都水道水の乳児摂取制限への疑問 ‐ 榎本 洋

2011年04月03日 05:40

東京都の水道水放射性汚染が発表され、大きな事件として認識された。ペットボトル等の買い貯めが問題視され、「果たして水道水は安全なのか」は今でも多くの人が感じている不安である。この一連の流れの中で、疑問に思った事を書く。主に広報体制の在り方についてだ。


実は、都と市では反対の事を言っていた!?
今回の発端は、3月23日都水道局配信による『水道水の放射能測定結果について~第17報~』である。「乳児による水道水の摂取を控えていただく地域」として、「23区、武蔵野市、三鷹市、町田市、多摩市、稲城市」を挙げている発表資料だ。
しかし奇妙なことに、該当エリアのひとつ町田市は3月24日時点で市のホームページで『町田市の水道水は乳児が飲んでもさしつかえありません』と見出しを打ち、安全宣言をしているのである。その根拠として、町田市の水道水は、放射性物質が検出されていない朝霞浄水場からの水9割と金町浄水場からの水1割のブレンドで給水されており、放射性物質の濃度も10分の1になっていると考えられる、としている。一体、東京都が正しいのか、町田市が正しいのか。
多摩市のホームページから引用する。『3月23日(水曜)に東京都水道局より、金町浄水場系で210ベクレル/キログラムの放射性ヨウ素が水道水から検出され、多摩市でも乳児による水道水の摂取を控えるように発表がありました。
東京都水道局に確認したところ、多摩市の水道水は、朝霞浄水場系と金町浄水場系を混合して給水されており、その大半は放射性物質が検出されていない朝霞浄水場系の水道水となっているとのことです。そのため、多摩市の水道水では、金町浄水場系の水は薄まっており、放射性物質の濃度は、乳児による水道水の摂取を控えていただく指標値100ベクレル/キログラム以下となり、乳児が摂取しても差し支えない、とのことです。』
朝日新聞3/24付け夕刊一面から。『都によると、金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水し、主に都の東部の区に給水。三鷹、町田、多摩、稲城の4市では、金町浄水場からの割合は1割程度だ。武蔵野市は7割が地下水で、金町浄水場からの割合は4市より少ないという。』

結論として、都水道局の3/23「第17報」は補足情報等含めた発表のされ方としての精度に、やや疑問がのこる。さらに筆者が最も疑問に思う事は、上記・都が一見、追認しているとも言える事実関係が補足情報等として正式に発せられていないと思われる事だ。(少なくとも第18報~第29報においては記載されていない)補足情報や訂正情報は、情報発信元から正式にすみやかにおこなわれるべきものである。広報体制として、この点だけはどうしても疑問が残る。

何故、誰も上水道システムについて論じないのだろう!?
浄水場で乳児飲用に関する暫定的な指標値以上が検出された。そして、乳児の水道水の摂取を控える発表がでる。これは、いわば話の両端、だと思う。何故、その間の浄水場から乳児の飲用までの経路/上水道システムが議論されないのだろうか。(単に通常よく言われる食の安全・トレーサビリティ系の話だ。)

例えば、町田市のホームページでは『東京都水道局は、昨日23日(水曜日)の午後11時に葛飾区にある金町浄水場から町田市へ送られてくる配水管の送水を止めました。』と記載されている。とすれば、他のエリアへの金町浄水場からの配水は止めたのか。止めていないエリアはどこなのか。そもそも23区内への金町浄水場からの配水比率はどうなっていたのか。さらに言えば、水量や計画停電等々で、各浄水場の配合比率が日々変化するものだと仮定するならば、それは最終的に追跡・管理できるものなのか。最終的に追跡不可能ならば不測の事態に備えた、各末端エリアのモニタリングは整備されているのか。

そんなことを考えていると、3 月29 日に都水道局から「第17報における対象地域の訂正について ~第30報~」が発信された。内容としては、第17報の発表エリア以外に八王子市の一部地域に金町浄水場から配水されていたという訂正情報だ。

そしてこの30 報で、はじめて『当該地域の水道水は、3月23日当日は、放射性ヨウ素が不検出であった荒川系(朝霞浄水場)が9割、江戸川系(金町・三郷浄水場)が1割の割合で混合されています。』と追加記載があった。しかしながら、ここでも「当該地域において、水道水を乳児が飲用しても差し支えはありませんでした」と言う記載は、やはりないのである。

(質問をしていた町田市給水課からの回答を最後に付記する。『ご指摘のとおり、東京都水道局が報道した内容と実際に町田市に送水されている状況とは異なっており当初より東京都に対して情報の訂正を行うよう求めております。』)

榎本 洋

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