野口悠紀雄氏は、不動産バブルを最初に指摘した経済学者である。株価はバブルと呼ばれたことがあったが、地価をバブルと呼んだのは、彼が1987年に『週刊東洋経済』に寄稿した「バブルで膨らんだ地価」という論文が初めてだった。
不動産バブルの原因は何だったのか。よくいわれるのは銀行の不動産融資の激増だが、それは結果である。本質的な原因は、製造業の国内投資の減少で優良な融資先が減ったことだ。特に長期信用銀行は利付債で長期資金を調達し、優良な製造業に長期融資していたが、1980年代の金融自由化で社債の発行が自由化され、融資先を失った。
円高になったので、大企業はユーロ円債のような外債で調達するようになり、長銀はEIE、興銀は尾上縫のような不動産融資にのめり込んだ。その異常な不動産融資が破綻したのが1990年代前半だが、日本経済はバブルが崩壊した1990年代前半まで成長していた。付加価値ベース(金融を除く)でみると、頭打ちになったのは1995年である。このとき何があったのか。
一つの原因はこのとき1ドル=80円を切る超円高になったことだが、それだけでは説明できない。バブル崩壊も一つの原因だが、それだけで著者が「日本病」と呼ぶ長期低迷は説明できない。2000年代に地価や株価が平常に戻ってからも「失われた30年」は続いているからだ。著者が指摘する原因は世界経済の構造変化、とりわけ中国の工業化である。
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