東京電力賠償スキーム もしかして政府は単にアホか?

小幡 績

東京電力にかかわる賠償スキームが決定されたと報道されている

まったく理解不能だ。本当にこの案でいいのか。

国民のためになっていないのはもちろん、東電をいじめる案としても金融市場を守る案としても、そして政権を維持する案としてもメリットがない案で、こういうのを頭悪い、あるいは単に アホ というのだろう。


まず、国民負担を最小にするという論点は意味不明だ。仮に東京電力の社員を国民から除いて考えたとしても、どのような形をとるにせよ、すべては国民負担だ。外国人投資家にだけ負担をさせるということがない限り、それはありえない。電力料金も税金も国民負担で、他の電力会社の株価の下落も社債調達が困難になるのも国民負担だ。

国民負担を最小にするというのは言葉遊びか虚偽であり、それに気づいていなければ単なるアホだ。

第二に、東京電力を本気でいじめたいのなら、そしてそのいじめを日本のためにするのであれば、東京電力の株主になるのが早い。機構などという面倒なものを作らずに、あるいは機構を作ることがテクニカルに必要なら作ってもいいが、他の電力会社に負担させるなどという面倒なことをせずに、全額国庫負担でやり、その代わり、普通株を3分の2以上押さえ、すべての意思決定を行えばよい。

東電の役員報酬、給与が不満なら、株主総会で全員入れ替えればいいし、そのときに役員報酬をゼロに決定すればよい。リストラしたければ、そのリストラ案を受け入れる人を取締役に選べばよい。

この案の問題点は、賠償額が決まらないうちには増資をするに当たっての株価が決まらないということにあるが、すでに債務超過にあると判断すれば、増資による株価はいくらでも構わない。1株1円でやればいい。減資しなくても実質的なスクイーズアウトになる。その上で、社債は守ったらいい。社債保有者や融資銀行にもどうしても負担させたければ、リスケ交渉をすれば十分だ。

債務超過になるかどうかは、賠償と廃炉の処理、および他の原発に対する新たな対策およびすべての原発の再点検などを行えば、負担額は3兆円を超えることは確実だから、それを外部の会計事務所にやらせればよい。

金融市場の不安を解消するためには、東電の株主、社債保有者を守るよりも、他の電力株や電力社債に影響が及ばないことを明確にするほうが断然重要である。

金融市場は、将来の予測可能性を重要視するから、事故が起きてしまった東電に関してはある意味諦めが付く。むしろ、筋を通すことが重要で、それが将来の投資につながるから、現在の案は将来が不透明すぎ、また他の電力会社が負担する理由が見えない。

財政負担については、他の電力会社に負担させて料金を値上げするのでは、国民負担そのものであり、意味不明だ。そして料金が上げられるのであれば、電力会社のリストラは進まないので、リストラ監視の仕方も面倒になる。それよりも料金の値上げは認めず、単に電力税を新設あるいは電源開発促進税を改革して増税すればよい。それを原発地域への補助金として使うのをやめ、本来の将来の電源開発のためと賠償に使うことにすれば良い。

本来は賠償も国が至急行って、東電はそれ以外の負担を全部負わせれば十分賠償に匹敵するだけの負担になるのだが、この議論は今回は保留しておこう。

しかし、なぜこんな複雑かつ稚拙な案になっているのか。

この案では、東電への支援は続くから東電を叩け、という人々のニーズも満たさないだろう。株主や社債にも負担が及ばないから、金融当事者の責任を追及したい人は怒るだろう。一方、投資家など金融関係者にとっても、他の電力会社に負担させるのは意味不明で、今後の訴訟リスクなど不透明要因が多すぎて、全く投資対象にならなくなってしまうだろう。

今後の電力供給においても、電力会社の役割がどう変わるのか、全く議論が進まなくなる。なぜなら、既存の電力会社の協力が必要で、負担してもらっている以上、いろいろな要求をすることが難しい。現金で負担させず、今後の原子力発電の様々なマネジメント再処理費用や事後対策費用などを命令し、負担させるほうが事故の防止、事故対応のレベルアップにもかなっているから、本当に原発のリスクを低下させたい人にも、そのほうが望ましいだろう。

いくら書いていってもきりがない。やはり、単にアホであるという解釈をせざるを得ない。

しかし、政府というのは本当にそんなにアホなのだろうか。

コメント

  1. ironakat1130 より:

    アホとかバカと言うために書くなら匿名掲示板とかにしましょうよ。
    大学の授業とかでグチ言う先生とかいたし、面白おかしく聞いてましたけど、それをそのまま書いて発表しても、アホとかバカと見えた時点で、ああもうこれは論理性から外れた文章で読むに値しないなってなりますよ。
    本当はすごく頭のいい人なんだろうとは思いますよ、先生なんで。思ったことそのままぶつけるのではなく、せっかくなんでちゃんとした文章書いてください。

  2. koshidame より:

    アホというよりアカなんでしょう。
    日本を社会主義の国と信じているのでしょう。

  3. rityabou5 より:

    日本の中枢に北朝鮮の金正日と同じ精神構造の人がいるんでしょうね。

    普通の精神構造の人ならこんな賠償スキーム考えるはずがない。

  4. yamaguchiiwao より:

    確かに!政府は何故通常の「破綻処理」では駄目なのか説明しておらず、今回の賠償スキームの必然性が良く判りません。加えて記事が指摘する通り今回の賠償スキームが何の為、誰の為、どちらの方向に向かい、何をしたいのか、さっぱり要領を得ません。小幡 先生の様にものの判った方に委託した方が良いと思いますね。
    山口 巌.

  5. minourat より:

    「東京電力を本気でいじめたい」。 このためには原案のほうがよいとおもいます。 チッソもこのために存続しています。

    「株主総会で全員入れ替えればいい」。 こうなれば現在の経営者はほっとするとおもいます。 わたしは、 現在の経営者だけでなく、 事故を起こした原子力発電所を建設してきた人達の責任もおおきいとおもいます。 福島の現場の幹部も、今、 首にしてもれえれば、 内心よかったとおもうとおもいます。

    > 「そのときに役員報酬をゼロに決定すればよい」。  それでも、 役員を勤めようという有能で奇特な人がいればよいのですが。

    それから、 原子力発電所は極めて複雑なシステムです。 機器の名前を覚えるだけでも、 半年から1年はかかります。 それを、安全に動かすとなると、 簡単に人を総入替えするというわけにはいきません。

  6. cazcater より:

    友人に東電関連会社のトップがいますが、本社の役員になれと言われたらどうしよう、と真顔で心配していました。
    今までの問題は過去のこととしても、これから起きることの責任は新しい人が背負います。
    政府が頭越しに、いい加減に発言している状況では、責任もって取り組むことは難しいと言っていました。
    久々にあったのですが、表情も暗く、元気なさげで、できたらリタイアを望んでいましたが、一方で責任感も強くあり、なんとか立て直したいという気持ちを持っていました。

    彼らたちは、当初から災害の全体像を大まかに掴んでいて、中身を熟知している大手電機メーカーと早期に乗り込む算段をしていたそうですが、不発に終わってしまったとのことです。

    今回は未曾有の天災もさることながら、いまや民主党政権災害の様子がますます色濃くなっていますね。