赤字国債を否決せよ

2011年02月19日 14:16

首相の退陣と引き替えに予算を通してくれという民主党の取引は、失敗に終わったようです。自民党の石原幹事長は解散・総選挙を求め、首相は解散をほのめかしています。しかし今、総選挙をやったら民主党が惨敗し、自民党が勝っても参議院は民主党が第一党なので、逆にねじれたままで事態は変わらない。おそらく現実的にありうるのは、赤字国債(公債特例法案)が否決され、暫定予算を組んで税収だけで食いつなぐという結果でしょう。


これはそれほど悪くない。藤沢数希さんはネタのつもりでしょうが、暫定予算は過去に例があり、アメリカでもクリントン政権で予算の執行が止まりました。本来の財政法の原則では、公共設備が担保になる建設国債以外の経常経費をファイナンスする特例国債は、国会の承認なしでは発行できない異常な手段なのです。

大蔵省は赤字国債をきらい、80年代までは文字通りの特例以外は許さず、発行規模も小さかったのですが、90年代のバブル崩壊後、「不況期には財政赤字で総需要を拡大すべきだ」というケインジアンが自民党や霞ヶ関に増え、莫大な赤字国債が発行されて今日に至りました。これは先進国で財政支出の効果が疑問とされ、ケインズ政策が実施されなくなった時期の1周遅れの政策転換でした。

自民党の石破政調会長もいうように、国債の発行は予算の執行とは無関係で、建設国債や短期国債は発行できます。特別会計の「埋蔵金」や、政府が特殊法人などに出資・融資している金融資産を回収すれば、向こう1年ぐらいは何とかなるでしょう。大阪府の橋下知事も、かつて地方債の発行を禁止して財政を再建した経験があり、赤字国債を禁止しても実務には影響しないと言っています。

もちろん暫定予算が好ましくないことは確かですが、財政再建を先送りさせないで迅速に進めるためには、政治家を異常な環境に置いて緊張感を与えないとだめです。自民党は堂々と赤字国債を否決し、与野党ともに背水の陣で財政再建に取り組むべきです。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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