欧州とは日本に取って一体何なんだ?

2012年01月02日 10:14

正月早々、間の抜けた質問で恐縮である。しかしながら、正月こそこういう基本的な事を考え、再確認するのに相応しいと思い記事にする事にした。

朝日新聞が、ユーロが愈々100円の底を割ってしまった事を報じている。

欧州の共通通貨ユーロの下落は12月30日のニューヨーク外国為替市場でも止まらず、ユーロが現金として使われ始めた2002年以降では最安値となる1ユーロ=99円47銭近辺を一時つけ、99円台後半で取引を終えた。欧州の債務危機への不安を抱えたままの越年となった。


先ず、EUを鳥瞰してみる。

決して揃う事のない加盟各国の足並み。機能不全の欧州中央銀行(ECB)。口は出すけど、金は出さないIMF。その隙間から、共通通貨のEUROが助けも無く、自沈して行く。

このファンダメンタルズは今年もきっと相変わらずで、結果EURO安は当分続くと思う。

しかしながら、朝日新聞の記事にもある、こういうステレオタイプな説明は果たして本当であろうか?少なくともEUROに就いては、違うのではないだろうか。

今年もユーロ、ドル双方に対する円高が日本の輸出企業を苦しめそうだ。

貿易統計資料によれば、対EU輸出は全体の11.3%に過ぎず、韓国単独の8.1%の少し上に過ぎない。

早い話、EURO安が日本の製造業に与えるインパクトは実は大した事がないのである。

それでは、日本が注意すべき欧州リスクとは一体何であろうか?

欧州発、世界同時不況のシナリオは今も健在である。しかしながら、このリスクは日本単独でマネージ可能な話ではない。

日本が注意すべきは、欧州ソブリンリスクへの関与をこれ以上拡大させない事だと思う。

昨年末、「野村證券破綻説」が、ネットを賑わしたが、多分この関係も大きいのではと推測する。火の無い所に煙は立たずとは良く言ったものである。

こういう所で、信じられない愚かな間違いを繰り返すのは日本政府と、財務省と相場は決まっている。

欧州のソブリンリスクとEURO建債券には手を出すべきではないが、迷走の止まらぬ安住財務大臣は、欧州の奉加帳に対し、しっかり値下がり確実なEFSF債を購入している。

繰り返しで誠に恐縮であるが、この行為は日本国民、殊更震災の被害に遭われた東北の被災者に取っては裏切り行為そのものと考えている。

今一つ看過出来ないのは、一昨日国会を通過した第3次補正予算に財源裏付けとしての増税法案成立が義務付けられている点である。財政規律への回帰は日本の喫緊課題である事は理解する。しかしながら、これにより予算の執行が遅れ結果東北の被災民を放置する事になったのではないか?仮にそうであれば、安住大臣と財務省の業は余りに深い。これに対して、余りに大甘なのが国会で議論したとも思えないEFSF債3億ユーロの購入決定である。原資は外貨準備金が使用されるがこれは短期国債で賄われる。要は国、国民の借金であり将来返済が必要となる。そもそも何故今回のEFSF債起債であろうか?欧州のキリギリスが遊びほうけ、借金を膨らませ結果、貸し手たる欧州の銀行が借金棒引きに応じざるを得なくなった。当然、銀行のB/Sは毀損するので資本注入する事になり、原資を奉加帳で集金する事にしたと理解している。東北で被災された方々は殆どが同じ日本人である。そして、地震とそこから派生した津波は自然災害であり、被災者に何の責任も咎もない。この同胞を救うための予算処置に税の裏付けが強く求められ、片や遊びほうけたキリギリスの後始末、尻拭いは安住氏と財務省が勝手に決めてしまい、実行する。強い憤りを感じざるを得ない

さて、それでは欧州とは日本に取って一体何であって、今後如何に付き合うべきなのであろうか?

輸出先としては最早何の期待も出来ず、金融に就いてはロンドンのシティーは別格として余り御付き合いしたくない相手と言う所ではないか。

但し、名所旧跡が多く、今後EURO安が更に進むとなれば、宿泊、食事、移動そして買い物が安上がりとなり、今迄以上に素晴らしい観光地になると確信する。

従って、日本に取っての今後の欧州とは、コスパの良い観光地に過ぎないと言う事である。

各国首脳が偉そうな顔して訪日する必要は全くなく、観光担当の大臣が揉み手でやって来れば事足りるという話である。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役


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