エジプトでは独裁政治に耐えてきた民衆が連日デモを起こし、とうとうムバラク大統領を辞任に追い込み革命を成功させた。暴力に頼ることなく、ひとりひとりの国民が民主化を求めて立ち上がった。その勇気に世界は賞賛している。その点、我が国は依然として政治が停滞し、国民は閉塞感に打ちひしがれている。しかしこういった行き詰まった状況をいっぺんに変えうる大きな力を今の野党は持っているということを、筆者は強調したい。今ならエジプト革命と同様に、全く暴力に頼らず、合法的に無血革命を起こすことが可能なのだ。名誉革命といってもいい。以下にそのことを説明しよう。
現在の国家予算は、90兆円以上の歳出に対して税収が40兆円ほどしかない。足りない分は赤字国債である。こんなでたらめ予算がいつまで組めるのだろう。民主党はこのでたらめ予算を増税によって少しでも是正しようとしているが、肝心の社会保障費のカットの方にはさっぱり手をつけようとしない。イギリスでは公務員の解雇を含む大胆な歳出削減に踏み込んでいるというのに、だ。福祉大国のフランスでさえ歳出削減に乗り出している。ところが我が国の為政者たちは金が回り続ける限り無駄をやめない。なぜなら多くの国民にとっての無駄はそのまま様々な既得権益層の利益そのものだからである。しかしこういった間違った民主党の政策を一気に変える方法がある。それは赤字国債の発行をストップさせることだ。
最近でこそ赤字国債で予算を補うことになれてしまったが、本来このような財政規律を破壊するようなことは法律で禁止されている。国民に必要な公共施設を作るための国債発行(建設国債)は通常の予算の範囲で認められている。借金で作っても、そういった施設は国民が使い続けることができるからだ。つまり衆議院で可決後、ねじれている参議院で否決されてもそのまま予算は有効になる。ところが通常の予算を赤字国債で補うことは財政法で厳しく禁止されている。そういった赤字国債は1年限りの公債特例法を毎年制定させることにより可能にしているのだ。しかしこれはひとつの法律であり予算ではないので、参議院で否決された後は、衆議院に戻ってきて、そこで3分の2以上の賛成がないと成立しない。現在、民主党は3分の2の議席を衆議院で持っていないので、野党が民主党に協力しない限り赤字国債は発行できないことになる。つまり野党はその気になれば、日本という世界第3位の巨大経済の血流を一気に止めることができるのだ。人間の首の動脈を切り裂くみたいに。
赤字国債が発行できなければ、公務員の給料はもちろんのこと、満期を迎える国債の償還もできないことになる。これによって日本の多くの金融機関の息の根が一気に止まる。そして大規模な金融危機が発生する。同時に日本国債と日本国債の信用にリンクされている円が暴落する。社会は一時的に混乱するかもしれないが、大量の資産を持つ高齢者層から、虐げられてきた若者に莫大な所得移転が発生するし、官民格差や年金問題やデフレなどは全て解決することになる。かなり強烈なインフレになるだろうが、日本は莫大な米国債をはじめ世界に大量の債権を持っているので、ジンバブエほどのハイパーインフレが起こることはないだろう。また、円安によって日本の輸出産業は驚異的な競争力を持つことになる。確かに一時的に社会は大混乱するだろうが、それさえ切り抜けることができれば再び日本を成長軌道に乗せることも可能かもしれない。そしてその「一時的な」大混乱の責任は現在の与党に押し付けられることになろう。
野党にとってメリットはそれだけではない。いわば自らこのような歴史的なイベントを作り出せるわけで、政党としても個人としても莫大な資産を一気に築きあげるまたとないチャンスとなる。赤字国債の発行を止めるまでに、最大限のレバレッジをかけて日本円をショートしたり、日本国債のCDSなどのデリバティブ商品を買うことによって、巨万の富を作り出せる。上場株取引にはインサイダー取引規制あり刑罰の対象になる可能性があるが、通貨や国債のOTCデリバティブではそのような法律はない。ここで政党として、あるいは個人として築き上げた莫大な金融資産は、日本経済を「リセット」した後で、迅速に権力を掌握するのに大いに役立つだろう。
人は遅から早かれ死ぬように、日本の財政も遅から早かれ何らかの修正が必要になる。今がその時かもしれない。それは長い目で見れば、日本を長期衰退から救った「名誉革命」として歴史に名を残す事になるかもしれない。あるいは・・・
参考資料
公債特例法、Wikipedia
国民が政府の大きさを選択できるように、 国債発行をやめてみては、平井進、アゴラ
インフレ待望論は赤木智弘の金融バージョンだ、金融日記
こっそりとビルトインされた秘密の破滅願望 ―参院選の結果を振り返って、金融日記
いろいろ考えたけどやっぱりリフレを支持します、池田信夫、アゴラ
コメント
あるいは・・・
日本の財政破綻をきっかけに中国のバブルが弾け、PIIGSも連鎖的に財政破綻し資本主義社会が終わるかも知れませんね。
もしかして現在日本の野党が世界経済の鍵を握ってる?
「焼け野原」願望は、よくわかりました。でも、現実的な、路線を考える段階に来ていませんか?
話としては面白いけれど、こんな風にはならないでしょうね。 理由は簡単、与党も野党もそこまで勇気がないから。 自民党、社民党や公明党、みんなの党も何の政治哲学も感じられないし、言っていることも滅茶苦茶です。 この期に及んで、発言のくだらないこと、未だに国民受けを狙う情けなさ。 そんな連中に革命を期待するなんて無理でしょう。 今の民主党は確かにひどいが、他の政党も似たり寄ったりですね。
予算関連法案が通らないことは,あながち荒唐無稽とは言えないと思います。ただ,野党が意図して法案が否決されるのではなく,民主党の中で“腹痛”を起こす議員が出て,アクシデント的に否決という可能性の方が高いのでは。いや,私はむしろ意外な野党が直前に賛成に回りやしないかと疑っています。もうそうなると日本の政治は政治屋の談合ですが。
ところで,落ちてくる日本国債を安く買い叩いて,将来,膨大な資産を形成するのは,やはりアメリカの資産家なのでしょうか。
内容はわかりますが、やるべきではありません。
日本の財政に絡んで、焼け野原になったら立ち直れるという論調には無理があると思います。(高齢者から若者に所得移転が起こるというのも、理由がわかりません。)
「輸出産業が競争力を持つ様になる」ことは事実ですが、日本の法人の殆どが中小企業です。金融危機が起こるということ銀行のB/Sが傷つき、銀行はリスク債権である信用力の低い中小企業貸出を減らします。結果、弱者切り捨ての論理が働き、国内中小企業がバタバタ倒産するということ。一部の大企業だけが生き残ることになります。この展開は既に「貸しはがし」として問題になったことがありますので、失敗を繰り返すだけになります。
円が安くなったとしても、国内に失業者が増え、需要が急速に縮んでいけば国内生産する意味なんてありません。日本企業もどんどん海外に出ていってしまいます。
面白い考え方ですけど、基本的にデリバティブは誰かが儲かったら誰かが損するわけで、支払う相手が破綻したらCDSなんていう掛け捨て保険は崩壊して支払いは不可能になるはずです。もちろんサブプライムローン問題が起きた時に米国政府がAIGを救ったようなことをやってくれれば別ですが、溶け合い相手が日本政府だったら一度経営破綻させて、綺麗になったら再生するという具合になると思います。
円安になって元気になるのは労働集約型産業の一部だけでしょう。資本集約型産業における日本の製品に占める人件費の割合なんてほとんどありません。昨夜のWBSで見ましたが、日立の大型冷蔵庫なんて組み立てにかかる人件費は社会保障負担含めてせいぜい500円程度でしょう。円安になって喜ぶのは縫製工場とか、あるいは中小企業の金属加工業や造船業などが中心で、資本集約型企業にとってはエネルギー価格上昇や部品価格の上昇や金利上昇で利益は相殺されると思います。プラザ合意などでアメリカがドル安にしても貿易赤字が止まらなかったのを見たら、通貨安で貿易黒字が増えるとは正直思えません。
円を全部suicaにして全体をマイナス5%の金利にしたらいいんじゃないでしょうか?
たまに1億円の宝くじを紛れさせて…
消費は伸びると思いますが…
面白い。
野党議員はそんな絵を描いているかも知れない。
最終的には民主党のほうからも造反議員が出たり‥すでに出ようとしているか!
私、個人的にもソロソロ逃げ切る準備をしてたほうがよさそうだ。
日本は債権国なんだから、苦しくなって米国債などを売りまくったら円高になると思うのですが。
目からウロコが落ちました。国債の利息支払(償還)停止とは、つまり債務不履行=デフォルトが規程路線になっていることではありませんか!!!しかもそれがまもなく来るのです。
今、政治家は権力ゲームをうつつを抜かしています。今日の民主党の16人も野党各党も本当に何が問題かわかっているのでしょうか?「政治とカネ」の問題など小さい小さい。今ほど挙国一致しなければならない時期はありません。
このタイミングで正しい動きをしているのは小沢氏だけ。小沢氏は終始「国民の生活が第一」という主張を繰り返してきました。彼は予算成立まで動いてはいけないことを正しく理解しています。自分が動いたり発言することで、取り巻きが暴走することも理解しています。これまで「国民の生活が第一」の真意が分からずにいましたが、今ハッキリわかりました。間違いなく小沢氏は、この公債特例法案否決に危険性を正しく理解しています。
この時限爆弾が破裂したら、多くの国民がまともな生活すらできない状況に陥ることでしょう。終戦直後みたいに・・・・・。
誰も餓死させない。借金で自殺しなくてもいい。
どんな不利なところに生まれても教育は受けられる。
魔女裁判はやらない、誰も密告で拷問虐殺されない。
それを絶対条件としない革命は、ただの悪夢です。
へっ
かなりフルーティーですな。
それともファンタジーの話題なんだろか。
ミジンコ党にそんな勇気があったら政権交代なんて誰も望まなかったよ。
漠然とした不安や、財政破綻、企業の倒産、それらはみんな悪いことなんだ、あってはならない、なんとしても避けなくてはという思い込みや、即北朝鮮になるかのような短絡的な思考から脱却して、冷静に内容を理解しなおしませんか?
数百万程度の預貯金で、労働力を売ってお金にしている方、借金のある方などは藤沢氏のいう革命でどうなるのか。
反対に、億を超える金融資産を持ち、お金で労働力を買っている人、お金を貸している人、公務員、生活保護者は革命でどうなるのか。
革命が起きた翌日から、1日1日、自分の生活がどうかわっていくのか、食料は確保できるだろうか、電気・ガス・水道は、世の中の規制は、既得権益はいったいどうなっていくんだろうか。
いろいろ考えた後で、自分なりの考えや意見なりをもったらいいのではないでしょうか。
tppという名の外圧を利用して利権構造を壊すより
こっちの無血革命の方がモラル的ですね。
しかし悲しいかな,自民にそこまでの覚悟なんてないでしょう。
エジプトやチュニジアの革命のように、意外と民衆が力を発揮できる場面も、大いにあるかも・・・
藤沢先生のいうとおりの前提が成立するとしたら、それを望む国民のもっとも合理的な行動は、「消費税反対」を押し通せばよい。
この一点だけは、呉越同舟で共産だろうが社会党だがALL OK 、All Japanで行きませんか・・
変に国民生活を恐喝し、それで税金を巻き上げる議員センセイの手口はみんなばればれ、もううんざりしている。決めるのが国会のはずだが、ショーとして政局をし、詭弁で既得権益を守る、この数十年国会は、その繰り返しでした。お金あるうちはショーや演出楽しむのもいいけど、もう見飽きた・・
お金もなくなったことだし・・・
虫歯の治療と同じで、普通の国民なら、すぎてしまえばほとんどスッリキりという希望もわいてくる・・・
何より、「驚異的な競争力」なんだかわくわくしてきませんか・・・モノツクリ・キンベンという言葉が現在形になり、大人がやる気をだせば、子供だってついてくる。
「消費税」、徹底的に反対しましょう。そして既存システムを一度破壊し、またゼロからの復興再生の日々をみんなで味わいませんか。
一度破綻させて超円安にしたら日本復活とのことですが
そもそも破綻させる(=企業倒産)させたら
競争力も技術もなくなってしまうのでは。
日銀引受+財政出動+円安誘導で円安を実現すれば
なにも破綻する必要はないでしょう。
そもそも破綻したらこんなところで危機煽っても
だれも本を変えないですよ。
とにかく政府支出は悪。と観念で決め付けすぎですね。
今が高インフレなら緊縮財政は正しいですけど。
今は深刻なデフレで円高ですから。
現状認識が決定的に間違っていると思います。