TPP議論が混迷する理由

2011年11月17日 08:20

先ず最初に、私は日本のTPP参加を支持している。理由は極めて単純である。市場の一元化が加速する現状を考えれば、それをと捉えTPP参加も含め積極的に対応するか、或いは国を閉ざし、北朝鮮の如く鎖国するかの二者択一であり、前者を選択すべしと言うのが私の考えであるからだ。


それでは、本来左程混迷するはずの無いTPP議論が野田首相により正式参加表明がなされたにも拘わらず、今以って煮え切らないのは何処に原因があるのだろうか?

私は日本の意思決定のプロセスに問題があると考えている。本来は、先ず「国益」の観点から総理のリーダーシップの下、政府が参加を決定し、関係省庁にトップダウン通達すれば事足りるはずのもの。事実、日本以外の他参加国はそうしている。

所が日本の場合は官僚の力が強過ぎ、「省益」ありきであれこれ画策するので、結果「国益」が放置され、先ず参加ありきの結論が曖昧になり、参加を前提にしたその後の実務的な議論が全てストップしてしまう。アメリカの一部が今回の日本の参加に懸念を表明したのも、過去にこの理由で煮え湯を飲まされた経験があるからだろう。

今のシステムで、戦後大きな成功を収めたのは事実である。しかしながらそれは東西冷戦時代、日本は安全保障をアメリカに依存し、外交を自ら考える事無く、只管対米追随が許されたからに他ならない。詰まりは、政治は自ら考える必要がなく、政策は官僚に丸投げし、手柄は横取りにも拘わらず偶然に恵まれ大きな成功を収めた。

一方官僚はその代償に事あるごとに、「省益」拡大を図り、余程の事が無い限り許容されて来た。しかしながら時代は変わり、今はTPPの如く国益をかけてアメリカと対峙するケースもあるのだ。この辺りの意識改革が一番遅れているのが官僚ではないだろうか?少なくともTPPに関する限り「省益」が全てで「国益」への配慮は見えない。

今の様な意思決定のプロセスであれば、国会での議論等結局はコップの中の嵐に過ぎず、結果民意が反映される事等期待出来ない。

冒頭述べた如く、私は本来TPP参加に賛成なのだが、最近こういう状況を観るにつけ、少し考えが変わって来た。若しかしたら、唯一の「国益」は参加を断念する事ではないか?野田内閣が、TPPに前のめりになればなる程国民は不幸になるのではないか?そんな疑念が頭から離れない。

それでは意思決定のプロセスを、あるべきかたちに変更するにはどうしたら良いだろうか?一番可能性が高いと思われるのは、政治主導の達成である。これに政治生命を賭した小沢一郎議員は政治資金報告書の記入ミスと言う、取るに足らない罪状で長期の裁判を余儀なくされている。この事実は一体何を暗示しているのだろうか?

結論として言えば、小沢議員に続き、志ある議員がそれこそ命がけで、政治主導の達成に動かねば日本は結局大事な事は何も自分で決めれれない国に成り下がり、只管没落する事になると思う。TPPはその試金石かもしれない。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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