若手社員の明暗を別けるのは情報リテラシーの差?

2012年01月03日 09:15

昨年末、日本型雇用の解体を確信!を記事にした。日本も今後は同一職種、同一賃金に一気に進むであろうから、課長、部長と昇進せねば年棒が上がらない。幾ら、金だけが全てではないと言っても、家も買えねば子供を良い学校に行かせる事が出来ないというのは、辛く、夢の無い話である。

従って、問題は実に単純で、どうすれば際立って早い昇進でなくても、課長そして部長と上に向かう階段を登っていけるかという事に尽きると思う。


勿論、出身大学もある程度は影響するかも知れないが、社会人生活を開始した5年間の情報に向き合う姿勢が大きいのではと考えている。

抽象的な話はこの辺にして、具体的に上記記事で参照の大手検査器メーカーと、A部長が管掌する、同社の代理店営業課の4人の若者に焦点を絞りたい。

先ず、復習となるがA部長の人となりは下記の通りである。

先ず、A氏(45才)である。地方の国立大学工学部を卒業後入社した。配属先はエンジニアとして商品開発部門を希望したが、旧帝大院卒しか採らない会社方針で営業に配属、実直な仕事振りが評価され、昨年部長に昇進した。年収は1,200万円である。A氏の場合、制度を厳格に適用するとすれば、3年程度の移行期間を経て、年収を1,000万円に減額する事必要である。しかしながら、既にかなりの時間を事業部長の業務に使っている事や、2年以内に事業部長、或いは抜擢で本部長昇格が濃厚なので、当面現状維持、そして昇格時年棒増の可能性が濃厚である。

最年長はA君、入社5年目で現在28才、都内の有名私立大学商学部の卒業である。元々は、総合商社を第一希望にしたが、内定が貰えず地味ではあるが堅実なこの会社への就職を決めた。

A君の仕事は代理店を活用しての自社製品の販売である。従って、自らが顧客の所に出向き売り込みをする訳ではなく、代理店管理が主たる業務である。そして、ここに大きな陥穽があった。

商品が売れるかどうかは、先ず当然の事ながら商品の出来不出来に依る。A君の会社では商品の新規開発は商品開発部が担当しており、商品に係る販売用の資料すべてここが作成しリリースする事になっている。

そして、A君がこの5年間やって来た事は、受け取った説明内容を各代理店に転送しただけであった。早い話、本人が自分が売る積りで内容を精読した事は一度もなかった。

今一つの要素は、代理店が売る気になるかどうかである。これは、対代理店経済条件、詰まりは手数料の料率如何であるが、この部分は営業企画部が担当していて同様内容確定後社内リリースされる。

A君はこれも右から左、代理店に繋いだだけであった。要は、売れ難い商品であるにも拘わらず手数料が低くても、特に異議を言う事なく淡々と処理して来た訳である。

こんな仕事振りで成果が上がる筈がない。4月1日付での他部門への移動が既に決定している。A君がこの会社に勤め続ける事が出来るのかも含め、彼の未来は実に暗い。

次はB君、入社4年目で27才、都内の中堅私立大学の経済学部を卒業し、第一志望でこの会社に入社した。B君の仕事振りは、一言で言えばA君の正反対ということであろうか。

兎に角、自分が代理店にリリースする内容は細かくチェックする。納得が行かねば、商品開発部や営業企画部の担当とトコトン議論をする。担当する代理店から信頼されており、業績も右肩上がりである。

それではB君には何も問題はないのであろうか、順風満帆といえるのであろうか。決してそうではないのである。姿勢が、余りに代理店につんのめっており、商品開発部や営業企画部からの批判も多い。このままでは、スペシャリストという耳触りの良い、一担当で終わる可能性も大きい。

次はC君、入社3年目で26才、東大工学部の卒業で、学生時代から営業のシステム化に興味を持っており、担当教授の紹介で入社した。社内では「神」と呼ばれ、仕事に取り組む時の驚異的な集中力や、卓越した実績から尊敬され、畏怖されている。「神」は何分仕事に入ると宣言すると、寝袋を会社に持ち込み、平気で何日も泊まり込んだ。

C君の功績は入社2年目にして、代理店営業課の全取組例をデーターベース化し、成功、失敗各々に就いて背景、理由を客観的に明らかにした事である。商品開発部や営業企画部も閲覧可能なので、どういう商品を開発し、どの様な経済条件を付与すれば最適化出来るのかが一目瞭然となり、従来この会社の問題であった、組織の縦割りの弊害が解消されるに至った。

さて、C君の今後であるが既に幾つかの企業から誘われている。C君としては、最近日本支社を開設した自動車用部品を製造するドイツ企業に転職する積りでいる。業務の内容は営業用のデーターベースの構築を中核とするシステム化で、年収は1,000万円で、その他住宅手当として200万円が支払われる。

C君としては、2~3年転職先で更なる経験と実績を積むと共に、ある程度の貯金をして、起業、独立したいと考えている。

最後はD君、C君と同期で入社3年目で26才、A部長の大学後輩で入社もA部長の紹介によるものである。そして、忘れてはいけないのは、元旦の記事、新入社員に贈る7箇条で紹介の、朝、6時30分に出社してコーヒーを入れている新入社員のモデルはD君である事実である。

そこで、6時30分に出社して「自分が飲みたいから」という名目で、コーヒーを準備しておく訳である。コーヒーを飲んだ後で、偶々時間が空いており、虫の居所が良ければ新入社員を席に呼び、担当業務とか当日の予定を聞く筈である。そして、訪問予定先が以前から気にかけていた企業なら、突然同行するとか言い出すかも知れない。社会人の競争とは、本来上司の時間の取り合いであるから、競争に勝利した事になる。

D君はC君とも仲が良いのでデーターベースの使い方も中々のものであるが、矢張り突出しているのはA部長から早めに情報を入手し、会社の向かう方向を理解した上で、担当する代理店を最適なタイミングで向かうべき方向に誘導している事である。

又、代理店が攻略中の戦略的に重要な客先との交渉状況を小まめにA部長の耳に入れ、ここ一番と言う時には必ず同行営業して貰っている点である。

当然、業績は突出しており、既に部内ではA部長の本部長昇進時に併せてD君の課長昇進の空気となっている。

山口巌  ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役


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