どのような公的年金が良いか?

2011年03月10日 09:48

当たり前のようだが、これが考えられていない。

要は、これまでの制度との整合性を図ろうとする政府と、目先の選挙に縛られる政治家により、現状維持プラスアルファ、正確に言うと、現状維持マイナスイプシロンで、なんとかごまかしきって逃げ切り、あわよくば、将来も破綻しないといいなあと淡い期待をしている、というのが現状だろう。

これに対して、既に受給者となっている人々は減らされたら困る、かなり先に受給者となると位置づけられている人々は、どうせもらえないからどうでもいい、というスタンスだ。

したがって、これだけ重要なのに、シンプルな建設的提案が意外と出にくい構造となっている。

では、我々は、自然で素直な案を考えようよ、というのがこの記事の趣旨だ。


さて、それならどのような公的年金制度が良いか。

上述したことと矛盾するようだが、あまり自由に考えすぎてもいけない。いけないというより決まらない。公的年金なんか要らない、というのも一つの考えかただし、給付水準を議論しだすときりがない。一方で、実現不可能なものを考えても仕方ない。政治的制約条件、つまり、政治家の能力、胆力、有権者の嗜好に不満のある論者も多いが、そこを愚痴っても始まらない。ここでは、現状を制約条件として、実現可能な年金制度を考えたい。

まず公的年金がなぜ必要かを考えよう。私的年金で自由に個々人がやればいい、という考え方を採らない理由は、現実的には2つだろう。最大の理由は、自分では十分に積み立てないからである。公的年金がなくなると、結果的に65になって、生活が出来なくなる人が出てくる。これは仕方がないのだが、かなり大量に出てきて、さらに生活保護を多数の人々が申請したときに、政府がどこまで対処できるかという問題だ。

政治的には、この人々を完全に見捨てることは出来ない。だから、公的年金をある程度整備して、生活保護による財政コストを減らそうという意図がある。また生活保護となるよりも、公的年金の支えを受けて生きていくほうが、当人にとっても望ましく、社会的にもいい、という判断もある。

もう一つの理由は、個人で運用するよりも、まとまった運用したほうが有利だ、という点だ。投資には規模のメリットがある。

この議論をすると、多くの反論があるだろう。機関投資家にも個人投資家とは別の非効率性があり、ましてや政府系機関が絡むとなると、非効率性は単純な官僚的運用も含めて、起こり得るのではないかという議論になる。

これらのことを考えると、完全個人勘定に基づく、強制貯蓄的な年金制度というのが候補として上がってくる。

つまり、いわゆる基礎部分、今の一階部分を消費税で給付することにし、二階部分は、自己積み立て、完全積み立て方式、自己勘定で、年金も消えず、いくら積まれているかわかるようにする。

そうなると、公的にやる意味は?ということになるが、前述の強制貯蓄による生活保護多発防止、自己家計運営の促進ということになるが、もう一つは年金による保険機能であり、それは長生きリスクの阻止である。

今、長生きしすぎてお金がなくなったらどうしよう、というのが一番の恐怖だ。これを世代全体でプールすることによりなくす。つまり、年金受給開始時に長生きしても死ぬまで、定額の年金がもらえるという仕組みにする。

401Kではいけないのか?という議論に対しては、個人に401Kを任せると、平均的には運用の失敗が政府系でまとまって運用するよりも大きくなると予想されることが公的年金の根拠となる。個人の401K運用は、流行に左右されやすく、バブルにもっとも乗りやすい、あるいは為替でも流行に左右される運用となる可能性が高い。

しかし、運用に自身のある個人は、自分でやりたいと思うかもしれない。その場合は、オプトアウト、つまり、積極的な離脱を認める。その場合、年金だけでなく、生活保護の権利も失うということだ。

一方、雇用主負担はなくす。つまり、バイトも正社員も、ありとあらゆる人が、給与をもらっていれば、天引きされることになる。こうなると、制度的一元化は自然に達成される。自営業者などは、自主参加となるが、ある程度の参加インセンティブをつける(税制優遇など)。これで経済成長にも多少資することになる。

最後に、移行費用はどうするのか、という心配があるだろう。つまり、現在給付を受けている人は、切り捨てるわけにも、新制度にも移行しにくいから、ほぼ現行制度と同じ給付がもらえるようにする。このとき移行費用が発生する。いわゆる二重の負担であるが、これは、賃金税のような形での法人負担、しかし、今の雇用主負担分よりは軽くする(最大半分程度)。そして足りない部分は、特別国債を発行する。この国債は、消費税で長期にわたって返済していく。

このようなプランになるだろう。

詳細はまたの機会に議論したい。

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