遅きに失した統合本部に要求される機能 - 石水智尚

2011年03月15日 19:10

今日になって、政府はようやく、福島第一原発事故に対応する統合本部を設置すると新聞で知るに及び、ついに我慢ができなくなり、この原稿を書く事にしました。地震発生から実に4日も経過した今になって、政府による統合本部の設置は遅すぎて話になりません。しかも、深刻な放射能汚染に対応してゆく可能性が高い現時点において、本部長と副本部長が済産業相と東電社長というのはどういう事でしょうか。


東電は原子力発電所を運営する専門集団ではあっても、そもそも大規模な事故に単独で対応する能力や資源を持っていたのか疑問です。原子炉の開発・建設は開発会社と建設会社が行い、個々の事故対応は、それぞれの設備を納入した下請け企業が行っていたと思われますから、今回のような広範囲の設備や機能の喪失に対しては、政府は地震の直後に統合本部を設置するべきでした。これは未来の日本政府への教訓としてほしいと考えます。

次に、このタイミングで設置された統合本部に要求される機能についてですが、事故対策チームとダメージ制御チームの2つを同時並行で稼動させるべきです。

1.事故対策チーム

原発内で生じているすべての問題を改善して沈静化させる作業を主に受け持ちます。政府は東電、原発設備に関連する主要企業(開発、建設、設備納入)の技術者と管理者、自衛隊、米軍、その他にもチーム責任者が必要と認める資源(人・物・金)を、政府の力で集めてきて対応させるべきです。

2.ダメージ制御チーム

事態が悪化する事を前提に、避難・輸送・治療などを受け持ちます。計画の作成では、最悪の結果を頂点として悪化状況を段階化し、各段階における計画を作成して準備を行います。政府は放射能汚染に詳しい専門家、被爆治療に詳しい専門家、周辺自治体関係者、避難や輸送を受け持つ自衛隊・米軍・消防、周辺や首都圏の病院関係者、その他にもチーム責任者が必要と認める資源(人・物・金)を、政府の力で集めてきて対応させるべきです。

ダメージ制御チームは事故対策が失敗した時の保険ですから、非常に重要です。事故対策に失敗した場合には、高濃度の放射能汚染が周辺避難民を襲う可能性があり、避難が間に合わない場合には多数の被爆患者を短時間で首都圏の大病院へ搬送し、被爆治療を開始できるように準備しなければなりません。

またダメージ制御計画を発動させる事態においては、統合本部の最高責任者は管首相であるべきです。そのような重大な責任と決断を、大臣と私企業の社長へ負わせるべきではありません。政府と管首相の早急な対応を切望します。

(石水智尚 インターネット・ソリューションズ・リミテッド役員)

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