ってレスします。

    >労働者に随意“辞職”権を保障すれば、雇用主に対する交渉力も少し高まる。

    先端技術開発の研究員とかのような特殊な労働者でない限り、今でも随時辞職できますよ。上司が辞表を受取らなければ、人事部宛に内容証付き郵便で送れば良い。企業は実力行使で止める事は、事実上できません。しかし、薬剤師のような例外を除き、辞めた後の行き場が極めて少ないので、今のところ、「辞める」という事を交渉力にできるケースは少ないと考えられます。

    >解雇規制は撤廃はブラック経営者に悪用されるだけ。

    私の案は、はじめに転職市場を作りましょう、という事です。労働者の転職が容易になれば、ブラック環企業は社員が流出して企業活動を維持できなくなるので、ブラックを改めざるを得ないでしょう。

  20. wishborn2400 より:

    >>18
    ご存知云々といわれましても、具体的な見込みは
    ないでしょうと言っているわけですから、反論として
    は具体的な見込みがあることを示していただけない
    と困ります。ヘアヌードの裁判ではありません。
     むしろ、過去の判例を考えるのであれば裁判所
    の裁量による事実上の解雇規制の緩和は難しい
    と考えるのが妥当でしょう。過去の判例を変える
    だけの状況が生まれるまでにどれだけの時間が
    かかるのか。それにしたって裁判官の裁量しだい
    というのが実際なのではないですか?で、あれば
    それは希望的観測というべきものです。
     あなたが主張されているのは、自身が言われる
    ように自主的な転職が容易になるための方法で
    はあっても、解雇規制の緩和の方法ではないわ
    けですから当然でしょう。
    転職を容易にすることの社会的利益のみを論ず
    るものであればともかく、解雇規制の緩和への
    波及までをもとめるのは無理というものです。

  21. bobby2008 より:

    20. wishborn2400さん

    >自主的な転職が容易になるための方法で
    >はあっても、解雇規制の緩和の方法ではないわ
    >けですから当然でしょう。

    はい、解雇規制できます、とは述べていません。その可能性もある、と述べています。解雇規制の前提条件が変わったと裁判官が判断できるまでにどれくらいの期間を要するかは、企業の努力と、輸出景気到来のタイミングと、その2つの要素が大きいと思われます。

    中途採用に切り替えたところで、不景気では企業の採用枠は増えませんからね。

  22. wishborn2400 より:

    >>21
     つまり、具体的な見込みはないということで
    よいのでしょうか。そのあたりを飛ばして話を
    進めることはできません。
     好況時の解雇で企業に有利な判例が出る
    可能性があると考えるのであれば、不況時には
    不利な判例が出る可能性があると考えないのは
    むしろ不自然でしょう。
     好況時には判例とは違う判決を求め、不況時に
    は好況時の判例を求めるというのは、理屈に
    あいません。
     確かに、そうした可能性がゼロだとは言えない
    かもしれませんが、やはりことさらに触れる必要
    のないことでしょう。
     円満な形での転職が増えるのはよいことですが、それを解雇規制の緩和にまで及ぶものと
    考えるのは無理があり、かつ、そうした希望的
    観測に基づく考え方は危ういものです。

  23. bobby2008 より:

    22. wishborn2400さん

    >好況時の解雇で企業に有利な判例が出る
    >可能性があると考えるのであれば、不況時には
    >不利な判例が出る可能性があると考えないのは
    >むしろ不自然でしょう。

    なぜ「好況時に」と述べたかと言えば、企業がリスクを冒して労働者の解雇を行うとすれば、リスクをより小さくしようとすると推測したからです。企業側に有利な判例の無い状況で、解雇裁判にチャレンジするのであれば、それは不況時ではなく好況時でしょう。

    一旦、転職社会に移行し、好況時の解雇裁判で企業側に有利な判例をいくつか出せば、その後で不況になっても、転職社会という前提条件がかわらない限り、解雇裁判で大きな方針変更はないと考えます。

    結果として解雇規制の緩和にまで及ぶというのは希望ではありますが、どの程度の根拠があるかは前に述べたとおりです。裁判官の裁量がどう影響するかは、実際には、そこへ達してみないとわからない事ではあります。