中国ビジネス『春節前(旧正月)前の経営者の悩み』

小谷 まなぶ

 2008年頃から急激に、華東地区(上海近郊都市)の人件費が高騰している。特に、製造業のワーカーの人件費の急騰が顕著に現われており、上海近郊での製造を行っていた企業も、人件費の高騰と材料費の高騰のダブルショックで、商品代金が、高騰し、価格面の競争力が弱まっている。 日本への輸出商品は、円高に推移しているので、日本向けの荷物は、為替レートを考えれば、利益が出そうであるが、円高以上に、人件費と原材料の高騰で、30%以上急騰したことで、まったく円高のメリットが出ていないというのが、上海近郊での製造業の現状である。


 私の友人で、上海で製造業を行っている人は、多数いるが、彼らの話を聞いても、上海近郊で、これ以上、やり続けるのは難しい、まずは、工場で働きたいという若者が集まりにくくなっている。工員の給料が高騰しており、経営者として工場の維持が厳しくなっている。 また、内地でも給料があがっており、わざわざ、上海まで出稼ぎに来る意味もなくなっているので、出稼ぎ労働者の確保が難しくなっているのである。
 やはり、豊かになれば、3Kといわれるブルーカラーの仕事は、中国の若者の間でも敬遠されているのが現状である。
 
 もうすぐ、中国の正月、『春節』がやってくる。多くの工員が、ふるさとに帰郷するのだが、彼らが、ふるさとに帰ってから戻ってくるか疑問であるという声をよく聞く。工場経営者にとって、この時期が、一番怖い時期であるのはいうまでもない。
 聞いた話であるが、春節(旧正月)の長期休暇を終えた後に、工員が誰も帰ってこず、廃業した工場あるというのである。
 貿易会社としても、注文している商品が、春節前までできるのか、また、春節後、予定通り、工場が、生産を開始するのかなど、不安な点は多い。

 中国人にとっての大移動の時期である春節は、中国でビジネスを行っているものにとっては、緊張感がある。

■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(ブログ)