システム業界の詐欺的行為5 - SIer2.0に向けてまとめ

2012年02月11日 07:00

随分批判的なコメントやツィートも頂きましたのでまとめです。

SIer2.0って今頃使うのはいささか恥ずかしいですが、SI業界は変革期にあって、今変わらなければなくなってしまいます。しかし、残念ながら、内部からは改革できないので、SIerに依頼される皆さまにスキルチェックをしてくださいというお願いです。


■プログラミングについて、出来なければ選択できない!

私がこれまで出してきた例というのは、初級システムアドミニストレータ試験の問題や、小学校で習う数式で、技術者を名乗る以上、できて当たり前のものばかりです。

もちろん、単純な処理の繰り返しでも最終的には答えが出ますし、単純な処理の繰り返しの方が効率が良いこともあり「技術を避けるべき」という意見の根拠になっています。その意見が正しいかどうかは、単純な処理の方が良いから選んでいるのか、単純な処理しかできないから単純な処理を行なっているかで決まるでしょう。

普段から「技術を使う処理」と「単純な処理」の両方を検討して選んでいる人なら、これまでの問題では単純な処理は非効率になるため私が望む答えが出てくるはずです。更に、できる人は「単純な処理でするべき」とは言わず「単純な処理も検討すべき」としか言いません。もちろん、私は、常に両方を検討して当然と考えています。

私に対する批判は、初級システムアドミニストレータ試験の問題や、小学校で習う数式が「できなくてもよい」と同義になる。私が考える様に「できて当然」なら「メンテできなくなる」は間違いで、できない人に考慮する必要もないのです。

業界では、私は空気を読まずに「王様は裸じゃないか!」と叫んでしまう馬鹿者ですが、一般常識では、この程度を避けて技術者を名乗って高い報酬を搾取するなら、十分に詐欺師と呼ばれるレベル、と私は考えています。

■ユーザの言葉を言い換える

前回も書きましたが、要件を訊くときに「受注のない売上がある」と言われたとすると、それを「受注と同時に売上が発生する」と判断して、受注入力を飛ばす設計にする。更に、売上データから受注データをコピーしておく。といった設計が必要になります。

コピーしておくという設計は「受注のない売上がある」という発言が出た時点で行なっておかないと、関連するすべての機能で「受注データがないときの考慮」が必要になります。最初の段階でコピーするという仕様にできなければ、他の機能の設計が始まった後では、影響範囲が大きく変更できない事態になりかねません。これまで使った工数と変更工数を考えると、なかなか変更に踏み切れないでしょう。(しかし、それが保守費用を押し上げます。)

コピーしておく」というのはユーザーが言ってない上に、影響を受けるのは中小企業が行う所謂下流の作業になります。つまり、開発の初期段階にユーザーから「受注のない売上がある」と訊いた瞬間に、下流の作業まで予想できなければ「コピーしておく必要がある」とは考えつきません。

技術を軽視したゼネコン構造のシステム業界では、システム開発の初期を担当する人の多くはプログラミング経験がありませんし、実際の作業のほとんどは中小企業が行うため、所謂下流の作業は想像がつかない人がほとんどです。そのため、上流で整理すべき内容が分からずに「言われたまま」作ってしまうのです。下流の作業が想像する能力がない上に、ユーザーの言ったことを言い換える、つまり、ユーザーが言ったことと違うことをするのは「責任を負う必要が出るので避けたい」というサラリーマンとしてリスク回避の心情と合わさって、高い確率でそういう問題が起きます。

売上管理システムぐらいでこのようなミスをする人は少ない(何度も失敗した経験があるでしょうから……)とは思いたいのですが、これが特許システムのようにあまり一般的でないシステムのとき、プログラミング経験がなくこの言い換えができる人はほぼいません。

■SIer2.0に向けて!

システム会社は、単純な処理の繰り返しでシステムが完成するように戦略を作ってきました。人海戦術を採るためマネージメントに力を入れてきましたし、単純な処理の繰り返しに向くような資料を作り、ツールを作ってきました。単純な処理ならこなせる半端者の技術者を促成栽培し、大量動員して終わらせてきました。

ですから、お客様がやりたいことを明確に伝えることができる、あるいは、売り上げ管理や会計システムのように、同様のシステムを何度も経験していて、単純な処理の繰り返しでもパフォマンス上の問題がないシステムであれば、見事な統制を持って終わることができます。

しかし、既にその様なシステムはパッケージや SaaS などでできてしまいます。これから出てくるものは人海戦術では終わらないシステムばかりになるでしょう。そんなシステムを「人海戦術を基本に考えるシステム会社」に依頼すると、特許システムと同じような事態になりかねません。

詐欺的な事業を行ってきたシステム会社の役割は終わりましたし、これ以上のさばっても害悪しかない。そろそろ退場して貰うか破壊的改革が必要でしょう。

大阪市は橋下市長という言わば部外者が入ったことによって変わりつつありますが、選挙で市長が替わっても組合推薦の市長が出てきては、破壊的改革はできません。同様に、システム業界も破壊的改革が必要でも、残念ながら内部からは不可能です。ですから、外部から破壊的改革を行うために、是非、システム会社のスキルチェックを行ってください。システム会社がこうなったのは、サラリーマンの本能に任せてリスク回避(責任回避)を繰り返したためで、もし、お客様からスキルチェックを受けるという、より大きな恐怖を与えれば簡単に変わることができるのです。

本当にどうしようもなく腐っているのは大阪市でも2割ぐらいの職員でしょう。システム会社もどうしようもないのは2割ぐらいはいるでしょうが、顧客から NG を出して貰えれば切ることも可能になります。そうすれば短い期間に破壊的改革を遂げることができるでしょう。

日本のホワイトカラーの生産性は先進諸国で最低らしいですが、システム会社が変わることによって生産性向上に貢献することができます。

それぐらいのポテンシャルはあるのです。

あなたが騙されないためにも、システム会社の担当者に初級システムアドミニストレータの問題を解いて貰ってみてください。※ 解答(類似問題)が欲しい方はメールにて info@g1sys.co.jp 。

■余談です

日本のホワイトカラーの生産性が低いのは、多くのホワイトカラー(サラリーマン)の仕事の目的が、ミッションを遂げることではなくリスク回避(責任回避)になっていることにあります。

システム会社はサラリーマンの本能に任せてリスク回避(責任回避)を繰り返したため、業界全体として小学校の算数すら避けるようになってしまいましたが、おそらく、もっとひどいことが日本中の会社で起こっていて、閉塞感いっぱいの世の中になってしまっているわけです。

ボロカスに書いていますが、まだ若い業界のシステム会社の病巣は浅いため、顧客によるスキルチェックという単純なことで「責任を問われるよりも強い恐怖」を与えることができ、変えることができます。

一般的な会社の病巣はもっと深い。サラリーマンにも同じように大きな恐怖を与えたら変わるはずですが、それは簡単なことではありません。サラリーマンに与えるべき適切な「強い恐怖」というのは「解雇規制撤廃」でしょう。それは法律を変えなければ不可能で、システム会社のスキルチェックのようにお手軽にはできないのです。

放射能騒ぎも同じで、個人の恐怖による行動を優先すれば全体としてとんでもない方向に進んでしまいます。この辺の学術的なお話は、池田先生のエントリーなどをご覧下さい。

株式会社ジーワンシステム
代表取締役 生島 勘富
(Twitter @kantomi)

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生島 勘富
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