仮設住宅の問題点 - 米崎 義明

2011年04月19日 14:00

仮設住宅の建設が遅れている。国交省は、今回の大震災で必要な仮設住宅は約7万2千戸とみている。しかし、15日時点の着工状況は、完成したのが岩手県陸前高田市の36戸のみで、着工済みが1万395戸、着工の見通しが立った分も385戸にとどまっている。被災地では建設に向けた準備が予想以上に難航している。

岩手、宮城、福島の3県は2万6千戸分の用地を確保したというが、用地を確保しただけでは仮設住宅は建設できない。電気の配線や上下水道を整備するため の計画を立てる必要があるからだ。余震で地盤がひび割れ、地盤の強化工事が必要になるケースもある。しかし、その人手が足りない。建設スピードをあげなければならないのは当然。また、供給住宅の数が少ないと、様々な問題が起きる。阪神淡路大震災の事例を紹介する。


兵庫県は、希望世帯10万、入居世帯5万戸では不十分として、自らの資力では住宅を確保できない高齢者や障害者といった弱者を優先的に入居させる 「10割優先方式」を強く主張した。つまり、県は、抽象的な「弱者救済」のイメージで、神戸市に仮設住宅の入居配分を指示したのである。

そのため仮設住宅には、要援護者の多い、いわゆる「超高齢社会の縮図」が現れた。主に専門職ボランティアが中心となって、訪問活動や医療相談、ホームヘルプ・サービスなど、仮設入居者のニーズ発見や健康管理に積極的に取り組んだ。とりわけ一人暮らしの高齢者は話し相手を求め、近隣との交流を望んでいた。

そこで一般ボランティアが訪問して住民ニーズを見つける「ふれあい訪問」や、ボラン ティア・コーディネーターが被災住民のニーズを把握し調整するなど、仮設住民が安全で安心して暮らせるための環境づくりをめざすようになった。しかし、仮設住宅の規模が大きく、高齢者・障害者率も高いため、包括的な機能を持つ組織にはならなかったという。つまり要援護者の多い仮設住宅では、入居者中心のコ ミュニティづくりには限界があった。

ボランティアの取り組みにも関わらず、仮設住宅では多くの被災者が社会から切り離され、次第に肉体と精神が衰弱するという状態追いこまれていった。また、仮設住宅は、被災地から離れた、商店や病院から離れた場所に設置されたため、生命の維持を困難にし、孤独死、自殺に追い込まれる人が相次いだ。

阪神淡路大震災の教訓を踏まえ今回の仮設住宅において注意すべきことが3点ある。

・高齢者などの災害弱者だけで満たされないように、仮設住宅は十分な数を建設しなければならない
・仮設住宅は病院などと比較的距離の近い、利便性のある場所に建設しなければならない
・ボランティアは被災者との直接的な交流を増やし、ひとりひとりに目を配り、孤独死に陥らないようにしなければならない

今回の震災は、阪神淡路大震災と比べると、被害の規模、原発問題と状況は大きく異なり、想定外の問題が多い。
だからこそ、阪神で起きた問題は繰り返さないようにしなければならない。

それは、阪神淡路大震災を経験した私の切なる願いでもある。

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