原発は金銭的にも成り立たない - 岡島 純

2011年03月28日 22:39

わたしは、原発はそもそも反対でしたが、以下は、そういった個人的意見を無視します。また、わたしはIT系零細自営業者であり、原子力のプロではありません。また、そもそも人命や環境は金銭に換算できるか、という話がありますが、以下は、単に、きわめて金銭的な面のみを議論し、倫理的な面は無視します。


池田氏などは、金銭論()確率論でのみ原発を語れば、依然として原発は正当化される、と考えているようです。くりかえしますが、そういった次元で原発を語ってよいかどうかを無視します。そのうえで、池田氏の問題提起のように、もし、金銭論、確率論のみで原発を語っても、わたしは、原発は成り立たないと考えています。

たとえば、ひとつの根拠は、今回の事故の補償金です。本当に、東電が払えるのでしょうか。電気を値上げして払う、というのは論外です。あくまで、いままでの原発の利益(または今後の原発の利益)のなかから払ってこそ、倫理面を無視すれば金銭的には原発は成立している、という池田氏の論理が成り立つのですが、しかし、今までの原発の利益の取り崩しで、はたして今回の事故の補償金がすべて払えるのでしょうか。

また、電力自由化が進んでいるアメリカで、民間の側から原発推進の声が出てこないのも傍証でしょう。いま、アメリカではオバマ政権による原発推進の話がありますが、これは、アメリカ政府の方針であり、民間電力会社の方針ではありません。本当に、原発は金銭的に成立するのでしょうか。

もちろん、これについては、民間の過剰反応が原因だ、という人もいるでしょう。池田氏によれば、大衆が思う以上に原発は安全なようです。しかし、原発についてはプロではない私と、同様にプロではない池田氏が、原発の安全性について議論しても始まりません。

具体的提案ですが、以下のような「原発保険市場」をつくったらどうでしょうか。

  1. 国内に原発を作る際は、予想しうる最大被害額の3倍の保険を事前に掛ける。なお、これは猶予期間の後、既存原発にも義務付ける。また、高速増殖炉もんじゅ、六ヶ所村再処理施設も同様に義務付ける。

  2. 保険は、日本国民および永住者が個人として任意で引き受ける。引き受け額の最高値は3000万円とし、広く薄く国民で負担する。
  3. 各銀行は、「原発保険口座」をつくる。
  4. 保険引き受け希望者は、引き受け額相当の預金を原発保険口座に入れる。これが、保険引き受けになる。なお、原発保険口座は、原発ごと銀行ごとに分かれている。みずほ銀行福島第一原発保険口座、三菱銀行もんじゅ口座、など。また、取り扱いルールは、基本的には通常の定期預金と同じ。
  5. 原発保険口座は、通常時でも、引き出しに3営業日要し、この間に原発事故があると引き出し凍結。ここが、通常の定期預金と決定的に違うところ。
  6. 凍結された口座の預金は、事故の状況、被害額などに応じて、一部または全部が没収される。
  7. 原発保険口座には、通常の定期預金の利子+保険料が付く。つまり、事故さえなければ、通常より有利な運用ができる。保険料を払うのは電力会社。
  8. 保険料は変動相場制で、原発により異なる。

原発の大きな問題点は、被害を受けるのは我々なのに、国家の上層部で勝手に方針が決まることでした。私の提案ですと、原発が作れるかどうかは、国民が薄く広く保険を引き受けるかどうかで決定され、決して、国家の上層部の独断では決められません。

また、保険料は変動相場制で、この相場を見るだけで、どの原発がどれぐらい危険かわかります。高い保険料を付けないと保険の引き受け手が存在しない原発=危ない、ということです。もし、事故など起こすと、保険料が高騰し、保険料支払いが不可能になり、自動的に廃炉になります。

これが原発の安全性に対する実質的な公開審査になります。たとえどれだけ専門家を集めたところで、通産省の密室での安全性審査、しかも誰も責任をとらない無責任体制より、たとえ単なる素人が「審査」(=引き受けるかどうかの判断)するにせよ、公開の市場での審査、しかも自分の大金をかけた責任ある審査のほうが信頼ができるかもしれません。

このような、変動相場制の保険料の元、それでも経営が成立する原発のみが、池田氏の主張のような、金銭的には成立する原発だと思います。

なお、同じような保険制度による公開審査は、新薬審査など、原発以外にもいろいろと応用例があるでしょう。

(岡島 純 自営業)

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