先日こんなニューズを目にした。「経団連は会員企業に対し、2013年4月に入社する学生の採用から、会社説明会などの開始時期を大学3年生の12月1日以降にするよう求める」。 以前から議論になっていた就職活動の早期化に対しての是正案が、具体的に実施されることになった。
就職活動の早期化は以前から議論になっていた。もともとバブル以前の就職活動は大学4年生の秋冬と、現在よりも1年程遅い時期に実施していたそう。しかしバブルを過ぎてから時期はどんどん早まっていった。理由は、有能な人材を早く取り込もうとする企業が毎度毎度フライングし続けたり、外資系による何ヵ月も早い就職活動の実施であったり。もちろんこうした企業側の都合もあるが、学生側の「こんなツラいことから早く解放されたい」「周りが決まり出すと自分も決めなくては」といったニーズが合致したことも、時期を早めた原因の一つだろう。結局、今の大学3年生の夏~秋時期がスタンダードになってしまったのだ。
こうした就職活動の早期化の問題とは何か。中心の論点になっているのは、学力低下の懸念である。それは、大学3年生で就職活動することでまだ1年以上も勉学が残っているのに、それが疎かになってしまうということ。就職活動早期化に否定派でよくコメントしている外交官の丹羽宇一郎氏は「日本の最大の資産では教育と技術であり、知の力が落ちる日本の将来は暗い」とコメントしていた。彼の影響力があってか、先日大手商社が揃って就職採用を大学4年生の夏から開始すると発表していた。
しかし個人的な意見を言わせてもらうと、私は就職活動早期化に賛成派だ。なぜなら、就職活動は人間として一皮むける絶好の機会であると思っているからだ。世間の社会の大人に幅広く出会える良いチャンスでもあり、様々なプレッシャーを受ける就職活動での発見点は意外と多い。ダラダラと4年間勉強だけしていても、身に付かないことはある。さらに4年生がゆっくりできるとなれば、最も重要な(と思っている)論文にもじっくり着手できる。もちろん最後の年ということで旅に出たり、やり残さぬように日々を過ごしてもいいだろう。就職活動をして時間の大切さなどに気付けば、その後の1年間も充実するに違いない。大学2年生か ら募集するとか極端に早く就職活動を実施するのは問題あるが、大学4年生の初めに決めようとする現在の就職活動の時期は丁度良いと思う。
(小林秀行 神戸大学経営学部 忽那ゼミ卒業生)