いよいよ消費税が切り上がる

2011年01月20日 00:56

菅政権が内閣改造を発表した。目玉人事は与謝野馨経済財政担当相である。与謝野氏は自民党時代から消費税増税論者であり財政規律を非常に重視する人物であった。また、元大蔵省主計局主計官である藤井裕久官房副長官も重要な人事である。ふたりとも財務大臣を歴任しており、財務省と太いパイプを持つ。それがいいことか悪いことかは別にして、現在の菅内閣は財務省の支配下にあることは間違いなさそうである。この72歳と78歳の元財務大臣コンビと財務省、そして彼らの手の平の上で必死に首相の役割を演じている菅直人が今後の日本の方向性を決定づけると、筆者は考えている。


この新内閣の目的はただひとつである。消費税増税だ。それは財務省の長年の願いである。先月に発表された平成23年度税制改正大綱からは、政府の増税に対する並々ならず気迫が感じられた。増税の本丸はもちろん国際的にも非常に低率が維持されている消費税だ。これを少しでもやりやすくするために高額所得者狙い撃ち増税を先に実施し、来るべき消費税増税に備えて国民感情に阿ていたのである。

筆者は増税するなら消費税しかありえないと常々主張してきた。その点で、消費税率を引き上げることは否定しない。しかしそもそも現在のように景気が悪い時に増税をするのは経済政策の原則には反している。景気が悪いときは減税をして、景気刺激をするのがセオリーだ。また今後は個人が受け取る年金などは減っていくだろう。しかしこれも非常におかしな話だ。なぜなら税金とは、政府から提供されるサービスに対してその対価を払うということだからである。ここでなるべく政府からのサービスを少なくして、そのかわり税金を安くしようという小さな政府と、逆に社会福祉などを手厚くし、そのかわり税金を高くしようという大きな政府が考えられる。本来はそういうトレードオフのはずだ。しかし我々日本国民が直面しているのは、増税で税金をどんどん増やしながら、社会保障などの国からのサービスを削減していくという大きな政府の税金を払い、小さな政府のサービスを受けるという現実である。これはアベコベではないか。

なぜこのようなことになってしまったのだろうか? 理由はふたつある。急速に進む少子高齢化と過去のマクロ経済政策の失敗だ。年金で暮らす高齢者の数が増えて、税金を払う労働者の数が減っていけば苦しくなるのはあまりにも当然だろう。日本は世界が経験したことがない急速な少子高齢化に直面している。しかし大きな理由は後者のほうだ。日本の政治家たちはこのような少子高齢化は完全に予測できたにもかかわらず、赤字国債を発行して、気前よく支持団体にばらまき続けた。赤字国債というのは未来の税金の先食いに他ならない。先に食われた税金をこれから現役の労働者が払っていくというだけの話である。こういった過去のツケをこれから毎年毎年支払っていかないといけないのだ。よって今後は増税され、その上で政府から受け取るサービスも減らされていく。

このような増税、低福祉という暗い未来を回避する方法は、個人レベルでは海外移住しかないだろう。政府レベルではふたつの方法がある。まっとうな方は移民政策である。アジアから移民を積極的に受け入れ人口ピラミッドを正常化するのである。もうひとつの方法は、政府が借金を踏み倒すことである。国債をデフォルトさせるか、日銀によるマネタイゼーションでインフレを引き起こすのだ。この場合、過去のマクロ経済政策の失敗は、日本円を保有している国民の財産が消滅するという形で辻褄が合わされることになる。この方法では、一時的に日本の金融システムを破壊するという、大きなリスクを国民が背負い込まなければいけない。

しかし菅内閣は増税により過去の経済政策の失敗を少しずつ解消していくという財務省主導のプランを実行していく強い意志を示した。どうやら我々は高い税金を払い、低福祉に甘んじなければいけないようである。そしてはやくもそんな消費税の抜け穴をめぐって、政治家と業界団体の醜い取引がはじまっている

参考資料
ケインズの乗数理論(Theory of Multiplier)がどうしようもなくしょぼいことのサルでもわかる説明、金融日記
なぜ増税は消費税でなければいけないのか? アゴラ
続・なぜ増税は消費税でなければいけないのか? アゴラ
ぶっちゃけた話、日本はもう移民政策しかないんじゃないだろうか? 金融日記

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