NTTの憂鬱

2011年01月17日 11:27

以前、長男と観に行った映画で、ヌーが新たな草原を求め何十万匹単位でサバンナを移動するシーンが印象的であった。途中、どうしても川を渡らねば成らず、何匹かの仲間は、待ち構える鰐の餌食と成るのである。

関西人である私は、ふと考えてしまった。幸い流浪の果てに、草原に辿り着き目出度し、目出度しは良いが、仮に何時まで経っても荒地の連続ならば、ヌーは一体どうするつもりなのだろうかと。

天下のNTTを、ヌーと一緒にして誠に申し訳無いのであるが、NTTの現状は草原無き荒野を彷徨う、ヌーそのものでは無いか。

メタルありきの、従来の電話商売に見切りを付け、代って将来の商売は光として「フレッツ」の拡販に此処10年程注力してきた訳である。

残念ではあるが、10年経っても緑の草原には出くわせ無かった、と言う所では無いか。いや、寧ろ、点在していた草原すら消え去り、赤茶けた荒地に変わってしまったのでは無いか。

此の辺りは、NTTで実際に「フレッツ」の拡販に当る人間が実感として体験している筈である。兎に角、加入促進を担当する、代理店やクロージングの場を提供する家電量販店への、1件当たりのインセンテイブが尋常ではない。此れは、取も直さず市場が無く相当無理して契約を取っている事を、意味している筈だ。

それでは、一体何が「フレッツ」を陳腐化した、ニッチな商品にしてしまったのであろう。

何時でも、何処でも使える、無線通信の台頭と今回のCESでも明らかと成った、多彩なDeviceの出現である。

NTT経営幹部が、理解出来て居ないのは、此れからは先ず「アプリ」ありきと言う事実である。別の言葉で言えば、Webへの繋がりは先ず「アプリ」立ち上げありきと言う事なのだ。

NTTのホームページ観れば、彼らの勘違いが良く判る。先ず以て、住所を聞いてくる。次にISPの選択である。こんな事聞く事自体がどうかしてると言う事、NTTは本当に理解して居ないのだろうか?余りにプロダクトアウトの発想である。

端末の、利用シーンを想定してみれば良い。スマホの利点はお手軽さである。唯、当たり前の話であるが、何時も持っていなければ成らない。だから、テーブルの上で、仕事したい時はタブレットPCの出番と成る。若い人は、こんな事考える以前にシームレスに、そして自在に使い熟しているに違いない。

昨年末、GoogleとYahoo,Japanに拠る検索エンジンの提携が話題と成ったが、「Bing」等は直ぐに死語と成る筈である。

スマホメインの若者が利用シーンの中でタブレットPCに流れるであろうが、此れは取も直さず、OSがアンドロイドの無線PCに過ぎない。Windowも2年もすれば駆逐され、若い人に取っては「窓」がどうしたと言う話に成るだろう。仄聞する所、多くのMS幹部が辞めて居るらしい。沈む船に見切りを付けたのであろう。

そして、Googleも又、新たに登場したSocialの旗手、Face Bookに拠り、牙城を一つ、又一つと切り崩されている。

こう言った、ダイナミズムを前に、未だに「県域」と言う意味不明の組織を温存し、ホームページで、住所は?、ISPは?と10年変わらず聞いて来る、NTTとは一体何なんであろう。

少なくとも、経営者がスマホやタブレットPCを使い熟しているとは思えない。Socialに就いても同様である。

独占企業の、成れの果てとはこんな物かも知れない。既存インフラの維持、管理は別軸で考えるとして、NTTは店仕舞いすべきではなかろうか。

山口 巌
ファーイーストコンサルティングファーム 代表取締役

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